浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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夏の句 君と二人で 言い合える

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『夏の句 君と二人で 言い合える』

「句ですか?」
「句です」
セミも鳴いている、ヒマワリも咲ききっているので、なんと夏らしい日の午後、ただ出来るのならばもっと涼しくてもいいというやつだ。
宿題もこの二人は特に遅れるタイプではないこともあってなのか、厳しい先生には何故か好かれるので、このような課題を一つ増やされた。
『言葉の上手さとか求められてもね』
『まあまあ、先生も何かしらの意味があってだと思うよ』
575、575と考えろというと、なかなかに浮かばないもの。
「まずは難しく考えないでさ」
指で数えながら、言葉を考えた。
「昼飯を 小銭片手に ざるの大」
「ざるの大で足りるの?」
「足りない」
「私では多いんだけどもね」
食堂は事前にお金を用意して行くといいのである。
「最近は一般の人も来るのはわかるが、まあ~その、安いからなんだろうけどもね」
「そこはね、学生値段というか」
500円前後でお腹一杯になれます。
「水でほぐせば食べれるタイプの麺だから、すぐに準備できるサラダそば、うどんとかで済ませる時はあるわ」
「それで足りるの?」
「だから小さい枝豆のおにぎりは持ってきてる」
「手作り?」
「手作りといえば手作りだけどもさ、枝豆がね、今の時期収穫されたりするから、農学部に顔を出してさ、一度買ったら、次からは連絡が来るようになって」
どうする?って聞いてくるのである。
畑から収穫された枝豆が軽トラでやって来る。
「みんなで一緒にむしりとって、茹でたものに塩を振ったものを使ってます」
「旨そう」
「美味しいわよ、やっぱり鮮度ねっては思うわ」
「次、茹でるとき呼んでよ」
「いいけども、お天気次第よ、出荷次第ね」
「最近お米も足りないというか、制限かかかってるんでしょ?」
「そうね、でもまだ普通に買えるわね、ジャムや缶詰の実習は農学部じゃなくても参加できるから、行こうと思ってるわ」
「そっちも是非ご相伴上がりたいね」
「お腹減っているのならば、家政科に直接お金払った方がいいわよ、あそこは今、夏の麺を試しているから」
「そういうんじゃないんだよ」
「ん~難しい」
「一緒に楽しいってことが大事なんだよな」
ここでハッとした、つい本音を口にしてしまったのだが。
(なるほど定年退職蕎麦打ち理論みたいなもんか)
「娯楽として過程を楽しむのは大事だからな」
(たぶん勘違いしてるな、まあ、それならばそれでいいけどもさ)
そこから夕暮れになるまで、二人は句になりそうな言葉を探したという。



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