浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
307 / 1,093

パック座禅に相応しい御仏の姿です

しおりを挟む
そないなわけで、ちょくちょく浜薔薇に行くようになったんよ。
独身寮にもまだ行ったことはないのだが、食事だけは食べ、味は知っているので。
「旨いはわかる」
そや、しかし炊き出しになると、こっちに送ってこれないものもあるから、それがな~美味しい!
ドアノブに手をかけながら、本当に近所にあるなら、毎日やね。
するとドアの向こうからいい匂いが、えっ?誰か美味しいもの食べているのかと思ったら、おっちゃんと共にいた職員。
今ここが食堂なのに、なんで食べ物の匂いが扉の向こうからするの?と気付き、覗くと。
実際には山宮にあったことはないのだが、扉の奥には山宮がいて、下拵えのために鍋の前にいるではないか。
どうした?
そこでおっちゃんがドアノブから手を離すと、すー~と閉まり、慌ててドアを開けようとすると、いつもの廊下が続いているではないか。
「俺、疲れているのかもな…」
そっか…今度浜薔薇行ったときにマッサージしてもらったらええわ。

『パック座禅の際に、みなさまの控え室にかけられる掛け軸が新しくなりました、パックをされ、穏やかな表情をしたサメ、パック座禅に相応しい御仏の姿です』

「どうもタキ先生がサメにはまったらしくてな」
「映画でも見に行ったんですか?」
「いや、見に行ったのは浄水センターの方」
お父さん!!!!!
タキにとって興味があればそのまま突っ切る、それが人生であった、落ち着きがないから、仏門にと父は願ったが、折り合いはつけれるが全く変わってないと言える。
河川ザメをあんなに間近で見たのははじめてである。
タモツが珍しく。
「手ぇ貸してくれ」
といった。
それでなんだなんだ、と浜薔薇に行ったらサメである。
「このお客さんが満足できるように、他にも教えれるようにしてほしい」
すやすやと寝ている、このサメ、十分満足していそうなものだが。
「面白いな」
目がキラキラした。
今まで培ってきたノウハウから、サメをどうやってリラックスさせて、その間に各種作業をするが。
「他のお客さんから聞いたんだけども、あのサメさんは注射するのも大変だそうだ」
「だろうな、固いものな」
「麻酔して注射していたそうだがな、看護師さんで鍼灸の資格持っている人がやるようになってからは、あのまま注射しているってよ」
「暴れないのか」
「それは気になったが」
びびってはいるそうだ。
尾びれを見る限り、注射されたら観念して尾びれが下がるので。
「痛いっていうより、注射するっていうのが怖かったみたいなもんだな」 
タモツとタキがサメと向き合い、ここは人間と同じ、ここが違うなどを見つけていき。
「パックをしてごろんと寝るようにまでなったが、まだもっとだ、もっとサメを癒せる」
そのために実際にイサリがどういう仕事をしているのかと、浄水センター見学にも一般参加し。
「それでは当浄水センターのナイスガイ、イサリ・Bの登場です」
ザザザ~
波の共にイサリが職員を背に乗せて現れた。
「この姿は、大雨の際に町中で見受けられる事も多いでしょう、またショーが終わりましたら、みなさんも乗ってみませんか?大人もokですよ」
そんなこと言われたら、タキは並ぶことに決めた。
(着替えはないが、乗れるのならば悔いはない)
この辺はそこまでアクロバティックなものではなく、プールの水面を一周するぐらいである。
水族館のショー並みにジャンプあり、こちら特有の職員との笑いあり、これで無料で学校の見学受け入れているなら、楽しいだろうなと思うものであった。
「あれ、わざわざお越しになってくださったんですか?」
浜薔薇にも行ったことがある職員さんは、タキを見てびっくりしてた。
「来ちゃった」
「ああ、はい、楽しんでくれましたか?」
「楽しかった、イサリくんってあんなに高く飛べるんだね」
「二段ジャンプ、最初はできなかったんですが、大技はいるって練習しまして」
「向上心の塊だね」
水に濡れてもいいとはいうが。
「後で洗濯機お貸ししますから」
たまにこういう大人もいるので、対処は慣れていたが、浜薔薇ではそうは見えなかったために、正直自分の親ぐらいの年齢がはしゃぎすぎると、心配になる方である。
ザザザザザ
最初にサメに乗って現れたのは、実際に災害の際に乗サメする人なので、そのままジャンプなどを見せたが、ただ乗る分には難易度は困らない。
「ジャンプとかはないの」
「訓練しないと振り落とされますよ」
そう、サメとのタイミングが合わないとサメから落ちて、水面から叩きつけられる。また着地の際も体に重い衝撃が走るので、上手く逃さないといけない。
チビッ子たちと好奇心ある大人たちを乗せて、この回は終了。
パチパチパチパチ
タキは感激して拍手喝采である。
その後浄水センター設立記念シャツとハーフパンツを着替えとしていただき、服を洗濯乾燥機にかけた。
そこに娘から連絡があり。

「お父さん、今どこにいるの」
「浄水センター」
「えっ?なんかうちの水道管でおかしいことあったっけ」
「サメを見るために浄水センター」
「それうちの地元じゃないじゃん」
「うん」
「うん、じゃないよ」
「お父さん、サメ飼いたい、サメ通勤したい、サメに乗るのは軽車両扱いだから免許いらないんだって」
「そんなバイクみたいにいわないでよ」
「サメに乗ったらすごい目立つと思うんだ」
「話聞いてよ、お父さん」

まあ、この辺もいつものことなので。

だがちょっと違ったことは。
「帰ってきてからお父さんがなんか変なの」
「えっ?病気とか」
「絵を描いてます、サメの」
「サメの!?」
見たものが穏やかに、笑顔になるような仏はパック座禅には必要と思っていた、あのサメの姿、それこそこの会には相応しい!

『生れた場所も生きる場所も違うものが、社会の疲れから癒しを求め一同に集う、現代社会の希薄な繋がりの中の奇跡でもあります』

「おはようございます。それでは本日のパック座禅、始めたいと思います」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

処理中です...