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9、リアンジュのお料理

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オレがリアンジュとして目覚めてから
もうすぐ一年が経とうとしていた。
年齢ももうすぐ15歳になる。
最近では年齢に引っ張られるかのように
早寝早起き、身体も生理の時以外は
軽く動きやすい身体になった。
お肌と胸もプルプル。
相変わらず小ぶりな男性器もあり
洋式風のトイレで、立ってするべか
座ってするべきか迷ってしまう。
女体化したからか朝立ちもしなくなり
男だったオレとしてなんだか複雑な気持ちだった。
あと婚約者として同じ部屋で過ごしているけど
まるで枯れた恋人?夫婦?恋愛すら
始まってない友達感覚が続いている。
居心地は良くも悪くもない。
部屋が広すぎるし、常に誰かしら
部屋にいるので一人になりたいのに
なれないストレスはたまってしまう。

王様になるって不便だし、オレは
貴重な両生具有だからか、まさしく
籠の中のオレ。豪華な部屋というオリ。
転生したんだから異世界ならではの、
チートをバリバリ使えて活躍出来る
冒険者がよかったなあ。
オレはなんで、ここにいるんだろう?
前世で何か悪いことしたのかな?
しかもディオ様との出会いが初潮とか
恥ずかしすぎる。
キレイなディオ様の手にべったり
オレの赤い初潮が付いてるのを見たとき
軽く死んだと思ったよ。
本来なら初潮があったあの日、
あの恥ずかしい日俺とディオ様が
出会った日が大人になった日なのだが……。
もうすぐ15歳の俺と12歳年上の
ディオ様27歳は未だにキスすらした事がない。
ディオ様の性事情はどうなのだろうか?
10代~20代って興味深々ですごく
ヤリたい時期でなのでは?
オレと比べたらダメなのか?
王族の閨教育とやらが盛んで
発散しまくってるのか?
健康な男性なら性欲マックスのはずなのに
浮いた話もないし、どこかで発散
している様子もない。
俺は俺で生理前イライラというか
ムラムラ?なぜ触ってくれないのかと
不安になる事が多くなっていた。

基本執務室での軽く書類整理、
整理整頓はディオ様自らしているので
その他の雑用や手紙の仕分け。
ある程度分けられているのでオレは
箱に入れてある手紙を50通ずつわけ
平べったい箱を幾つか用意してもらい
仕切りをし、一箱に200通入れ
重ねていったのだった。
大きな箱に積み上げられていた手紙は
ある意味スッキリ、部屋の片隅に
積み上げられたのだった。 
重要性が低いのか、机の上の書類が
片付いた合間に、封を切って手紙を
チラ見しただけで、通称ゴミ箱に
ポイポイ入れられていくのだった。
返事とか書かなくていいのかなぁと
思いながらも、手紙を見るディオ様の
美しいお顔の眉間にシワが出来るので
内容は、良くないことなんだと思った。
さわらぬディオ様に、なんちゃらら。

この国、グアーラの国には、冬が
ちょっと長めだけど一応四季がある。
ひと月30日で1の月から12の月で1年。
1年は360日。
10の月から3の月の6ヶ月間が冬、
4の月は春、5の月から8の月の4ヶ月が夏、
9の月は秋って感じだ。
夏はカラッとしていて、日本の梅雨のような
じめじめした暑さはあまりない。
スコール、通り雨程度の雨はたまに降るけど
夏というのもあり、スコールのおかげで
暑さが和らぐのでありがたられている。
雨に関しては、春と秋、季節の変わり目に
雨が降りやすい。
俺は暑いのは苦手だから冬が長めなのは
特に困らなかった。
冬が長いので暖房に薪を使うのでは?
と思っていたがさすが魔法ありの世界。
火の使い手、火属性の魔法を使える者が
魔道具に火の属性を込め暖房として
使ったり料理をするときの火に
使ったりしている。
能力が高ければ魔石を直接作る事が
出来るらしいが、ほとんどの人は
魔道具を使っている。
魔石は魔物を狩った時にたまにとれたり
ギルドで売買されている。
魔石に魔力を込めれる人は、
小遣い稼ぎになるのでギルドに登録し
仕事をもらってるそうだ。

