浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
604 / 1,093

住宅地にいたけども

しおりを挟む
「何かあったらすぐに助けを呼ぶこと」
そうは言われても、本当に恐ろしいときは声などはでないものだ。
ただ運は良かった。
がちゃん
教室にいたため、気づいたら、自分を補食しようとスライムが体を広げて、その影に入ったとき、後づさりの際にいろんなものをひっくり返したせいで。
なんの音だと、傘目(かさめ)が教室に入ってきて、そのままスライムを叩きに行った。
「逃げて」
「は、はい」
「他の先生に助けを求めて」
そういって這うようにそこから逃げていく生徒。
(しかし、分が悪いな)
今ので切れなかった。
そしてなんだか、感触からこれはただのスライムではないのではないかと思っていたら。
「魔法いる?」
「えっ?あっ?はい」
後ろに白万(はくまん)ともう一人いる。
「どうも彼氏です」
「ああ、後ろを向けませんが、どうもお世話になっております」
「じゃあ、とりあえずスライムの法則を書き換えますね」
ふよふよ
書き換えられるとスライムは中に浮き出して収束してうなうねしている。
「あっ、もうこっち見えてないんで、距離とって大丈夫です、う~ん」
「どうしたの?」
「凍りつき方がスライムっぽくないな、これかなり犠牲者だしているか、それとも違うかだな」
パチッ
静電気のような音をして、スライムが確保された。
「あの埃っぽいのみんな目ですし」
「あれ全部目?」
「目ですよ、それでこっちを把握してるんで、まずはそこをわからなくさせているので、スライムにとっては音も光もない世界につれてかれたようなものなんですが、もしもこれが仮定通りなら」
彼氏はそういって自分の世界に入っていく。
「ごめんなさいね、そういう人なの」
「でもどうしてすぐに?」
「覆木(おおうき)さんからしばらくは先生も見てやってくれと、魔法が必要な場面が増えるかもしれないからって、さすがにデート中に出番があるとは思わなかったけども」
「これはもしかして…」
「研究者肌だな」
「そのぐらいおもしろいってことは、世間ではとても危険なものなんだけどもね」
「なるほど」
「何かわかったみたいね」
「うん、さっきの生徒さんだっけ?あの子のこれ関係者だね」
「えっ?これは人だったりするの?」
「生霊みたいなもんかな、生霊スライムっていえば属性としてはわかりやすいかな、嫉妬によって変質しちゃってて、たぶんなった方は無自覚だし、ええっと狙われた生徒さん以外にも被害者はもう…二人異性なのはわかった」
「そういうのも関係あるの?」
「これ、同性に嫉妬して、異性を誘惑というか地獄に連れていくんじゃないかな」
「それは恐ろしいわね」
「うん、だから先に目を潰して正解だったし、白万さんが」
「ユズリさん」
「ユズリさん一人だけだとたぶん難しかったと思うんだよね」
「どこら辺が?」
「さっきも言った通り、同性には嫉妬するから、魔法を使える女性は嫉妬の対象にたぶんなるかな、この生霊スライム、妬ましいでいろんなものを奪ってきちゃった、それで犠牲になった人っていうのは誘惑に負けちゃったからなわけで」
「人としては美人とか?」
「かもね、さっきの生徒さんと年は同じぐらいだろうから、それはあり得るが、もうスライムだしな」
「剣も俺が未熟なせいか、通りがいまいちでした」
「これ切れたら、剣聖とかじゃないかな、ねばねばしているわ、本来ならば研究したい個体ではあるけども、それだと生徒さんも安心できないだろうから、凍らしたらそのまま燃やしてか、でもできるなら呪いにならないように変質させたいんだがな」
「ああ、それならば心当たりが」
「誰?」
「サメくんの兄弟子さんたち、さっきシュビビン言わせているの見たから、あっ、もしもし覆木さん、俺ですが、実は」
覆木を通して、サメくんの兄弟子が二匹やってきた。
「サッ」
先程はどうも。
「お仕事中だったようなので失礼しました」
「傘目先生、忍ジャメのお仕事中、見つけることができるの?」
「最初はなんだかわからなかったんですが、先日新聞もみましたし」
兄弟子たちが元気でやっているか弟弟子を見に来たところ、刃物を出して、警官に囲まれている現場に遭遇し。
確保が難しそうだったために。
ギュイ
体を入れて割って入り、犯人を捕まえることに協力、ギュイという音は、刃物とサメ肌が擦れる音である。
「サッ」
表彰はするとはいってくれたが、トドメをさしていない状態で、録を受けるのもなんだしね。
「そういう考えって大事ですよ」
白万は傘目がサメと会話しているのにも驚いた。
(ギリシャ語も読めて、サメと会話できるってどんな逸材を放置しているのよ)
「サッ」
しかし弟弟子が身を寄せている真中(ただなか)さんから、お礼にナポリタンというか、喫茶店に私は初めて行ったが大変良かった。
そう、現在、なんで兄弟子たちがこの街にいるかといったら、弟弟子を見守るためといいながらも、この街の喫茶店文化にカルチャーショックを受けたからである。
このクールな忍ジャメ達が、ナポリタンが提供されたときに。

テーブルマナー、テーブルマナー!

