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30、オレとミニエラ

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ミニエラと話せたのはほんの数分だった。

すぐ見える場所での内緒事。
ミニエラはドレスのポケット?
アイテムボックス?!
空間が歪んだ瞬間、ディオ様が
オレ(リアンジュ)を背に庇い
護衛たちがミニエラの手をつかんだ。
「い、痛い!!」
「何をする気だ!!」
ディオ様が強い殺気をまといミニエラを
にらんでいた。
初めて、ディオ様が怖いと感じたオレと
オレの中のリアンジュが一致した気がした。
以前もこんな事あったのか?
「「!!」」
「ちがっ、私はただリアンジュお姉様に……。」
ミニエラから視線を離さないまま口を動かした。
「……オリヴァー。」
「はっ。」
ミニエラが取り落とした2本の扇をとり
第二王子であるオリヴァー様みずから調べていた。
「あやしいものじゃないわよ。」
「質問にだけ、答えろ。」
「……。」
「これは何だ?」
後ろ手に手を拘束されたミニエラは
床に座り込む体制で抑えられていた。
悪意は感じないミニエラを解放するように
ディオ様に伝えたが、"それは出来ない"
ときっぱり言われた。
悪意は感じない事、ミニエラが
ミニエラとリアンジュのほぼお揃いの扇を
プレゼントしたいと言ったのを
きっかけに、床に座り込む体制に
なっていた。

扇の魔道具。口元が見えないように
するのはもちろん。白檀のような
懐かしい匂いとキレイな羽扇だった。
扇にはめられた魔石に触れると防音
盗聴機能が付いているのだが……。
「リアンジュお姉様ぁぁぁ、申し訳
ございません。こんな失敗作、いいえ
駄作どころか魔石がもったいないどころか
ゴミ、腐った生ゴミ以下でございますわぁぁぁぁぁぁ……。」
ミニエラは、いきなり泣き崩れた。
護衛たちはいきなり床に伏せたミニエラに
一瞬驚いた。後ろ手に拘束している為
ミニエラは顔面を床で打ってるはずだ。
現にゴンって、打ち付けた音がした。
高級そうな毛足の長い敷物があるとはいえ
(領主邸)かなり痛いはず。
「……。」
ミニエラ自身が作った魔道具。
魔道具を作れるだけでもすごいのに
生ゴミ、しかも腐った生ゴミは
あまりにもかわいそうな?気がした。
ミニエラ?!失敗したと言っても
2人を包むような遮音の魔法が
展開出来ないだけで、この扇を
口元に当てれば、大声でうっぷんを
晴らしたい時や、遮音をかけた上で
これを使えば今まで出来なかった
大声で歌ったり、発声練習?したり
大きなくしゃみをしてもバレない。
んっ?あっ、常に誰かは部屋にいるから
バレバレかぁ……。
せっかくならこの魔道具欲しいし
オレが使ってみたい。
「あなたはすごいわ。魔道具が
作れるなんてミニエラは天才ね。」
「……お、お姉様ぁぁぁ。リアンジュ
お姉様はお顔だけじゃなく、心まで
美しいなんて素晴らしいですわぁぁ。」
そう言ってオレ(リアンジュ)に近寄ろうと
したミニエラは、ディオにとめられたのだった。

「魔力範囲の計算ミスか、容量不足、
アイツがいれば詳しく調べれそうだ。」
「……。」
「害を与えるつもりはないのだな?」
「はい。」
「魔道具がなければ、遮音魔法は
使えないのか?」
「……使えるとは思いますが、私の
魔法が独学なのもあり……。」
「簡潔に述べよ。」
「…す、すみ…申し訳ございません。」
「……。」
「私の魔法は、荒いらしくコントロールが
下手で穴だらけだそうです。」
「誰に言われたんだ?」
「カルセッサー公爵家の家令補佐アントニさんです。」
「……チッ。」
んっ?ディオ様?!今、舌打ちした?!

「ミニエラ、君は遮音魔法を使ってまで
私のリアンジュに話したい事とはなんだ?」
「……。」
「言えない事情ごあるのか?」
「い、いぇ…ただ、信じてもらうには
突拍子ない事だと思いますので、私の
頭がおかしいとかありえないとか
言われると、私……。」

「……話せれるなら話を聞こう。
頭はおかしいかどうかは、今の段階では
ちゃんと通じてるし敵意もウソを
言ってるようには思わない。」
「わ、私…実は……。」
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