ディオ様の部屋には飾り気のない小皿?に
火の魔力が込められた魔石がポツンと
置かれており、その小皿周辺は
暖かくポカポカしている。
このお城全体に冬は火属性
夏は水属性や氷属性の魔道具や魔石が
至る所に設置されていた。
温風だと火の魔石と風の魔石かな。
2つあれば効率よく、部屋を温めれそう。
知らないうちに、オレの口から
思考が漏れていたそうで、そばにいた
侍女頭からディオ様に伝わり、今では
2つの魔石が置かれ部屋全体に
ふんわりとした温風が吹くようになった。

      ***

優秀なサポート役リアム様
27歳、ディオ様の側近であり
ディオ様の乳兄弟のうちの1人が
オレのフォローをしてくれているうちの一人。

朝と夕ご飯は俺の手作り。
ディオ様と俺、ディオ様の乳兄弟リアム様
オレの乳母クロエ一家、少なくて6人分
多くてその倍以上、まるで大家族の
食事を作ってるような感じがして
楽しく作れている。
材料も新鮮な野菜や食材が毎日補充されている。
俺には本格的なパンはまだ作れないので
朝はホットケーキやオムレツがメイン。
サラダに手作りマヨネーズをあえたり
野菜のみじん切りをたっぷり使った
干し肉ベースのスープだったり
とにかく品数を絞りながらも
夜寝る前に仕込みをし朝はは簡単調理
するだけにしている。
このディオ様の部屋続きのキッチンには
うち鍵は当たり前の様についてるし
収納扉や保存箱、魔石仕込みの保冷庫と
冷凍庫には鍵が付けられていた。
俺と乳母のクロエがそれぞれの鍵を持ち、
二人の鍵がないと調理が
出来無い仕様になっていた。
まぁ、ディオ様が2種類のカギを
持っているのでディオ様だけでも
充分なんだけどね。

パンは毒見済みの物でお城のキッチンで
毎朝焼かれている。
シンプルなパンから、お菓子の様に
甘めのパン、ドライフルーツが
入っていたり種類も豊富。
シンプルなパンを中心に
それにアレンジを加えて、ミニミニ
サンドイッチを作ったりした。
一口サイズなので、お仕事しながらでも
食べれるのでディオ様も好んで
食べてくれている。
私専用のキッチンをディオ様の部屋続きで
作って下さった当初は、一日一回程度の
簡単な調理しかしていなかったんだけど。
慢性的な睡眠不足に、明らかに栄養不足の
ディオ様の目の下にクマがあり
透き通る様な白いお肌どころか
青白く顔色が悪い人だとわかり
最低でも2回はご飯を作る様にした。
一汁三菜?この世界だと一汁3品を
心がけている。
野菜と干し肉のスープ、野菜とたまごスープ
もちろんこの世界には粉末出汁や
中華の素、コンソメの素などない。
野菜とハーブを細かくみじん切りし
習い始めた生活魔法、風と火なら魔法を使い
ドライフードをひたすら作った。
干し肉などの固いものはディオ様の
乳兄弟であるリアム様や
第二王子であるオリヴァー様を
巻き込んでの細かく砕く作業を
して下さったのだった。
干し魚もあるけど鮮度が悪い時に
干し魚にしたのかそれとも、もともと
臭みが強い魚なのかはわからないけど
魚は臭い物と認識されており
この国ではあまり好まれていなかった。
いいスープの素にはなりそうだったので
お城のキッチンで保存魔法がかかっていた
干し魚を頂き、これもまた細かく
砕いてもらったのだった。
干し魚のフレークとネギを入れた
玉子焼きはよく作っていた。
あとは干し魚のフレーク、マヨネーズ
ニンニク、しょうが、本当なら
ゴマ油が欲しいけどないものは
仕方がないので、それらを油で
焦げ目がつくまで焼いた物に
一口サイズに薄く切ったパンをカリカリにし
その上に炒めた物を乗せて出したら
ディオ様はたぶん喜んでくれた様な感じで
第二王子のオリヴァー様どころか
お城のシェフまでもが試食させて
欲しいと請われ、作り方を伝えると
シーバハル国、海に面した国との
干し魚を中心とした海産物の
貿易が盛んになったそうだ。
昆布やワカメも仕入れてくれないかなぁと
思ったりしていた。
一年足らずで、無口でお人形扱いの
リアンジュイメージは既に壊れていた事に
気がついていないオレだった。

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