浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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15番厳選動画

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「昨今の事情を踏まえて、イツモ様の縄張りにおられます、病気や怪我のネコチャンたちは、ダンジョンから出さない方針にしたいのですが」
KCJの職員さんが尋ねると。
「えっ?」
春夏秋冬に疲れているから、ダンジョン内で過ごすわとネコチャンの代表から答えが返ってきたそうだ。
野良を経験したものたちが多いので、もうね、冷たい雨とかしんどいわ!という話。
「ちょうど怪異(ネコノゲボク)を増やせたからいいですけども」
ダンジョンのオプション、子機扱いがキツネの姿をしているので、これからどうします?外でキツネはまずくないですか?と職員さんが質問すると。
「心が清い人にしかこの姿は見えません」
そうでない人には狐火に見えるそうです。
(昼間っから狐火はな)
たまにヒィイィィと言われたりもします。
「もうちょっとダンジョンが成長しますと、キャットフードを合成できるようになりますので」
「えっ?それ本当ですか?」
「最初は普通食ですが、合成しているうちに現在市販されているものを参考にオリジナルのものもできるようになるので、ダンジョン内にいる猫たちの分なら賄えると思いますよ」
茶九良ダンジョン、そのうち猫ダンジョンと呼ばれる日は近いかもしれない。
「おそらくダンジョンで猫専用になっているのここだけかと」
「うちも館長を支えなきゃいけないっていうにで我がそう思ったら、我生まれけりですから、館長が無事にKCJさんのサポートを受けて、自分の好きなことに専念できているなら、こちらは向いていることをひたすらやった方がいいのではないかと思います」
広く、気温も一定、外敵なし、最近怪異を増やして、KCJの手を借りずに猫の世話が可能になっている。
「さすがにこの辺の猫たちだけで、今のところは限界ですが」
「十分ですよ」
そういう猫たちへボスのイツモは愛情を注ぎまくっていた。
「ボスはなんというか、ケットシーというよりは人間っぽいですね」
「あ~王子しかケットシーを知らないと、ケットシーというのはやっぱり猫ではないんだなって顔はしますよ」
写真?フラッシュ無しならok!
もふる?わかったゴロン!
「王子見た後に、ビタンを見るとね、ケットシーってやっぱり猫なんだなって思いますよ」
カラスを駆除するためにケットシーのビタンとニヤリが来ているが、この二匹は本当に猫に近い。
「猫と混じるとわからないっていいますから」
その点イツモ王子と来たら。
まず知らない人には一匹で会い、チェックして、安全だと思うと、確認のために鳴いたりする。
最近は猫たちだけではなく、王国の住人も来るようになった。
「浜薔薇にようこそ!」
なんかRPGの最初の町の人みたいな挨拶しているよ。
「浜薔薇ははじめてですか?はじめてのかたにはこんなのも用意してます」
チュートリアルもあるのかよ!
あまりにも浜薔薇方面は多岐に及ぶので、原初の四季で、今までの歴史をまとめたところ。
「慣れている人でも、こんなことあったなって忘れていることもあるから、事細かに記録したのをわかりやすく出した方がいいんじゃないかな」
「そうだね」
大公と15番さんの二人がそんな話をした。
「あの二人は耳掃除の好みの方向性で、一時期険悪になっていたけども、ああやって話をしている限り、何とかなったようなんでホッとしますよ」
リーダーが胸を撫で下ろした。
15番は耳掃除の好みが乾燥タイプでよく掃除されていたものを、定期的に耳掃除するにキュンとくるのだが。
大公は元来の角栓好きとかぶるのが、濡れているタイプ、汚れて、詰まって鼓膜が見えなくなってるぐらいがゾクゾクっとするそうだ。
「これは嗜好としてしょうがないと思うんだよな、どっちかっていうと耳掃除よりも角栓、まあ、角栓大好きっていっているから、角栓は大好き、耳掃除の動画も見ちゃうタイプだったんだけども」
その角栓大好きが満足する耳があったという。
「あの…一体いつ掃除しましたかって、なかなかお目にかかることはないじゃん、耳掃除しようとしても、耳かきではなかなかかき出せないタイプの、それこそ、乾燥じゃなくて、ねちょっとした、あの脂って感じがね、大きい角栓みたいでさ、あれを上手に取るタモツ先生見たら、新しい扉、開いたね」
タモツは…
「こいつはいけねぇな」
といって、耳の中からそれを剥がしにかかったのである。
耳掃除の道具には、こういうタイプの耳かきを耳から剥がすものもある、それを滑らせると、ぬちゃ~と伸びてから、剥がれていく。
そのぬちゃ~が道具を脂で汚して。
「それもね、良かったは」
耳の中に差し込んで、そこから耳垢を取り出して。
「抜き取った先端が、半透明で新しい脂の柔らかさがあってね、よかったわ」
ほとんどでっかい角栓といったそれは、紙の上に転がされたが、すぐに廃棄された。
そこからその耳は洗われることになる。
「耳鼻科ならば生理食塩水なんだけども、ここは浜薔薇だからね」
耳の汚れはこれでお任せという泡で出る洗浄剤が登場した。
耳の後ろも外側も、もちろん中もまず泡を乗せていくのだが。
拭き取った際の泡の色がまず黄色がかっていたという。
その後に綿棒、これは耳の中の毛の具合を見るために使う。
「剃った方がいいですね」
耳の中を剃られ、剃られた耳毛は綿棒で外に出されていった。
さまざまな角度からタモツが見て。
「おしまいです」
満足のいく仕上がりにしてもらった。
「あれを動画で見たとき、なんで自分の耳は汚くないのだろうって思ったよ」
大公の台詞に15番さんは、うんうん、耳かきにはまりはじめると、最初はそう思うよねと、自分の耳では足りなくなるから、誰かの耳掃除の動画を定期接種しないといけなくなるんだよとまで言ってた。
「15番さん、そこだけ聞いていると吸血鬼みたいですね」
「まだ人間はやめたつもりはないけども、趣味嗜好は大多数の人間が理解できないから、はぁasmrよ、なんで健康な耳だけの音なんだい、もっとつまったやつくれよ!タモツ先生の音を聞いてしまうとね、本物しか受け付けなくなるんだよな」
そのうち白木で耳かきを作ったりしたら大笑いしてやろう。
「白木ののならばあるよ、いろんな木材で耳の辺りを試してみたくってさ、でも竹が一番いいというか、竹に行き着いた人が本当にすごいと思う」
奥に入れたときの当たりがいるときの、ガサゴソ感はやっぱり竹だねと。
「はぁ、仕事忙しいから、浜薔薇の耳掃除の動画を見るしか楽しみがないよ」
数多くある動画の中でもいつも見てしまうの動画がある。
それを15番厳選動画としてまとめるか、今度の集まりで提案することが決定している。
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