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ドクダミ短歌
しおりを挟む『目にもいう この時期きたか 白い花 梅雨の最中 染み入る香り』
ふと見たホワイトボードの予定表、何か急ぎかと思ってメモを見てみると、それは短歌だった。
(ずいぶんと丸い字だな)
その後に、はて、この白い花というのはどんな花のことなのか、気になってしまったのだ。
梅雨の辺りの花は、芳香が強いイメージがあるから、特定のものがあの歌ではいまいちわからない。
なので、メモを自分も残してみた。
『この短歌で取り上げられている花はなんという花なのですか?クチナシですか?』
と。
返事は期待してはいなかったが、次にホワイトボードを見たときに、自分が残したメモにメモが貼られていた。
「これはドクダミです。私は年に一回収穫するのがこの時期なのです」
・じめる影 花つける頃に 葉をむしる
わざわざ句も残してくれた。
「それでちょっと気になってる子がいて」
「平安貴族みたいなことしてるんだ?」
「えっ?こういうのって良くない?」
「お前らしいといえば、お前らしいがな」
友人はそんな事があったと話したら、笑っていた。
「良ければ一度、お茶でもしませんかとは書いてきたけどもね」
「え?え?」
「何さ、おかしいの?」
「いや、だってさ、…それで返事が来たのか?」
「全然、フラれちゃったか」
寂しそうに言ってた。
研修大変すぎたよ。これからしばらくはゆっくりする!と決めた。
そして久しぶりにホワイトボードを見たら、あっ、あの句にも返事がついてたので、それを見てみると、お茶の誘いがついていた。
(私は何も見なかった)
これからしばらく無になろうとメモから手を離したところを、見かけた男がいた。
「もしかして…」
「えっ?」
「ドクダミ短歌の?」
「ああ、はい、そうですが」
「花が何なのか質問した人間です」
「そうでしたか、それはどうも」
「それで…その…」
「なんです?」
「あっ、すいません、誘ったら迷惑ですよね」
「お茶ですか…」
「そうです。が、どうか忘れてください」
「何がそう気に入ったんですか?」
「面白い、独自の目線で観察している子なんだなって思って、そういう子っていいじゃありませんか?」
「こういう短歌を作って、初めて褒められました」
「そうなんですか?」
「上手いとは言えませんから」
「もっと自信を持ってくださいよ、あなたの日常に根差した素晴らしい言葉なんだから」
「ありがとう」
「どういましまして」
「良かったら、私にお茶を奢らせてもらえませんか?」
「それは…またどうして?」
「そういう気分なんですよ」
微笑むので。
「はい!すぐに準備します」
しかし動揺して、ガン!と膝をぶつけ、彼女に大丈夫ですか?と言われると、大丈夫です!と急いで準備しに行った。
そこから、彼と彼女は連絡先を交換して、作った俳句や短歌でメッセージを送りあっているらしい。
ある日、なんか友人がいつもとなんか違う、挙動不審が気になって。
「どうしたんだ?」
「ああ、ちょっと」
「なんだ?ああ、あれか、あの子に告白でもするのか」
「ど、どうしてわかった!」
「まっ、頑張れよ」
「頑張ってくる!」
なんかお土産を片手に持っていたが、あんなんで大丈夫かな。
まあ、フラれたら、飲み会してやるか。
「付き合ってもらえませんか?」
「えっ…」
「やっぱりダメでしたか?」
「こういうとき、なんと答えれば…」
「好きか、嫌いかです」
「あなたといると、落ち着きます…ただそのゆっくりとした付き合いでいいですよね」
前向きな言葉を述べた段階で人生の勝者みたいなボーズをされたので、さすがに次の言葉を添えたらしい。
「私はつまらない女ですよ」
「何故にそう感じるのか、俺には全くわからない」
「別れたいと言ったときに別れさせてくれるなら…」
「俺は別れる気はありませんよ」
「その気も、時が立てば変わりますよ」
そう彼女は笑ったけども、今も俺は彼女が好きのままである。
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