浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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デカバチチョウ

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蘆根のネーミングセンスは、なかなか悪い。
「ではイツモの今の毛色で名前をつけるならでお願いします」
傑に抱っこされたイツモ。
「そうだな、今のイツモは『デカバチチョウ』って感じだから…」
「今なんていいました?」
「『デカバチチョウ』」
「???」
人もケットシーも戸惑う。
「スズメバチみたいだから、大きい蜂の、なんかまとめ役、長って感じなので、そうだな…」
名前をつける前から事故ってるので、そのセンスはなかなかの物である。

『アンセルモさんは今日もアンセルモさんだ!』

アンセルモさんの新しい…、顔を保護するものができた。
「ええっとこちらの表皮にはICカードを入れておきましたので、こちらでお越しの際は、手続きなしで入館が可能となります」
「それでどこにICカードが入ってるのだ」
「是非とも端末で色々とお試しになってください」
このファンの期待に、アンセルモさんはどう答えるのか。
ピッ!
ガチャっと扉が開くのだが。
「場所が後頭部というのは、少々やりすぎではないかと思う」
その言葉に整備部は親指を立てた。
さすがのアンセルモさんも困惑である。
「そうか君たちは私にそういうのを望んでいるのか」
呟くが。
「お父さんがアンセルモさんであったら、どれだけいいのかわからない」
タキ先生の娘さんも呟いた。
勢いと感覚でしゃべるタキと比べるとアンセルモさんは理論的にきちんと述べてくれるので。
「お父さんがアンセルモさんであったら…」
娘さんの気持ちはよくわかる。
「ババッとやる、そう!こうだ!ババッっと」

「手早く行うことがシャンプーには重要だ、シャンプーされている方への首の負担を考えて、指の使い方は優しく、マッサージをするように」
翻訳が必要ではなくなるのだ。
「見た目はしょうがないとしても、そのままかぶってくれたらって」
そこまで言われていた。
逆にイホ デ ニコラスのは場合は、たまにしょんぼりと写真を眺めている時があったそうなのだが、今は自分はイホ デ ニコラスなんだ、元気をみんなに与えなくてはいけないんだと思うようになった。
そしてその時たまにフォワァァァと全身が光るようになった。

『取材メモ』

タンタンタッタッ
少年は指を叩く。
「すいませんね、こいつ不満があると指を叩く癖があるんですよ」
猫はそれをじっと見て、調書を取る捜査員のキーボードの上に飛び乗った。
「ざいさんねらいのくせに」
『はっ?』
キーボードの画面を読んだ捜査員以外の大人たちは一斉に驚き。
「なんでわかったの」
少年は驚きの声をあげた。
「その子は言葉を口にできない状態だったんですよ、余計なこというなって、指の叩く癖は不満に思われていたようだけども、あれはキーボード、ローマ字入力だったんですよ、猫さんはそれに気がついて、追いかけるようにキーボードを叩いた、猫さんもその言葉の意味に気づいてから驚いてましたけどもね」
こちらは実話であり、それゆえに捜査員猫シリーズではお蔵入りされたという、取材メモだそうだ。
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