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37、おっチャンへの返礼品

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*赤龍騎士団団長ハロルド目線

目の前で奇跡が起きた。
俺はあの日、ナオキに一目惚れを
してからは猛アタック、猛接近、
猛べったり、猛猛猛、超甘々で接していたが
やっと報われたのだ。
こんな素晴らしい日になるなんて
生きていてよかった。

ナオキの初めて。
ナオキの初めての魔物の核。
ナオキの初めてを貰った俺。
おおおぉーーーって叫びたくなった。
ナオキが、大きなこれまた黒い高貴な色、
その黒い大きなカバン、マジックバックから
取り出したのは、確かナオキが冒険者として
初めて踏んづけたように見えるが、
足に魔力を纏わせながらスライムを倒した
初討伐のスライム核だ。
その半透明の薄暗い魔核は、目を閉じた
ナオキの重ねた、麗しい手の平の中で
無詠唱で光だした。
やがて光が治ると、魔核は真っ黒になっていた。
どれだけの魔力を使ったんだ?
ナオキの魔力量は大丈夫なのか?
ナオキを注意深く見つめると、俺自身が
鼻血が出そうな位、照れてしまった。

薄く色づいたナオキなほっぺ、
甘い果実のように熟れた赤い唇、
汗ばんでいるのか、少々息遣いの荒い
妙に色っぽいナオキがいた。
こ、これは、頂いてもいいのか?
いや、まだ、まだ耐えれる。
楽しみは後にとっておこう。
まずは確認だ。
完全な球体。まんまるな真っ黒い玉。
うれしすぎだ。
お守りだと言ってたナオキ。
お守りどころか国宝級の宝物だ。

「はい。これ初めて倒したスライムの核の
お守り。ホントはネックレスとかにしたら
いいんだけど、加工の仕方がわからないから
このままだけど、ごめんね。」

初めて、初めて、初めて、初めて!!
うおぉぉぉー。
叫ばなかっだ自分を褒めたいくらい、
今、生きてた中でダントツ一番幸せだ。
いや、これからも一番は更新されるんだが
ナオキは最高だ。
言葉では言い表せないからって、
物で伝えてくるなんて、なんていじらしいんだ。
奥ゆかしいナオキ。
好きだ。愛してる。
ピンキー王国、赤竜騎士団所属の
ハロルド・ライアンはこれからも
ナオキだけを愛し続ける事を誓う。

ネックレスは、あなたに首ったけ。
あなたが好きってことだ。
加工の仕方がわからないから、
あなたにお任せするから、
私をあなた色に染めてって事だ。
初めて倒した獲物を分け与える、
この場合は、魔物の核だが
家族になろうって事だ。
うれしい。
嬉しすぎて涙が止まらない。
そうだ、早く答えなければ。
返礼は、自分の色の石や同等以上の物
、お守り的な魔石を相手に渡すのだが、
ナオキはナオキ色に仕上げた
自分の分身的な物を俺にくれたんだ。
一般的には半透明や白っぽい石、
色を染めやすい布などを相手に贈り
気持ちを伝えるのだ。

俺の色の魔核、一瞬ガァちゃん(赤竜)が
思い浮かんだが、ダメだ。
ガァちゃん以上の核、核じゃなくても
いいんだがどうせなら、ガァちゃんのような
大きな最高の何かを贈りたい。
斯くなる上は……。
泣きながらも俺は熱い眼差しでナオキを
見つめたのだった。
ランクの高い魔物狩りして、ナオキに
俺の気持ちを伝えよう。
ああ、今日もなんて素晴らしい日なんだろうか。
今日も最高な日を更新したようだ。

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