フォークを持つヒレが震える。

と見事に動揺してしまった。

そして食べた瞬間。
(あっ、これははまったな)
真中はサメの食べ物に対するわかりやすい顔、反応に気づいたという。
そこから里から休暇、いや、弟弟子を見守るために街に兄弟子、姉弟子が来るようになっているのだが、そこがサメくんがカバーしきれない部分の治安も担っていた。
「サッ」
この人霊スライムは熊の寝床に送らうと思うんだが、それでよろしいかね。
「あっ、お願いします」
「サッ」
それで一つ聞きたいのだが、さっき見つけた熊はどこに届ければいい? 
「はっ?熊?」
「サッ」
うん、住宅地にいたけども、勝手に捕まえたらまずかったかな?
はい、そのまま通報しました。


「それは大変でしたね、傘目先生」
そこから熊が出来れば毛皮がほしいという兄弟子のために、傘目は書類を書いたりしたという。
「ニュースでは聞いてはいたが、まさかいるとは思わなかった」
「さすがに熊はね」
いろいろとスケジュールが変わったので、水芭(みすば)に連絡して、道場へ顔を出すためのおにぎり等を頼んでいた。
「あっ、これ白万さんたちから、みなさんの分のお土産だそうです」
地域限定スナック、キャベツうどん味。
「これはどうも」
「ああそうだ、水芭さんの差し入れ、料理にお母さん達が感謝をしておりました、そちらは純粋に感謝なのでお伝えします」
「それはどうも」
「一昔前は、父母会で持ち回りで差し入れを作ってましたから」
「それがどこで変わったんです?」
「うちの流派でKCJの戦闘許可書を最初にとった人たちですね、その人たちがお金が入ったので、それこそ持ち回りで、今はそういう仕事している人たちがメインですかね、ちょっと前までは社会人組が出していたんですが、物価がね」
「あ~」
「私だとここで頼めますが、KCJの戦闘許可書持ってると、KCJの食堂で頼めますから、今はほぼ二択です、ここか向こうかって、ただ先日うちの門下、俺の先輩でお見合いをした人がいるんですが、そちらのお見合い相手の関係を是非にお使いくださいと迫られてて」
「そういうのは、出来れば断った方がいいですね」
「弱味とはいいませんけどもね、うちの流派は金銭面と情報面では弱いところがあるからな、こちらがそういう意味では羨ましいですよ」
ピー
「失礼」
ご飯蒸らし終わりのお知らせ。
「先生、軽く食べますか?」
「いいんですか?」
「賄いですけどもね」
大粒ホタテの炊き込みご飯に、刻んだ海藻とオクラと、すりおろした山の芋がのったもの。
それを提供してから、水芭はご飯を混ぜ込んだり、味をつけたりしていた。
「何キロ炊いたんです?」
「20キロですね」
「20…」
「でも食べちゃうでしょう」
「はい」
最近じゃ、社会人、世帯持ちのみなさんも食べてから帰ったりしているようです。
「賄いどうですか」
「美味しいです、これ賄いですか」
「食材の量が少ないので、その山の芋、兄弟子さんたちが持ってきてくれたんですよ」
代わりにサンドイッチを用意したところ。
「サッ」
サンドイッチ…パセリ、中身は厚焼き玉子だと…
渓流育ちは動揺しまくっていたという。
「連絡を受けてから準備していたら、魚屋さんが鰺を持ってきたので、フライにしましたから、そちらもどうかみなさんで持っていってくださいね」
冷めても美味しい衣ついてます!
「先に鰺が来てたら、焼き魚でも良かったんですが、そこは申し訳ないですね」
「いいですよ、そこまで気を使っていただかなくて」
「そうですか?」
完全に腹ペコだから食べれるよねっていう目で見られているし。
(間違ってはいないんだよな)
シンプルな塩むすびと鮭ゴマ結びを道場に持っていくと、すぐにみなは手を伸ばしてくるが。
「手を洗ってから!」
そう注意すると、我の強い剣士たちはおとなしく手洗いをするのであった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

耳をかりかり。

りー
大衆娯楽
耳かき小説です。 一人称視点。自分で自分に耳かき。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...