奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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行方不明事件

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団長達が行方不明になった。

行方不明になった団長は第1班班長カール·リマルモン、第4班班長リン·コーカテル、第7班班長ハールド·アースクの3人。この3人に共通するのは、いずれも貴族であるということ。8班ある班の班長中で貴族なのは3人だけ。その3人が行方不明になった。偶然とは言えない。

そして貴族といえば、昨日のパーティーだろう。そのパーティーが終わったらへんから団長達を見たという人がいないのだし。そのため昨日のパーティーに参加した全貴族騎士が今集まっているらしい。

何がヤバイって我らの班長カール班長が行方不明だということ。第1班はこういう事件が起きたときに真っ先に作戦を立て、解決するための班と言っても過言ではない。だが今はその第1班の要となる班長がいない。勿論、私達班員もなにもせずに狼狽えているわけではない。現に現在進行形で集まって会議をしている。

ただ中々意見がでない。別に方法がないわけではないのだ。ただ、いくつものパターンを考えた時に綻びが出てしまう。第1班だからこそ、そういうことをきちんと考えるからこそ、方法を考えては却下し、考えては却下する。それを頭の中でやっているのだ。

「どうですか。意見は出ていますか?」

頭の中で何百通りのパターンを検証していると、不意に声が聞こえた。入り口を見るとジーク·アーモン総長がいた。慌てて立ち上がろうとすると手で制される。

「固くならなくていいですよ。様子を見に来ただけなので。それで、意見は出そうですか?」

「……正直なところ、難しいです。そもそも情報が少なすぎることもあり、方法を思い付いても綻びが生じるため、中々意見がでないです。」

先輩騎士が答える。難しいところだ。

「そうですか……ライ」

「はい」

いきなり名前を呼ばれたので立つ

「カリナンから聞いたのですが、昨夜カリナンに注意喚起なるものをしたようですね。どういう意図があったのですか?」

「はい。カリナンが主催者から渡されたという物から僅かに変な匂いがしたからです。香水の匂いというわけでもなく、今まで嗅いだことのないものだったので注意をしました」

「成る程。その匂いと今回のこと、関係あると思いますか?」

「……恐らくですがない、です。そもそも私はカリナンのみにしか警告をしていません。ですがその物を貰った人は班長達やカリナン以外にも大勢います。ですが被害にあったのは団長達のみ。関係があるとは思えません。」

「ただ、もしカリナン達に渡したものがカモフラージュで本命が班長の物だったり、環境条件が関わっているかも知れないので確信できません」

「成る程……わかりました。第1班はこのまま作戦を立ててください。それと、もうそろそろ貴族騎士の1人が情報提供に来る筈です。それも参考にしてください。くれぐれも調査には気を付けてくださいね」

「はい。我ら第1班、総力をあげて作戦を立てます。総長もお気をつけて」

総長が出ていった後、各自再び集中し始める。
作戦を立てる者もいれば、近くの人と相談し合う者。
そして総長が出ていってから10分後、ドアがノックされる。

「貴族騎士の1人です。情報提供に参りました」

「入って良いぞ」

その騎士が入ってきた瞬間、部屋の空気が和らぐ。
その空気を出したのは先輩騎士達。少しでもその騎士が情報提供しやすいように、ということか。流石だ。

さて、ここからが勝負だ。今から伝えられる情報の、多さ、重要さなどで今後の動きが全て変わる。
私は気合いをもう一度入れ直し、その騎士の話に耳を傾けた。
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