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そこらにウーヨウヨ
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「そんなわけでイチイくんは友達が多いんだよね」
「それで本当はみんなにも食べてもらいたいんだけども、困っていたのね」
松灰(まつばい)夫婦の会話というやつである。
「際限なくサメのみんなが増えるのもな…でも友達一人づつだとね」
わかった、順番が来るまで我慢はするが、美味しいものを見るだけならば許してくれ。
そういってイチイとその日のサメの食事風景を窓にびっしり他のサメが張り付いている、恐怖映像になっていた。
「問題はお金?」
「それもあるけどもね、ただサメに理解がある職場だから、予算は出ないわけではないとは思うけども」
サメについて語ると止まらない人が、アイシスの発起人でもあるので、おそらくは出す、出しては来るが、他の人間が渋い顔をするのではないかというのは目に見えている。
「サメって甘いものは好きなのかしら」
「好きだよ、ハチミツのために蜂の巣をわざとそのままにするぐらいだね」
蜂が多くなるシーズンいかがお過ごしでしょうか?川にあるこのボロ小屋、歴史ある木造建築はこの川に住むサメにとっては大変大事なものなのです。
あたたかくなると蜂の姿が多くなってくるので、なんか多いなと思って、小屋を見に行きますと、ありました、蜂の巣です。まだ完成はしてませんね、人間の握りこぶしぐらいでしょうか?
もうちょっと待ってみましょう。
ぶんぶ~ん
はい、蜂がさらに多くなってきました、このままだと川に遊びに来てくれる釣り人のみなさんが刺されるかもしれませんので、夕暮れになったら収穫にいきましょう。
「それで刺されながら、サメにとっては普通の蜂は痛くないから、そのまま気にしないで蜂の巣をぶちっと取って、友達と分けているって」
頭が良くて強すぎる体を持つからこそできる方法。
「これも栽培になるのかな?」
「収穫しているなら栽培じゃない?」
「まあ、そうなんだけどもね、サメって調理するっていう文化もなかったもんだからね、人間の食べ物はみんな好きなんだよ」
松灰の料理の腕は、自炊を嗜んできた程度なのだが。
「サッ」
「彼は何て言ってるんですか?」
サメの言葉が理解できる勾飛(まがとび)に聞くと。
「お米って、こんなに美味しいの?」
「お米を食べたことがなかったの?」
今日はご飯をおにぎりにしたのだが。
「サッ」
「カラスが収穫後の残りを狙っていたのを見て、カラスを追い払う時にちょっと食べてみたけども、こんな味じゃなかったよ」
「それは…下手すると籾のままなのでは…」
「かもしれませんね」
そのままお米について教えると。
「サッ?」
なんでそんな難しい行程を経てまでして美味しいものを作ろうとするのだろう?
若いサメだったので、一年に一回の収穫という時間の感覚が理解しにくいらしい。
「それはね、我々はサメに負けないぐらい食いしん坊だからさ」
その答えにサメはショックを受けた。
敵わない、人間のこういうところには、サメは決して敵うことはないのだと。
「それでね、そのサメは米と水をKCJに用意してもらって、そのまま一回食べたんだけども、おにぎりの味にはならない、人間はすごいって」
「お腹壊さなかったのかしら?」
「それはないみたいだけどもね」
「予算を考えて、サメのみんなにちょっと美味しいものを、ある程度まとまった量を出すならこれがあるわね」
酒粕である。
「これを手でちぎって、水に入れて、火をかけて、味を整えれば、鍋で甘酒できるわよ」
「へぇ~そんなのあるんだ」
「すり鉢で細かくしてもいいんだけども、手でちぎっても出来るね」
「一回試して見ようかな」
「色んなお酒メーカーのがあるから、バリエーションも同じようでも作れるし、人ならばちょっと食事制限引っ掛かりそうでも、サメなら大丈夫でしょ?」
最初はそんなわけで手でちぎっていたが、試しにすり鉢でやってみたところ、すり鉢の方がよく混ざるのと。
(なんだろう、無になれる)
一心不乱にサメのために酒粕をすり鉢で擦っていくというのは、仕事の不安や迷いが消えていくことにもなった。
「こんなところかな」
酒粕によって味はみんな違うのだが、サメたちのために甘めに仕上げることにしている、砂糖を変えたり、生姜を加えたりして調整をし。
「イチイくん、味見」
小皿でイチイがチュルリと飲むと、顔が明るくなった。
保温の鍋に移して、今日一緒に食事をしたサメと共に鍋と甘酒用のカップを運んでいく。
アイシスの拠点は、元々城跡だった場所、そこに隣接するように建てられている住宅なので、場所柄守りに強いし、サメはそこらにウーヨウヨといる。
ガレージを一つ、そんなウーヨウヨ休憩所として利用しており、そこに鍋と食器を運ぶ時間になると、ウーヨウヨの密度が急に減ると言います。
「そのせいで甘酒好きなサメがいるんですよね」
サンタに飲みたいとせがむレッドノーズがでると、しょうがねえなとKCJに注文が来るぐらい。
もちろん一匹にだけというわけにはいかないのだ。
「これすごい助かってる、サメは本気で食べちゃうといくらでも食べれるからさ、どこかでサメを止める必要があるんだけども」
実はサメはよく食べるが、食べれないときにも生きていける省エネモードがあるので、実はそこまで食べなくてもいいのである、だがこれはあくまで理論的な話で。
「一度日本の食べ物を覚えたら、もう忘れて暮らすのは無理みたいだしな」
甘酒はよく食べるときも、省エネモードでもどっちでも飲める嗜好品扱いになってるようだ。
人間でいうなら罪悪感を持たずに口にできるものといったところかな。
「それで本当はみんなにも食べてもらいたいんだけども、困っていたのね」
松灰(まつばい)夫婦の会話というやつである。
「際限なくサメのみんなが増えるのもな…でも友達一人づつだとね」
わかった、順番が来るまで我慢はするが、美味しいものを見るだけならば許してくれ。
そういってイチイとその日のサメの食事風景を窓にびっしり他のサメが張り付いている、恐怖映像になっていた。
「問題はお金?」
「それもあるけどもね、ただサメに理解がある職場だから、予算は出ないわけではないとは思うけども」
サメについて語ると止まらない人が、アイシスの発起人でもあるので、おそらくは出す、出しては来るが、他の人間が渋い顔をするのではないかというのは目に見えている。
「サメって甘いものは好きなのかしら」
「好きだよ、ハチミツのために蜂の巣をわざとそのままにするぐらいだね」
蜂が多くなるシーズンいかがお過ごしでしょうか?川にあるこのボロ小屋、歴史ある木造建築はこの川に住むサメにとっては大変大事なものなのです。
あたたかくなると蜂の姿が多くなってくるので、なんか多いなと思って、小屋を見に行きますと、ありました、蜂の巣です。まだ完成はしてませんね、人間の握りこぶしぐらいでしょうか?
