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名推理聞かせてもらいましょうか?
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「改めてようこそ、独身寮へ」
「これからはよろしくお願いします」
新人さんが寮にやってきたのだが、浄水センターの独身寮、最古参はもう何年も前からおっちゃんだったりします。
「離婚して戻ってくる人もいるんだけども、ずっといるのはやっぱりおっちゃんやな、ただ最古参っていうと拗ねるから気をつけて」
「じゃあ、なんとお呼びしたら」
「ヌシやな、おっちゃんはサメやからか、ヌシって呼ぶと、悪い気はしないらしくて、ヌシやヌシ、とりあえずそう呼べば間違いなし、そやなおっちゃん!」
ポーン
「うわ、おっちゃん、返事を腹叩いてしたわ」
「いい音ですね」
ポーン
「何をどれだけ食べたらあんないい音出せるようになるんやろ」
『ぼるしち』やな。
「ボルシチ!」
なんか受けた。
「ずいぶんハイカラなものをお食べになるですね」
「いや、これは違うな」
「おっ、名探偵の登場や、それなら、探偵さん、名推理聞かせてもらいましょうか?」
「ボルシチの材料は何かわかるか?」
「全部は知らないが、赤いやつ」
「日本では馴染みのない野菜が使われていたりしますね」
「そう、それで、昔の人はな、ボルシチってうまい料理があるだけども、食べてみたいわって、ある材料でこれがそうなんじゃないか?それでこの辺には『ぼる七』っていうB級グルメがあってな、おっちゃんの言う『ぼるしち』なんじゃないかって」
「なんで『ぼる七』なんですか?店名か何か何ですか?」
「材料が七つだから『ぼる七』」
「その理屈なら、『ぼる八』や『ぼる九』もありそう」
「俺が知っているところは『ぼる十五』までだったかな」
うちが『ぼる十五』になったのはですね、その昔、うちの先代の頃の話ですね、お母さんから話だけは聞きましたが、あちこちの店で『ぼる七』を出すようになって、 同じものではダメってことで、色んなお店が色んな味の『ぼる七』を出すようになって、でもたくさん材料が入れば美味しいものでもないんですよね、これが。
このお店では、隠し味がウインナーが効いている。
「しかしな、このご時世で『ぼる七』自体を出している店も少なくなってるからな、知らん人間も多くはなってきたから、本家のボルシチと間違えそうになるのはしょうがないし、このサメは食べ物のことになると、誤魔化そうとする、観念せいおっちゃん」
ギクッ
「おっちゃんが行くようなお店はお手軽価格で結構旨いことで昔から有名やからな、どこのお店で『ぼる七』を食べたんですか!」
商店街東口バス停そばに新しく出来た洋食屋さんは、勤めていたホテルから独立して店を出したといいますが、賄いの『ぼる七』を食べていたとき、なんかおかしいなと思ったら、サメの視線に気づきスプーンと心臓が一瞬ビクッとなる。
「イサリ、お前、そんなことしたら苦情が来るぞ」
所長から怒られましたが。
小学生の頃水族館に来てた子やったから、大丈夫かと思って…
店長さんは最初水族館からまさか逃げてきたのか?と疑ってましたが、その後今は浄水センターの職員でと名刺を渡して、スマホで自分のニュースを見せたりした。
「故郷に帰ってきたら、サメが出世してたのが一番驚いた、どうやったら水族館の淡水コーナーから浄水センターの職員になれるのさ」
そうやな、最初は異論あったわ、サメを雇うだなんてどうにかしてるって、試験は人間のみなさんと同じく受けたのにな。
成績は上位優秀でした。
それが最近は嫌みは言われんな、これもススムが、所長やな、よく水族館に来とった子で、嫁がアイドルというの以外はいい奴なんだけども。
「嫁がアイドル?えっ?有名な人?」
知らない?こっち出身の…
「あっ、あの人か、わかる、わかる、顔はわかる」
そうおっちゃんが結婚相手をアイドルにしたい理由、所長としては幼なじみと結婚したなのだが、幼なじみが一時アイドルをやっていたため、結婚する報告をススムから受けたとき、おっちゃんもアイドルと結婚するもんと言う、そう!これは見栄から来ているのである。
それ故に見合いの話もパタッと無くなった。
そこだけちょっと現実が見えてない、それがこのサメの欠点と言える。
「サッ」
悪いサメではないが、下手に紹介すると生きるか死ぬかになってしまう。
