浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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一緒に食べてください

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襲撃者が倒れている、しかも点々と倒れ、奥まで続いているのを見たら。
「悪いけど、俺はこの先は確認したくない」
「あっ、じゃあ、行ってきますね」
「えっ?ああ、うん、頼むわ」
そういって一人確認しながら歩き出す。
(まあ、たぶん、おそらく絶対、伽羅磁(きゃらじ)さんなんだろうな)
こんなこと他にできる人組合にいた…いるかもしれないが、高確率でそうなんじゃないかと。
(相変わらず強い人だ)
実力で潜り抜けるサンタみたいな人である。
この仕事、体格に恵まれた方がもちろんいい、いいが、そんな体格差を覆す才能や技量の持ち主も当たり前に存在する。
前に飲んだときに。
「なんで絞め技とかじゃないんですか?」
「それだと体格差を認めたことになるじゃないか」
そう、体格差がわりと関係ないのが絞め技、間接技とかなのであるが、伽羅磁は立ち技、打撃技だった。
「捕獲はもちろん習ってはいるんだけどもね」
なんてもいってたが、あれ?そういえば捕獲術は見たことないな。
そんな話を思い出しながら、襲撃者を一人一人調べていくが、全員安静が必要だろうな、下手に動かしては体にショックが出るだろうと、手早く状態と位置の報告かけて、進んでいくと階段が見える。
襲撃者という目印はないが、たぶんこの上にいるのだろう、なんというか、気配がどんよりとするし、上は…ああ、館内の管理室か、と表示を改めてチェック。
館内の冷暖房や放送設備がこの上にある。
(ということは、内部で手引きしたのがいるのは確定か、あ~面倒くさい、証明のための書類は用意しなきゃならないし、潔白だとわかった後、忙しくなるじゃん)
段差に足をかけたときに。
「伽羅磁さんご無事ですか?」
「なんで君がいるの?」
という話に繋がる。
そのまま話ながらも、伽羅磁を外の警備本部まで連れていき。
「怪我がないか、お調べいたしますので、こちらのテントまでお越しください」
医療チームに引き渡された。
そのまま調べた襲撃者の情報の報告を、正式な書類という形で行う。
「はい、お疲れ様でした」
襲撃者直後に召集されたのは、すぐに捕まるし、おそらくこいつらは問題ないだろうなという曖昧な判断基準なので、がっちりと裏も取れた、安全な人員が出動することになると解放になる。
(こういうときって、お金いいから、必要なときに名前が上げられることが美味しいのです)
美味しいといっても、そこまでではないし、最初に組んでいた人間のように、恐怖と緊張感による忌避反応は出やすいし、何かのきっかけで出てしまうことはある。
あるんだが、この人間はそういった耐性が人よりはあるらしい。
(メンタルトレーニング受けておいて良かった)
それこそ苦行とされるメンタルトレーニングを家庭の事情で受けていたタイプ。
(こっちに出てきて良かったな、ちゃんとお金にもなるし、実家だと奉仕扱いで、好きなものとか買えないしな)
この出動分で何を買おうか、長柄の槍…ノコ刃の奴とかいいな、錆びないやつ、やっぱり軽いのが最高だよ。
「妄想で楽しんでいるところ申し訳ないが」
「はい!…あれ?伽羅磁さん、も、お帰りですか?」
「ああ、ちょうど君を見かけたんでね」
そういう伽羅磁はサラリーマンの帰宅に見える。
「こっちの世界の人間だって、相変わらず見えないお姿ですね」
「自分でもそう思うが、こういう格好が一番どこでも溶け込むからな」
そういいながらも、スーツの生地からこだわっているのは知ってる。
(鮫羊だっけ?羊鮫だっけ、あれの毛とか前に言ってたな)
それはまさかイチイとかいうサメの毛じゃないですかね。
「なんで伽羅磁さんって、そんなサラリーマンの格好であんなに動き回れるんですか?ビリってスーツやシャツが破れたりしないんですか?」
「そこは前も言ったろ?素材から違うんだよ、同じように見えて…いや、同じように見えるかね?」
「そこまでわかる人間は大分目が越えてますよ」
「君の目にはわかってるようだが」
「気のせいでは?」
「ひねくれものだな」
「あなたに、ひねくれもの扱いされるのは相当だと思いますが」
「素直ではない」
「まあ、この辺は許してくださいよ」
「食事はまだか?」
「あっ、まだですね」
「一緒に食べてください」
「えっ?あっ、いいですが」
「酒は飲むなと言いつけられましたから、お酒は今日は無しです、だから食事にです」
「他に食べる人いないんですか?」
「…」
「そういうのは作ったらいいのでは?」
「君のように幅広い交遊関係は必要ないと思いますよ」
「そんなことをいうから、世界が閉じるんですよ、言葉も古臭くなる、そこまで世間は拒絶しないだろうから、もっと心を開けいい」
「心を開いてない人間にそれを言われるとは…」
「はっはっはっ、この仕事についている間は無理です、迷ったら、鉈は振るえなくなる」
「そんなところは好感がもてます」
「何食べます?」
「私の行き着けでいいですか?」
「堅苦しいところはごめんです」
「私もこういうときはそんな店は選びませんよ」
連れていかれたところは、路地裏の隠れ家といったところで、静かなお店だった。
「あら?今日はお友だちも?初めてじゃないですか?誰かを連れてこられるのは」
店の大将がそんなことをいっていた。
「初めまして、今日はよろしくお願いします」
「これはまたご丁寧に、今日もカウンターですか?」
「いや、座敷にします」
そういってお座敷に二人の客が座っていたが、若い方がひたすらしゃべっていた、そしてそれを聞いて、伽羅磁は相槌をうったりして。他の人からすると、何が楽しいのだろうか?と言われそうだが、本人たちは楽しいようだった。

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