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あの店に行けばわかる
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酒はないのに、場に酔ったのか、気分が良くなったのかはわからないが。
「いいものを見せてあげるよ」
そういって伽羅磁(きゃらじ)さんは、鳥を見せてくれた。
ここは料理屋の個室である。
「ず、ずいぶんときれいな鳥ですね」
「そうだろう、昼間だと羽根が輝いてとても美しいんだ」
「…」
「どうしたんだい?」
「それは…見せて大丈夫なものなんですか?」
「ああ、そうだったね」
その言い方は、おそらく知らなかったことにしなければならないやつだ。
「何も見てませんから」
「そこまで慌てることはないさ」
そういって笑うのだが、いや、これ絶対に見たら、まずい情報でしょ。伽羅磁さんのところにこの鳥がいるってことがまずさ、知られてないわけじゃない。
そして組合の立ち位置から考えるとね…
「その鳥のこと知りたい人はたくさんいますよね」
「いるね、まあ、知られないようにしているけどもさ」
確定。
「一人と一羽で上手く暮らしているよ」
「鳥、好きなんですか?」
「いや、なんか見込まれたというか、まあ、それならば仕方がないかな」
「案外器が大きいんですね」
「だってこんなに綺麗だから、シャドウスワローという種類でね、なかなかに珍しいんだ。上位存在だよ」
「…」
「どうしたのさ」
「上位存在だよって言葉で、何も言えなくなります」
「でも綺麗だよ」
「綺麗だけではないでしょうよ」
「まあね、すごい子でもある。シャドウスワローというのは、一昔前の異世界探索には欠かせないというか、大変重要な位置付けだったんだよ」
帰巣本能が強いので、異世界に転移しても、帰り道がわかるとされていた。
「だけど人になつかないから、代わりに探索者はつばめのお守りとかを作って持ち歩いたとかね、まあ、僕も持ってるし」
「ゲンは担ぐ人は担ぎますからね」
「そこまで信じてはいなかったんだけども、実際にこれのおかげで助かったのかもしれないっていうことが起きてからは、それだけは持つようにはしている」
「へぇ、リアリストの伽羅磁さんにそこまで言わせるなんて、すごい人もいるもんだ」
そこで、肉をいただいた。
えっ?美味しい、なんかこう…いつも食べているお肉とはまた別の、薫りがあるんですけど!
「…僕は人の話はしたっけ?」
「してないですね、あれ?違うんですか?」
「違わないけどもさ、君はなかなか鋭いね」
「?」
「いや、わかってないならいいんだけども、僕も油断してたのかな?」
「伽羅磁さんは油断なんてしないでしょ、気を許すっていう感じはないかな」
「僕も人間なんだがね」
「人間味は親しくないと伝わらないですね」
「それはしょうがないよ、この業界だもの」
「しかもあなたの周囲はってところでしょうか」
「わかってるならさ」
「改めて言わなくてもなのかもしれませんが、伽羅磁さんはどうしてこの世界へ?自分は地方の生まれで、こっちに来た方がお金がいいからですが」
「僕も別に両親がこの世界の人間ってわけではないならね」
「えっ?そうなんですか?それっぽいのに」
「まあ、ちょっとこの世界には恩があるというか、君と同じで食えないときに、学生時代助けられた」
「意外とよくある理由だった」
「なんでさ、おかしいの?」
「なんかこう…とんでもない理由があるのかなって思ってて」
そこで気づいた、伽羅磁さんの鳥は十分とんでもない奴だ。
「まあ、無難な方がいいですよ」
「そうだね、なんか与えられた仕事頑張っているうちに、今になったって感じだからさ」
「上に物をいっても、言い返されない人ってそういるもんじゃないですからね」
物怖じしないところがある。
「他の人がビビって言い出しにくいところなんか、さらっと伽羅磁さんが行くから」
「あれは最初は人身御供にされていたと思うよ」
「…」
考えて。
「あ~」
思い当たる。
「体質みればそうっすね」
「だろ?こいつだったら、ヘマをしても切ればいいと思われてたんじゃないかなって、今だとそう思うよ」
「そこを実力で潜り抜けちゃった、それって幸運なんですか?不幸なんですか?」
「どっちだろう、でも悪くないと今は思っているしな」
……
その時伽羅磁は、鳥の名前を呼んだのだが、それは聞かなかったことにしたいので、ここには名前を載せないことにする。
「可愛いだろう」
「よくなついてますね」
「最初からこうでね、すごくびっくりしたな」
笑いながら教えてくれる。
「それでしたら、名前は僕がつけた方がいいってことで、いろいろと考えて、出てきた言葉が地名だったから、それじゃあ、混同しちゃうからって関連する言葉で何かいいものはってことで、これかなって」
そんな話を伽羅磁とした。
シャドウスワローは、影だけで飛び交うこともできるし、夜目も利いた上位存在なので、向こうから顔を見せない限りは、人なら捕捉するのは難しい。
のだが。
スッ
こちらをシャドウスワローが影から首だけ出して見ている。
これはどっちだろうな、飲みか、それとも緊急連絡か。
まあ、あの店に行けばわかる!