もうちょっと待ってみましょう。
ぶんぶ~ん
はい、蜂がさらに多くなってきました、このままだと川に遊びに来てくれる釣り人のみなさんが刺されるかもしれませんので、夕暮れになったら収穫にいきましょう。
「それで刺されながら、サメにとっては普通の蜂は痛くないから、そのまま気にしないで蜂の巣をぶちっと取って、友達と分けているって」
頭が良くて強すぎる体を持つからこそできる方法。
「これも栽培になるのかな?」
「収穫しているなら栽培じゃない?」
「まあ、そうなんだけどもね、サメって調理するっていう文化もなかったもんだからね、人間の食べ物はみんな好きなんだよ」
松灰の料理の腕は、自炊を嗜んできた程度なのだが。
「サッ」
「彼は何て言ってるんですか?」
サメの言葉が理解できる勾飛(まがとび)に聞くと。
「お米って、こんなに美味しいの?」
「お米を食べたことがなかったの?」
今日はご飯をおにぎりにしたのだが。
「サッ」
「カラスが収穫後の残りを狙っていたのを見て、カラスを追い払う時にちょっと食べてみたけども、こんな味じゃなかったよ」
「それは…下手すると籾のままなのでは…」
「かもしれませんね」
そのままお米について教えると。
「サッ?」
なんでそんな難しい行程を経てまでして美味しいものを作ろうとするのだろう?
若いサメだったので、一年に一回の収穫という時間の感覚が理解しにくいらしい。
「それはね、我々はサメに負けないぐらい食いしん坊だからさ」
その答えにサメはショックを受けた。
敵わない、人間のこういうところには、サメは決して敵うことはないのだと。
「それでね、そのサメは米と水をKCJに用意してもらって、そのまま一回食べたんだけども、おにぎりの味にはならない、人間はすごいって」
「お腹壊さなかったのかしら?」
「それはないみたいだけどもね」
「予算を考えて、サメのみんなにちょっと美味しいものを、ある程度まとまった量を出すならこれがあるわね」
酒粕である。
「これを手でちぎって、水に入れて、火をかけて、味を整えれば、鍋で甘酒できるわよ」
「へぇ~そんなのあるんだ」
「すり鉢で細かくしてもいいんだけども、手でちぎっても出来るね」
「一回試して見ようかな」
「色んなお酒メーカーのがあるから、バリエーションも同じようでも作れるし、人ならばちょっと食事制限引っ掛かりそうでも、サメなら大丈夫でしょ?」
最初はそんなわけで手でちぎっていたが、試しにすり鉢でやってみたところ、すり鉢の方がよく混ざるのと。
(なんだろう、無になれる)
一心不乱にサメのために酒粕をすり鉢で擦っていくというのは、仕事の不安や迷いが消えていくことにもなった。
「こんなところかな」
酒粕によって味はみんな違うのだが、サメたちのために甘めに仕上げることにしている、砂糖を変えたり、生姜を加えたりして調整をし。
「イチイくん、味見」
小皿でイチイがチュルリと飲むと、顔が明るくなった。
保温の鍋に移して、今日一緒に食事をしたサメと共に鍋と甘酒用のカップを運んでいく。
アイシスの拠点は、元々城跡だった場所、そこに隣接するように建てられている住宅なので、場所柄守りに強いし、サメはそこらにウーヨウヨといる。
ガレージを一つ、そんなウーヨウヨ休憩所として利用しており、そこに鍋と食器を運ぶ時間になると、ウーヨウヨの密度が急に減ると言います。
「そのせいで甘酒好きなサメがいるんですよね」
サンタに飲みたいとせがむレッドノーズがでると、しょうがねえなとKCJに注文が来るぐらい。
もちろん一匹にだけというわけにはいかないのだ。
「これすごい助かってる、サメは本気で食べちゃうといくらでも食べれるからさ、どこかでサメを止める必要があるんだけども」
実はサメはよく食べるが、食べれないときにも生きていける省エネモードがあるので、実はそこまで食べなくてもいいのである、だがこれはあくまで理論的な話で。
「一度日本の食べ物を覚えたら、もう忘れて暮らすのは無理みたいだしな」
甘酒はよく食べるときも、省エネモードでもどっちでも飲める嗜好品扱いになってるようだ。
人間でいうなら罪悪感を持たずに口にできるものといったところかな。
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