浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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うちのにゃんこは可愛いな

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「勢いで申し込んで公開しません?」
「勢いの力を借りなかったら、君と一緒にいたいということなんてここで言えなかったよ」
婚約破棄された軍人貴族が、これから婚約破棄する令嬢に、破棄したらすぐに自分が申し込むから、これがその証だからといって、家に伝わるティアラ、その一部を取り外すとブローチになるのですが、そちらをお渡しすることになりました。
胸元につけようとしても手が震える旦那様とそんなに緊張しなくてもいいですよというミナミ様は、見ていてとても微笑ましかったです。
「そのままつけて屋敷に戻られますとここでの約束がみなにばれてしまいますので、ミナミ様名義でこちらは貸金庫にお預けとなります」
「ああ、すまないがよろしく頼む」
「このような形になってすいません」
「いえ、構いませんよ、旦那様、私はそちらのお話をしますので、後はミナミ様とごゆっくり、何かあればお呼びください」
「わかった」
パタン
「すまない」
「なんで謝るのですか?」
「婚約を受けてくれるとは思わなかったから」
「貴族ですからね、いつまでも話がないのも」
「そういうんじゃないんだ、そういうんじゃ、君とパーティーと出会ってから、君の婚約がとんでもない事件に繋がってるとは思わなかったし」
「これからしばらく大変ではあります、話題の人になります」
「そんな話題の人にならなくてもいいさ」
「そこに新しい婚約がドン!」
「そうだね、波乱だね」
「同情で私に婚約を」
「んなわけないでしょ、俺から申し込んだのは初めてなの」
「前の方とはそんな感じだったんですか」
「話が来て周囲が乗り気で、俺の意思とかなかったよ、そしたらなんか盛り上がってきちゃったし、当たり前ように結婚するのかって思ったら、破棄だよ」
「波乱だな」
「そうだよ、ビックリだよ」
「もう一回ぐらいは婚約の申し込みするかもしれませんから、次は緊張しないかも」
「しないから、なんでこれが練習みたいになるんだよ」
「慣れって大事じゃないですか」
「そんなん慣れなくていいよ、口が軽いやつと一緒にしないでくれよ」
(あら、可愛い)
「少しからかってしまいたくなります」
「これでも俺は君より年上なんだが」
「知ってますよ、お兄様」
「そういうのもやめて」
「ふっふっ」
「でもね、そういうのに喜びそうな俺もいるんだよな」
「自覚はありましたの?」
「あったさ、君からの手紙を読んだときに、次はどんな返事が来るのか楽しみだったしどこで食事したいかで、安くてすぐに出てきて美味しいところっていう答えに吹き出しそうになったわ」
「あの時お腹が減ってたんですよね」
「そこで返事が変わっちゃうタイプなの」
「普段はそこでら返事は変えませんよ、それこそ、時候の挨拶から始まってとかちゃんとやりますが、非公式なお手紙でしたし」
調査するから報告と協力のお願いで食事をするさいのものでした。
「笑うかなって思って」
「うちの部隊の連中ぐらいだよ、あんなの書くの、ああそこも話そうと思ったんだが」
「なんです?」
「結婚したら夜勤しないつもりなんで」
「?」
「有事の時は別だけどもね、その…一緒にいる時間増やしたくて」
「それは構いませんが?」
おおっとそういってもミナミさんはどういうことかわかってないぞ!
そしてその夜勤しない話を上司に報告したら、部隊はとても、大変驚いたそうだ。
「ええ、いや、いいよ、今まで人よりそういうシフトに応えてくれていたから、いいんだけどもさ」
(どれだけ、べた惚れしたんだ)
これでまたろくでもない女となれば、さすがにその話は飲まないのだが。
「領のみなさんともう少し交流したらいかがですか?」
「そうかな」
「ええ、屋敷にこもっているばかりでもダメでしょうよ、さっ、行きますよ」
「今からか、ああ、わかった」
代わりにこうして地域の発展のために時間を使ってると聞いたら、必要以上の拘束というのはやはり考えてしまう。
「君の、そのお願いをきいたのだから、私のお願いも代わりにきいてもらえるといいかな」
「いいですよ、何しましょう」
トットットッ
視察に行くときの馬は相乗りで。
「馬車じゃないんですか?」
「馬車でもいいけども、それでも私の膝の上に座ってもらうよ」
「痺れちゃいますよ」
「痺れてもいいさ」
「しかし、寒くなりましたね」
「この辺は冬は風が強くなるんだよ、なんか懐に猫でも抱き上げているみたいだ」
「ニャー!」
「うちのにゃんこは可愛いな」
「引っ掻かれたら痛いですよ」
書類受け渡しの際に距離間違えて引っ掻けたことがある
「俺の名前呼んで引っ掛かれるのは経験した」
「もう爪は伸ばしませんよ」
大丈夫といわれたが、引っ掛かった感触はある。
「どうしてさ、君の指は綺麗だよ」
「最近口も上手くなりましたね」
「毎日口説いていたら、上手くもなるさ」
「それじゃあ若い娘さんも口説き落とせますね」
「君こそ、老若男女問わず人の心を掌握しないでくれる?」
「貴族の社交辞令上手くやったらそうなりますよ」
「それができる人少ないんだけどもな」
「あっ、なんかいい匂いがしますね」
「それじゃあ、食べていこうか」
「はい、これが安くてすぐに出てきて美味しいところなら、商売上手だと思います」
貴族夫婦は美味しい匂いに釣られていったのである。




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