「いいものを見せてあげるよ」
そういって伽羅磁(きゃらじ)さんは、鳥を見せてくれた。
ここは料理屋の個室である。
「ず、ずいぶんときれいな鳥ですね」
「そうだろう、昼間だと羽根が輝いてとても美しいんだ」
「…」
「どうしたんだい?」
「それは…見せて大丈夫なものなんですか?」
「ああ、そうだったね」
その言い方は、おそらく知らなかったことにしなければならないやつだ。
「何も見てませんから」
「そこまで慌てることはないさ」
そういって笑うのだが、いや、これ絶対に見たら、まずい情報でしょ。伽羅磁さんのところにこの鳥がいるってことがまずさ、知られてないわけじゃない。
そして組合の立ち位置から考えるとね…
「その鳥のこと知りたい人はたくさんいますよね」
「いるね、まあ、知られないようにしているけどもさ」
確定。
「一人と一羽で上手く暮らしているよ」
「鳥、好きなんですか?」
「いや、なんか見込まれたというか、まあ、それならば仕方がないかな」
「案外器が大きいんですね」
「だってこんなに綺麗だから、シャドウスワローという種類でね、なかなかに珍しいんだ。上位存在だよ」
「…」
「どうしたのさ」
「上位存在だよって言葉で、何も言えなくなります」
「でも綺麗だよ」
「綺麗だけではないでしょうよ」
「まあね、すごい子でもある。シャドウスワローというのは、一昔前の異世界探索には欠かせないというか、大変重要な位置付けだったんだよ」
帰巣本能が強いので、異世界に転移しても、帰り道がわかるとされていた。
「だけど人になつかないから、代わりに探索者はつばめのお守りとかを作って持ち歩いたとかね、まあ、僕も持ってるし」
「ゲンは担ぐ人は担ぎますからね」
「そこまで信じてはいなかったんだけども、実際にこれのおかげで助かったのかもしれないっていうことが起きてからは、それだけは持つようにはしている」
「へぇ、リアリストの伽羅磁さんにそこまで言わせるなんて、すごい人もいるもんだ」
そこで、肉をいただいた。
えっ?美味しい、なんかこう…いつも食べているお肉とはまた別の、薫りがあるんですけど!
「…僕は人の話はしたっけ?」
「してないですね、あれ?違うんですか?」
「違わないけどもさ、君はなかなか鋭いね」
「?」
「いや、わかってないならいいんだけども、僕も油断してたのかな?」
「伽羅磁さんは油断なんてしないでしょ、気を許すっていう感じはないかな」
「僕も人間なんだがね」
「人間味は親しくないと伝わらないですね」
「それはしょうがないよ、この業界だもの」
「しかもあなたの周囲はってところでしょうか」
「わかってるならさ」
「改めて言わなくてもなのかもしれませんが、伽羅磁さんはどうしてこの世界へ?自分は地方の生まれで、こっちに来た方がお金がいいからですが」
「僕も別に両親がこの世界の人間ってわけではないならね」
「えっ?そうなんですか?それっぽいのに」
「まあ、ちょっとこの世界には恩があるというか、君と同じで食えないときに、学生時代助けられた」
「意外とよくある理由だった」
「なんでさ、おかしいの?」
「なんかこう…とんでもない理由があるのかなって思ってて」
そこで気づいた、伽羅磁さんの鳥は十分とんでもない奴だ。
「まあ、無難な方がいいですよ」
「そうだね、なんか与えられた仕事頑張っているうちに、今になったって感じだからさ」
「上に物をいっても、言い返されない人ってそういるもんじゃないですからね」
物怖じしないところがある。
「他の人がビビって言い出しにくいところなんか、さらっと伽羅磁さんが行くから」
「あれは最初は人身御供にされていたと思うよ」
「…」
考えて。
「あ~」
思い当たる。
「体質みればそうっすね」
「だろ?こいつだったら、ヘマをしても切ればいいと思われてたんじゃないかなって、今だとそう思うよ」
「そこを実力で潜り抜けちゃった、それって幸運なんですか?不幸なんですか?」
「どっちだろう、でも悪くないと今は思っているしな」
……
その時伽羅磁は、鳥の名前を呼んだのだが、それは聞かなかったことにしたいので、ここには名前を載せないことにする。
「可愛いだろう」
「よくなついてますね」
「最初からこうでね、すごくびっくりしたな」
笑いながら教えてくれる。
「それでしたら、名前は僕がつけた方がいいってことで、いろいろと考えて、出てきた言葉が地名だったから、それじゃあ、混同しちゃうからって関連する言葉で何かいいものはってことで、これかなって」
そんな話を伽羅磁とした。
シャドウスワローは、影だけで飛び交うこともできるし、夜目も利いた上位存在なので、向こうから顔を見せない限りは、人なら捕捉するのは難しい。
のだが。
スッ
こちらをシャドウスワローが影から首だけ出して見ている。
これはどっちだろうな、飲みか、それとも緊急連絡か。
まあ、あの店に行けばわかる!
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