浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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キュウリが喧嘩して困ってる

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「タミさんはね、馬を見るのが好きだったんだよ。走ってるところがいいのよって」
だから競馬の中継を見ると、曾祖父はよくこんな話になる。
「あ~タミさん、タミさん、君はもっと長く生きるべきだった」
「泣き終わったら教えてね、暖かいもの用意するから」
家族ももう対応が手慣れているぐらいだ。

この状態も何回かだが、トラジとタカミは覚えていた。

曾祖父の新盆。
「これでじいさんは、やっとばあちゃんのところに行けるのか」
「ちゃんと会えているのかな」
「仲が悪かったんですか」
と聞くと。
「う~ん」
「時代もあったとは思うけども、あの二人はよくわからん」
親戚の集まりでそんな話になっていたら。
「精霊馬、旬特別、寛永記念」
「今日ここで勝った精霊馬が、今回の寛永家の精霊馬を勤め、曾祖父が鞍上となります」
酒も入っていたので、トラジとタカミがいきなり言い出したこれは、子供のお遊び、ごっこ遊びかなと見ていたら、お母さんが聞いてきた。
「何をしているの?」
「最近キュウリが喧嘩して困ってるんです」
「おキュウリが?」
「だから誰が一番精霊馬に相応しいか、キュウリ同士で決着をつけるようになって」
「面白いことしているな、ファンファーレとかいるか?俺のトランペットまだあったよな、とってくるわ」
従兄弟の父はいい感じに酔ってて、トランペットを取りに行った。
子供の演し物みたいな気分で親戚は見ていたのだが。
「ここに揃った9本はどれも農家のお墨付き、産地直送の猛者ばかり」
この部分でやけに本格的だな。
誰か?教えたのかなんて笑っていたが。
「ここは俺に任せておきな、勢いよくインしてきたのは1番アズミノアルプ」
「あの時の屈辱は今ここで晴らすべき、伝統の味を守るのはこの私!2番ナノミックス」
「君は今日も飛び越えていく、私たちはそれを見送るばかり、3番フライトブラック」
「あぁ、どうかあなたの心が癒されますように、精霊馬用キュウリの産地から、4番リミテッドブレイズ」
「うちには美味しいキュウリがある、一度は食べてみてほしい、5番トテモオイシイ」
「厳しい環境はこの日のため、一口で視察の社長を驚かせろ、6番パリットサンダ」
「品種改良始めました、有機肥料拘りました、こんな執念見たことはない、7番モロカッパ

「名人のオヤジはもういない、だけどあそこは終わったなんて言わせない、努力でここまでやってきた8番ボクハタイヨウ」
「圧倒的実力、王者の強さをここで見せなきゃいつ振る舞う、9番モーニングサンド」
精霊馬の紹介が終わると、親戚たちから拍手がこぼれたのでのである。
「この9本、どれが決まってもおかしくない」
「だから一番を決めるのだ」
そこにトランペットを持ってきたおじさんが、ファンファーレを演奏した。


「あの時、レースがあのまま始まったんだけども、俺らには見えないから、ラジオみたいに、トラジとハイジの実況を聞いているだけだったんだけども、面白くてさ」

「執念か、努力か、屈辱か、ここで勝ったのは!」
「モロカッパ!!!!!モロカッパが勝ちました!」

「の辺りで泣いちゃったんだよね」
そして、この親族はノリがいいので、勝った執念のモロカッパの生産者さんに金一封と副賞をつけた。
「そこからうちの盆では恒例行事、毎年行われているんだよね」


「いい馬だと、タミさんが俺を見てくれる目が違うかなって思って」
照れながら曾祖父は心情を話すのだが、タミの方はそんなことをしなくてもと、参加してくれた精霊馬には感謝と好意を持ってるが。
「馬だと2人乗りでも走りは馬任せになるから、安心して馬上で二人の世界を作れますからね」
そんな気持ちを曾祖父は持ってるようであった。


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