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26、愚か者
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パーラーとマルクの企みにより
水害が引き起こされる数日前。
「パーラー様、お手紙が届きました。」
「あれ?私に。オホホ。セバスチャンも
いい加減に奥様とか言ってもいいのよ。」
「……それは出来ません。」
「フンッ。堅物よね。融通きかない男は
モテないのよ。」
「あなた様にご心配される覚えはございません。」
「……。」
パーラーはカルセッサー公爵家の
家令セバスチャンと会話しながら
神経質な顔をさらに歪め爪を噛んでいた。
セバスチャンは、そんなパーラーを見ても
注意する事なく、次の仕事をする為
部屋を出た。
元王族のパーラーは降下家しとある侯爵家に
先の国王により嫁がされた。
パーラーの夫は、これといって突如した
才能はないものの穏やかな人物だった。
だが、パーラーが嫁いできたとたん
侯爵家の使用人たちを選り好みし
自分に従わせたり、反発する者は
首にしようとした。
それを注意した夫に逆ギレし、侯爵家に
堂々と男を連れ込んだり、複数婚出来ると
言ったりし、夫の言う事を聞かず
高価な物を購入したりした。
しかし、注意しても聞き入れず
複数の男と交わる始末。
使用人ま次々に辞めていった。
離縁するにも元王族、先の国王に
物申すことが出来ずに困っていた。
グアーラ王国では複数婚が出来るのは
王族のみで"元"王族はできない事、
貴族と平民は一夫一妻か同棲同士の婚姻のみと
話をしてもパーラーは聞き入れなかった。
そんな時、リアンジュの母ソフィアの
訃報(ふほう)が侯爵家に届いた。
カルセッサー公爵に好意を持っていた
パーラーは生き生きとして、侯爵家から
身の回りの物をごっそり持って
飛び出したのだった。
パーラーの夫である侯爵は清廉潔白だった。
パーラーがたびたび連れ込んだり、
勝手に部屋に住まわしていた男たちに
仕事がないものは仕事を紹介し、
パーラーに酷い目に遭わされていた男には
傷を癒し完治するまでめんどうをみた。
パーラーは夫が浮気をしたからっと
嘘のウワサを流したが、侯爵家をしる
領民はもちろん、誰も信じなかった。
何年も公爵家から帰って来ず、パーラーから
離縁したいとの申し出に、侯爵家は
すぐに了承のサインをした。
賠償金や慰謝料を請求されたが、
結婚した初夜しか交わっていないこと
結婚から数年後にミニエラ出来たこと。
今までのパーラーの行いと、証言を
したためた手紙を王家と教会に
提出し、賠償金と慰謝料は取り消され
離縁を受理されたのだった。
公爵邸宛てと公爵家を通してパーラーに
手紙を届けた事へのお詫び状などを経て
今回、パーラーに手紙が届いたのだった。
公爵家の主人にももちろん、優秀な
家令セバスチャンは知らせたのだった。
***
手紙を受け取ったパーラーは早速
封を切り中身を取り出した。
王家と教会、それと"元"夫からの
離縁証が受理されたとの内容だった。
「こんなおめでたい日に、パーティーでも
開いてお祝いしなくては、"公爵夫人"
として名折れだわ。うふふ、おほほ、
やっとだわ。やっと一緒になれるのね。」
パーラーの独り言は、部屋の片隅に
ひっそりとたたずむ影だけが聞いていた。
水害が引き起こされる数日前。
「パーラー様、お手紙が届きました。」
「あれ?私に。オホホ。セバスチャンも
いい加減に奥様とか言ってもいいのよ。」
「……それは出来ません。」
「フンッ。堅物よね。融通きかない男は
モテないのよ。」
「あなた様にご心配される覚えはございません。」
「……。」
パーラーはカルセッサー公爵家の
家令セバスチャンと会話しながら
神経質な顔をさらに歪め爪を噛んでいた。
セバスチャンは、そんなパーラーを見ても
注意する事なく、次の仕事をする為
部屋を出た。
元王族のパーラーは降下家しとある侯爵家に
先の国王により嫁がされた。
パーラーの夫は、これといって突如した
才能はないものの穏やかな人物だった。
だが、パーラーが嫁いできたとたん
侯爵家の使用人たちを選り好みし
自分に従わせたり、反発する者は
首にしようとした。
それを注意した夫に逆ギレし、侯爵家に
堂々と男を連れ込んだり、複数婚出来ると
言ったりし、夫の言う事を聞かず
高価な物を購入したりした。
しかし、注意しても聞き入れず
複数の男と交わる始末。
使用人ま次々に辞めていった。
離縁するにも元王族、先の国王に
物申すことが出来ずに困っていた。
グアーラ王国では複数婚が出来るのは
王族のみで"元"王族はできない事、
貴族と平民は一夫一妻か同棲同士の婚姻のみと
話をしてもパーラーは聞き入れなかった。
そんな時、リアンジュの母ソフィアの
訃報(ふほう)が侯爵家に届いた。
カルセッサー公爵に好意を持っていた
パーラーは生き生きとして、侯爵家から
身の回りの物をごっそり持って
飛び出したのだった。
パーラーの夫である侯爵は清廉潔白だった。
パーラーがたびたび連れ込んだり、
勝手に部屋に住まわしていた男たちに
仕事がないものは仕事を紹介し、
パーラーに酷い目に遭わされていた男には
傷を癒し完治するまでめんどうをみた。
パーラーは夫が浮気をしたからっと
嘘のウワサを流したが、侯爵家をしる
領民はもちろん、誰も信じなかった。
何年も公爵家から帰って来ず、パーラーから
離縁したいとの申し出に、侯爵家は
すぐに了承のサインをした。
賠償金や慰謝料を請求されたが、
結婚した初夜しか交わっていないこと
結婚から数年後にミニエラ出来たこと。
今までのパーラーの行いと、証言を
したためた手紙を王家と教会に
提出し、賠償金と慰謝料は取り消され
離縁を受理されたのだった。
公爵邸宛てと公爵家を通してパーラーに
手紙を届けた事へのお詫び状などを経て
今回、パーラーに手紙が届いたのだった。
公爵家の主人にももちろん、優秀な
家令セバスチャンは知らせたのだった。
***
手紙を受け取ったパーラーは早速
封を切り中身を取り出した。
王家と教会、それと"元"夫からの
離縁証が受理されたとの内容だった。
「こんなおめでたい日に、パーティーでも
開いてお祝いしなくては、"公爵夫人"
として名折れだわ。うふふ、おほほ、
やっとだわ。やっと一緒になれるのね。」
パーラーの独り言は、部屋の片隅に
ひっそりとたたずむ影だけが聞いていた。
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