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カリナン side
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時は過ぎ、貴族のパーティーの日。
今日は大貴族である侯爵家の当主の生誕祭だ。私達ナリュース家も含めた男爵家など、殆どの貴族が呼ばれ、この中には騎士団所属の人も何人も居た。当然団長達もいるため、通常のパーティーよりもさらに緊張する。
主役の挨拶も終え、酒を嗜む者、仲の良い人と昔話をする者など、各自で楽しんでいる。私も久し振りに家族との会話を楽しむ。こういう社交界の時しか家族とゆっくりする機会がないのが悲しいが、それはどうしようもないので、私も家族も割りきっている。
そろそろ解散モードになり、各自が帰りだす。
私達もそろそろ別れるかという話になり、家族と抱擁を交わしそれぞれ家へと帰る。
「あれ、カリナン。帰ってきてたんですか?」
「あ、ライ。いや、今帰ってきたところだよ」
途中でライと鉢合わせる。ライは私より年下なのに、どこか達観していてたまに本当に年下なのか疑いたくなる。だが、時折見せる好奇心旺盛のオーラはまさしく年相当で、妹みたいだ。表情は動かないがオーラが分かりやすい、どこか護りたくなる。それでいて黒狼族で適性魔術も雷というか強さを持っているので背中を任せられる唯一の相棒だ。
「……カリナン。何か変なものでも拾いましたか?」
「拾ってないけどどうして?」
「いえ、カリナンから少し変な匂いがしたのでつい」
「ん~。もしかしたら、この香水の匂いじゃないかな。パーティーで貰ったんだよね。他の人たちも貰っていたから特別な物ではないと思うよ」
「そうですか……無事だったら、明日から頑張りましょうね」
謎の言葉を残してライは寮へと戻っていった。
そう。実はパーティーの途中で伯爵家の方から香水を賜ったのだ。自分より身分が上の方からの貰い物を断るなど出来ないので貰ったが、あまり好きな匂いでもないので使うことはないだろう。渡してきた理由はよく分からないが……などと思いながら私も寮へと戻る。
シャワーをさっと浴び、香水を手のひらに転がして遊ぶ。
それにしてもライはどうしてあんなことを言ったのだろう。獣人だから匂いに敏感なのは分かるが、無事だったら、と言う理由が分からない。まあ、ライが何の根拠もなく言うなんてことはあり得ないので、箱に入れて机の奥にしまって寝る。
次の日、ドンドンとドアを叩かれる音で目が覚める。
「ん、こんな朝早くになんだい」
「カリナン!無事だったか!」
早朝の4時、寝ぼけながらもドアを開けると同僚が安心した顔で息を吐く。
「どうしたんだい?」
「大変なんだ。よく聞け……団長達が、行方不明になった」
同僚の言葉に私は絶句し、ライの言葉を思い出す。ライはどこまで知っていたのだろう。
今日は大貴族である侯爵家の当主の生誕祭だ。私達ナリュース家も含めた男爵家など、殆どの貴族が呼ばれ、この中には騎士団所属の人も何人も居た。当然団長達もいるため、通常のパーティーよりもさらに緊張する。
主役の挨拶も終え、酒を嗜む者、仲の良い人と昔話をする者など、各自で楽しんでいる。私も久し振りに家族との会話を楽しむ。こういう社交界の時しか家族とゆっくりする機会がないのが悲しいが、それはどうしようもないので、私も家族も割りきっている。
そろそろ解散モードになり、各自が帰りだす。
私達もそろそろ別れるかという話になり、家族と抱擁を交わしそれぞれ家へと帰る。
「あれ、カリナン。帰ってきてたんですか?」
「あ、ライ。いや、今帰ってきたところだよ」
途中でライと鉢合わせる。ライは私より年下なのに、どこか達観していてたまに本当に年下なのか疑いたくなる。だが、時折見せる好奇心旺盛のオーラはまさしく年相当で、妹みたいだ。表情は動かないがオーラが分かりやすい、どこか護りたくなる。それでいて黒狼族で適性魔術も雷というか強さを持っているので背中を任せられる唯一の相棒だ。
「……カリナン。何か変なものでも拾いましたか?」
「拾ってないけどどうして?」
「いえ、カリナンから少し変な匂いがしたのでつい」
「ん~。もしかしたら、この香水の匂いじゃないかな。パーティーで貰ったんだよね。他の人たちも貰っていたから特別な物ではないと思うよ」
「そうですか……無事だったら、明日から頑張りましょうね」
謎の言葉を残してライは寮へと戻っていった。
そう。実はパーティーの途中で伯爵家の方から香水を賜ったのだ。自分より身分が上の方からの貰い物を断るなど出来ないので貰ったが、あまり好きな匂いでもないので使うことはないだろう。渡してきた理由はよく分からないが……などと思いながら私も寮へと戻る。
シャワーをさっと浴び、香水を手のひらに転がして遊ぶ。
それにしてもライはどうしてあんなことを言ったのだろう。獣人だから匂いに敏感なのは分かるが、無事だったら、と言う理由が分からない。まあ、ライが何の根拠もなく言うなんてことはあり得ないので、箱に入れて机の奥にしまって寝る。
次の日、ドンドンとドアを叩かれる音で目が覚める。
「ん、こんな朝早くになんだい」
「カリナン!無事だったか!」
早朝の4時、寝ぼけながらもドアを開けると同僚が安心した顔で息を吐く。
「どうしたんだい?」
「大変なんだ。よく聞け……団長達が、行方不明になった」
同僚の言葉に私は絶句し、ライの言葉を思い出す。ライはどこまで知っていたのだろう。
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