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36、おっチャンからの贈り物

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俺は一見、何も入ってないスポーツバックを
ゴソゴソしていた。
ハロルさんが隣の部屋にあると言って
ふらつく俺をベッドに戻し、わざわざを
持ってきてくれた物だ。
何かお礼がしたいと思ったのだが、
俺を好きだと言ってくれる相手に
何を渡していいのかわからなかった。
指輪は、なぜか勝手にお揃いを作っている
ハロルドさん。
こんな自分とお揃いで嬉しいのか?
いや、嬉しそうだ……。
チラッと見たら、バッチリ目があった、
というかガン見されてる!!
なんだか、珍獣にでもなったかのようだ。
「あの~ハロルドさん、質問えぇかな?」
「なんだい?ハロルドお兄ちゃまが
何でも答えてあげよう。言ってごらん。」
「あ、ありがとう。じゃぁ、なんか
ハロルドさん、欲しい物とかある?」
パァーと満面の笑みのハロルドさん。
俺は危険だという事と、冷や汗が
流れ出るのを感じ取った。
「ナオキ、君が欲しい!!」
ガバッと俺を抱きしめようとしたのを
間一髪でかわしたのだった。
危なかった。はぁー。
「……ぅっうぅぅぅ。」
涙目から泣き出したハロルドさん。
整った顔が…って泣いてもあまり変顔には
ならないんだと思ったナオキ。
イケメンは、怒ろうが泣こうがイケメンは
イケメンなのだと、改めて思い知らされたのだった。
「ハロルドさん、俺以外でお願いします。」
「ナオキじゃなきゃ嫌だ、ぐすっ。」
可愛くないといえば可愛くはないんだが、
美形のハロルドさんに関してはなんとなく、
可愛いかもって、ほんのちょっとだけ
思ってしまったのだ。
「はいはい。」
ハロルドさんが女性ならなあ。
まだ…うーん、なんとか…
あぁーあかんあかん、俺は何を想像してんのや。
ハロルドさんを女性にしたらたくましすぎるよ。
やはり、女性のような柔らかい…ムフッ、
骨格から柔らかくて、しなやかな手足、
胸、ふさふさ……。じゃないや、
獣人族のケモ耳やふさふさの尻尾なら
男もいいかも。サークラ王子、可愛かったなぁ。
「そう言えば、サークラ王子たちは?」
「やっと帰ってくれたよ。」
「えっ?」
「1週間程居たんだけど、仕事や
副団長たちが揉めたからね。」
「あっ、角質じゃなくて、カクシツある
侯爵の息子だよなぁ?」
「ああ。ナオキが目覚めたら知らせてくれって
言われたが、知らせたくない気持ちと
知らせなきゃならないのに嫌だという気持ちが
せめぎ合ってるんだ。」
「ん?」
あれ?結局…同じだよな?

「あっ。これ。」
スライムの核。
「ハロルド、また質問えぇかな?」
「もちろんだとも。」
「ありがとう。魔物の核って何に使うんだ?」
「えっ?」
ハロルドさんは、すごく驚いた顔をしていた。
「あっ、あぁ。魔物の核は……。」
驚いた顔をしたもののすぐにいつもの顔になり
説明してくれたのだ。
魔物のランクにもよるが、夜に使う明かりや
核の色によって水魔法、炎魔法、雷魔法、
その他もあるがその特性をいかして
自分の武器にセットするそうだ。
万が一、魔力が足りなくなった時にも
魔物の核を加工した魔石に力を蓄える事が
できるそうだ。
まるで充電式の乾電池に似ている。
お守りにも出来るらしい。
それならこれは、足りない時は敵、
魔物から魔力を補ったり、ハロルドさんが
危ない時守れるようなお守りにしたいなぁ。

手の平の半透明な黒っぽいスライムの核は、
ぽわ~っと光だしたのだ。
光がおさまると核は真っ黒でビー玉のように
丸くなったのだ。
このままだと、持ちにくいしネックレス?
うーん、剣にセットするって言うてたし
まっ、このままでいっかな?!
「はい。これ初めて倒したスライムの核の
お守り。ホントはネックレスとかにしたら
いいんだけど、加工の仕方がわからないから
このままだけど、ごめんね。」
ハロルドは感激のあまり、おさまったはずの
涙が怒涛の如く流れ出ていた。

ナオキは、すごい贈り物をしてしまった事に
気づいていなかったのだ。
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