浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
491 / 1,093

ヨミマシタネ

しおりを挟む
「受けとるにしろ、それを使用するにしろは、秋澄くんには任せるけどもさ、どういうことが今まで起きたかは、ちゃんと知っておいてね」
吸血鬼からの贈り物はほぼ決定ではあるが、その先は秋澄に一任されることになったのだが。
「ただ調べている先で情報局でトラブルは発生したから」
古い資料を探している時だった。
ここにあるのはただ古いだけであって、危険度はないと思っていたが。

吸血鬼が無機物に変化した場合、劣化することは知られているが、人間から吸血鬼になった、そして無機物になる場合の劣化はずっと早い。
これはその記録である。
そこまで読んで、職員は顔をあげた、これは読んではいけないやつだと。
(なんでこんなところに?)
いや、それよりもここまでの文章を読んでしまったのも不味いのではないか…
「読みましたね」
真後ろから声がした。
これは振り替えったらいけないやつであろう。
「読みましたね」
「読みましたね」
「読みましたね」

   ヨミマシタネ

怖い、本当に怖い!こういうことに遭遇するのがKCJだとしてもだ、怖いのは怖いのである。
「な、なんで読ませたいんですか?」
「読んでくれる人が今までいなかったからです」
「あのどちら様で?」
「その本の記録係です」
古さから人ではないと思われる。
「なかなか読まれなくって、やっぱり本って読まれてナンボでしょ、初めは原語で書かれていたんですけども、ここを訪れてくれる人って、原語に詳しい人来なくってですね、私の方が日本語を覚えちゃいましたよ」
「それ、どのぐらいの期間で覚えましたか?」
この職員は、原語で苦労したので興味がある。
「興味あります?まあ、でも一ヶ月ぐらいで」
「それは人間でもできますか?」
そこで振り返った、記録係は人間に化けているが、目が違う、人間に似せてはいるが、焦点が虚ろなので。
「人間に化けるならもっと気を付けた方がいいですよ」
「これでも結構自信があったんですが」
「私たちならすぐにわかりますし、たぶん一般人なら怖いって思いますよ」
「そうなんですか?これでも人間とは上手く、ほら、本は読まれてナンボデショ?」
「そうなんですけどもね、それでええっと移動できます?」
「では談話室にどうぞ、飲食も可能ですよ」


「という情報を提供してくれた相手が見つかって」
「うわ…」
「それでその記録係の教えてもらえるところまで教えてもらったんだけども、この場合の贈り物は苦い話で終わってる」
「失礼します」
そういって書類を見ると。


吸血鬼に借りを作った男が、代わりに何が欲しいかと聞いたのならば。
「化け物を倒す武器がほしい」
それを聞いた吸血鬼は志願者を求めた。

「ここまででお腹いっぱいなんですが」
「これでも大分削って作ってくれてるから」
上司は記録係の翻訳文まで読みました。

志願者は家族を殺された女たちだった。
吸血鬼になった後、男の振るう化け物を殺すための武器になった。
が、これらは劣化する。
劣化が始まると、男は憐れに思ったのか、それ以上は使うことなく、けれども武器がなければ戦うことはできないので、吸血鬼になった女たちは増えていく。
男は老年期になり、戦うことから離れたのだが、変化も出来ない吸血鬼の女たちはそのままであった。

「これ、最後ないんですけども」
「記録されてないそうだ」
「記録係の仕事とはいったい?」
「それか、我々には教えられない話なのかもしれないし」
「そっちの方がまだしっくり来ますね。しかし、まだこの女性たちが存命している可能性は?」
「吸血鬼になっているのならばありえるよ、問題としてはその女性たちが何を思っているかかな」
人に対しての感情は友好的なのか、嫌悪感なのか。
「贈り物辞退するのが一番いいのでは?」
「吸血鬼の顔を潰す行為はやめたほうかまいいね、受け取って使わないにするのがおそらく平穏な人生をまだ歩める」
「ほしい人はいるでしょうね」
「いるね、こっちの都合を考えないタイプは多そうだ」
「すごいことになりました」
「本当にそうだ」

もちろん情報はある程度以上に伏せられるが。
「私を呼ばないなんてどうかしているんじゃないか!」
吸血鬼のパーティーは格がある、それこそ今回は料理人の紹介もあるので、そこに呼ばれないということで怒り狂っているものも出ているようだ。
「領地にどれだけ尽くしてきたのか、古い家柄だと言うことがわからないのか」
おとぎ話ならば、こういった招かれざる客がパーティーに怒鳴り込み、死の呪いをかけたりするのだろうが、さてさてここではどうなるのであろうか。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...