レッドノーズなど違う川のサメとは関係性が悪くはないだけに、本当にこれさえなければ、群れのヌシになっていたかもしれない。
「これからはよろしくお願いします」
新人さんが寮にやってきたのだが、浄水センターの独身寮、最古参はもう何年も前からおっちゃんだったりします。
「離婚して戻ってくる人もいるんだけども、ずっといるのはやっぱりおっちゃんやな、ただ最古参っていうと拗ねるから気をつけて」
「じゃあ、なんとお呼びしたら」
「ヌシやな、おっちゃんはサメやからか、ヌシって呼ぶと、悪い気はしないらしくて、ヌシやヌシ、とりあえずそう呼べば間違いなし、そやなおっちゃん!」
ポーン
「うわ、おっちゃん、返事を腹叩いてしたわ」
「いい音ですね」
ポーン
「何をどれだけ食べたらあんないい音出せるようになるんやろ」
『ぼるしち』やな。
「ボルシチ!」
なんか受けた。
「ずいぶんハイカラなものをお食べになるですね」
「いや、これは違うな」
「おっ、名探偵の登場や、それなら、探偵さん、名推理聞かせてもらいましょうか?」
「ボルシチの材料は何かわかるか?」
「全部は知らないが、赤いやつ」
「日本では馴染みのない野菜が使われていたりしますね」
「そう、それで、昔の人はな、ボルシチってうまい料理があるだけども、食べてみたいわって、ある材料でこれがそうなんじゃないか?それでこの辺には『ぼる七』っていうB級グルメがあってな、おっちゃんの言う『ぼるしち』なんじゃないかって」
「なんで『ぼる七』なんですか?店名か何か何ですか?」
「材料が七つだから『ぼる七』」
「その理屈なら、『ぼる八』や『ぼる九』もありそう」
「俺が知っているところは『ぼる十五』までだったかな」
うちが『ぼる十五』になったのはですね、その昔、うちの先代の頃の話ですね、お母さんから話だけは聞きましたが、あちこちの店で『ぼる七』を出すようになって、 同じものではダメってことで、色んなお店が色んな味の『ぼる七』を出すようになって、でもたくさん材料が入れば美味しいものでもないんですよね、これが。
このお店では、隠し味がウインナーが効いている。
「しかしな、このご時世で『ぼる七』自体を出している店も少なくなってるからな、知らん人間も多くはなってきたから、本家のボルシチと間違えそうになるのはしょうがないし、このサメは食べ物のことになると、誤魔化そうとする、観念せいおっちゃん」
ギクッ
「おっちゃんが行くようなお店はお手軽価格で結構旨いことで昔から有名やからな、どこのお店で『ぼる七』を食べたんですか!」
商店街東口バス停そばに新しく出来た洋食屋さんは、勤めていたホテルから独立して店を出したといいますが、賄いの『ぼる七』を食べていたとき、なんかおかしいなと思ったら、サメの視線に気づきスプーンと心臓が一瞬ビクッとなる。
「イサリ、お前、そんなことしたら苦情が来るぞ」
所長から怒られましたが。
小学生の頃水族館に来てた子やったから、大丈夫かと思って…
店長さんは最初水族館からまさか逃げてきたのか?と疑ってましたが、その後今は浄水センターの職員でと名刺を渡して、スマホで自分のニュースを見せたりした。
「故郷に帰ってきたら、サメが出世してたのが一番驚いた、どうやったら水族館の淡水コーナーから浄水センターの職員になれるのさ」
そうやな、最初は異論あったわ、サメを雇うだなんてどうにかしてるって、試験は人間のみなさんと同じく受けたのにな。
成績は上位優秀でした。
それが最近は嫌みは言われんな、これもススムが、所長やな、よく水族館に来とった子で、嫁がアイドルというの以外はいい奴なんだけども。
「嫁がアイドル?えっ?有名な人?」
知らない?こっち出身の…
「あっ、あの人か、わかる、わかる、顔はわかる」
そうおっちゃんが結婚相手をアイドルにしたい理由、所長としては幼なじみと結婚したなのだが、幼なじみが一時アイドルをやっていたため、結婚する報告をススムから受けたとき、おっちゃんもアイドルと結婚するもんと言う、そう!これは見栄から来ているのである。
それ故に見合いの話もパタッと無くなった。
そこだけちょっと現実が見えてない、それがこのサメの欠点と言える。
「サッ」
悪いサメではないが、下手に紹介すると生きるか死ぬかになってしまう。
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