【本編完結】異世界で政略結婚したオレ？！

29、とある儀式前の話し合い

「街道にも影響が出ており、食料庫も半数近く
出しましたし……。」
気弱な大臣が意見を言おうとした。
ディオは視線を向けると、それっきり
黙ってしまった。
先を促すように視線を送ってみたが
さらに、怯えてしまった。
「だが、聖女と言っても過言ではない
リアンジュ様と凄まじい魔力で危機を
救ったあの娘であるミニエラ様の
お陰で、死者どころかケガ人も
出ませんでしたから、ここは
予定通りするべきかと思われます。」
別の役職の者が発言した。
「遠方からの大貴族たちは、(王都まで
馬車で１日の距離)ルッソキワや
ラムリナームなどで足止めされ、他の
領主同様、訴えが出てます。」
手には資料が数枚握られ、同じ物と
思われる物がディオの目の前にもあった。
「主要な街道を中心に、土魔法を
使用出来る者を含む者を4部隊派遣、
冒険者ギルドに協力を仰ぎ10人
単位で細かな対応してもらっている。」
第二王子のオリヴァーが色々説明を始めた。
時折、第一王子であるディオと
アイコンタクトをとり、必要なら
念話をしていた。

食料に関してはそれぞれの領で
在庫も含めた細かな報告書を作成し、
被害にあった領民に無償で分け与える事、
報告書をもとに調査し、王国から
救援処置をするので、嘘偽りをしないよう
厳命した。
今年度の作物の収穫は望み薄だった。
減税処置を提案した。

その他の話にはディオはもちろん
オリヴァーも眉をひそめたり、相手に
鋭い視線を送る事となった。
リアンジュを聖女認定だの、ミニエラを
魔法省に入れるべきだとか色々な
意見もあったが、リアンジュと
ミニエラに関しては、ディオは即却下した。
先の国王の命令でパーラーは
侯爵家に降家したが、あまりの素行の
悪さに違約金なしの離縁を認めたのだった。
パーラーの身分も含め、余罪など
先の国王と現在の国王を中心に
話し合いの真っ最中であった。
パーラーの娘であるミニエラは
多大な魔法で人々を助けた事、
目撃者も多数で、赤子の出産の
手助けまでしたので、ミニエラに対して
ディオたちの話し合いで結果を
出すわけにはいかなかった。

成婚の為の衣装は予定通り仕上がり
会場となる、王城内の神殿の準備も
整っていた。
リアンジュが貴重な両生具有である事は
広く知られていた。
邪(よこしま)な感情を抱く者は多く
高位貴族はもちろん、下位貴族や
商売人はリアンジュを拐(さら)おうとしたり
我が物にしようと画策した。
パーラーはカルセッサー公爵に異常なほど
執着し、カルセッサー夫人であった
ソフィアが亡くなると、公爵邸に
押しかけた上、リアンジュが成長とともに
亡きソフィアに似てくると、異様なほど
リアンジュに嫌がらせや裏で手を引いていた。
パーラーの娘の行動には、不可解な事が
多く探らせているが、探れば探るほど
わからない行動が多くなってしまった。