浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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私の首をとるチャンスだぞ

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「お帰りなさいませ」
「ああ、まだいたのか」
「いましたが?何か?」
「君じゃなかったのか?」
「何の話…ああ、僕が裏切ったのだと思われたのですね?」
「そうだ、先程の駐車場での騒ぎは?」
「防犯カメラで確認し、すぐに救援を呼びました」
「仕事が早いな」
「そうでしょうか?しかし、隙をつかれたのは失態です」
「そうだが…」
戻ってきた幹部は笑いながら。
「ああ、これは覆木(おおうき)さん達の書類か」
「失礼します」
そういって中身を改め始める。
「では手続きは通すと言うことで」
「ああ、頼む。しかし、君は欲がないのかね?」
「何の話ですか?」
「私の首をとるチャンスだそ」
「そんなものはいりません」
「なぜ?」
「あなたの首に価値がないとはいいませんが、その後がどうしても困る」
「怖い男だな」
「そうでもなきゃあなたの側で仕事は出来ないでしょ」
「確かに違いない」
そこで腹の底から笑った。
「すまない、なかなかにおもしろかったものめ、こんなに大笑いをするのはいつぶりだろうか」
「そんな生き方しているからじゃないですか?だから一人で、笑いも少ない」
「だろうな」
「そうなってもやりとげたいことがあるのならば、誰かがどうにか言うのはいかがなものですかね。すいません、少し離席します」
「ああ、そこら辺に残党がいるかもしれないから、気を付けてくれよ」
「ご忠告ありがとうございます」
するとバッ!と事務員の後ろに降りてくる影があるのだが。
振り向き様には影を殴って、一撃で昏倒させた。
「やるじゃないか」
「いつものことです、警備が来るまで起きないとは思いますが、起きてしまったら対処はご自分でお願いしますね」
「ああ、わかったよ」
そういう事務員が歩き、廊下の曲がり角、階段にも一人潜んでいたのだが。
パン!
油断したはずではないのに、待ち構えていたはずなのに、先手を取られて、頭を壁に叩きつけられた。
「全く困ったものだな」
叩きつけられ倒れ落ちた襲撃者と比べればわかるが、事務員とはかなり体格差がある。襲撃者たちは長身で、様々な訓練を身に付けてきたのであろうと推測できるのだが、それでも事務員の前ではこうなのだ。
「ちょっと腹が立ってきたな、明らかにこいつならいけるって事で狙ってきたんだろうなっていうのがわかるかもしれない」
事務員とはいえ、こちらの世界の人間だからでは済まされない、ひょっとしたら高名な人物?と考察も進みそうである。
「これもう一人ぐらい相手にすることになったら、残党狩りをしようかな」
自分の感覚が研ぎ澄まされるものがあり、こうなると中途半端はいけない。
そんな風に思いトイレに向かうと、今度は先程よりもかなりこちらが弱い、一般人と思って仕掛けてきたので。
顔面を叩きのめした。
「あ~おとなしく済ませようと思ったのにな、僕はただの事務なんだから、こういう仕事はやらせないでおくれよ」
先程の喋りより、乗ってきているのがわかる。
幹部に連絡し。
「残業してきます」
一方的に言いたいことを言ってすぐに切った。
何人ぐらいかな、潜んでいるの、思ったよりも多くいてくれると嬉しいんだけどもさ。
一人目の奴はすごかった、ちゃんと潜んでてくれた、寸前まで気づかなかった、あのぐらいの覚悟を持って、襲撃してもらいたいものだな。
そういい気分になってると、何かに気づいた。
あ~とてもいい気分だったのにさ、なんで雑に隠れているわけ?
そんなんじゃ狙ってくださいってことなんでしょ?
自然と動いて、そのまま拳を入れていく。
ドサドサ
隠れていたところを狙われたために、崩れ落ちていった。
外部の警備が駆けつけるとしたら、後何分?そんなに時間はないか…なら、その時間までに何人見つけれるか、楽しみだ。


「伽羅磁(きゃらじ)さん!ご無事ですか」
「あれ?君がなんでいるの?」
「人足りなくて、かき集められたんですよ」
「信頼されている証拠だな」
「何を呑気に、お怪我はありませんか?」
「僕を心配してくれるのは君ぐらいだよ」
「何いっているんですか、あなたは人に好かれている方ですよ」
「そうかな」
「そうですよ」
「しかし、君もなかなかに無茶してここまで来たんじゃないの?」
「いえ、なんかこう、むしろここは嫌煙されてましたから」
理由、屍の山を辿ってきたから。
「他のやつら根性がないな」
「今の時代そういうのを求められても」
「でも君はいつも話しやすい」
「そういう訓練している人間だからでしょうね」
「そうか、そうでもないと俺はおっさんだから、話が合わないのか」
「しょんぼりしないでくださいよ、なんで変なところでメンタル弱いんですか」
「そりゃあ、弱くもなるわけよ、自分がおっさん…そうなんだが、おっさんになることを目指して生きてきたわけじゃないから、やっぱりショックすぎて」
「はいはい、それじゃあ、みんなと合流しましょうね」
「カウンターで美味しいお酒が飲みたい」
「俺でよければ付き合いますから、今はいい子にしててください」
「わかった」
よくはないが、たまにある組合への襲撃も早々に鎮圧された。
「伽羅磁さんって、なんで警備に行かないんですか?」
「僕みたいなのは見た目で弱そうだから、なれないんだよ」
残念そうにいうのだけども、今回の襲撃、残党な処置においては間違いなく伽羅磁の存在は目立っている。
立場としては中立、でも敵でも味方でも片寄らない人間なので。
「本当にうちの組合は厄介な人間が多い」
幹部にはそう数えられている。
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