浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
226 / 891

蘆根の頭装備 イツモ

しおりを挟む
「俺がマッサージで教わったのは、時間の作り方だな、ほら、あれだ、色々とやりたいことがあっても、学校や仕事終わっても、ちょっとづつやっていくじゃ、精神的にもたないわけだよ」
蘆根のマッサージは時間を作り出せる。
「これを習得するには、まずは自分にマッサージすることだな、暇さえあればマッサージしてた」
そのために大変肌がきれいです。
「腕の内側の透明感!なんでこんなにきれいなの!」
「それこそ、マッサージの練習できなくなるから、日焼け止めクリームとか使う、まあ、それとマッサージぐらいなんだがな」
「それだけでなんとかなるの?」
「習得まで個人差はあるからな、毎日練習できる人ならば習得できるって言えるけども」
蘆根はそういうところはマメ。
「自分にマッサージすると、不調にも縁がなくなるからな」
消化不良が起きても自分で何とかしてしまえる男。
「わかりにくいなら、風呂に入ってだな、胃がぷかっと浮いてきたらな」
「胃が浮く?」
傑から質問。
「胃が悪いと、自宅ではわかりにくいか、温泉の浴場浸かるとわかるんだが、胃が浮いてくるから捕まえやすくて、丁寧に揉んでやるといいぞ」
「実際にさわっているわけじゃないですよね」
「ぷか!ってなるから、ぷか!って」
そんなこと言われても、傑には未だにそれがわからなかった。
「電気風呂で胃腸が動いた!っていう経験があるならわかるかもしれないな」
蘆根は温泉などによく行くが。
「あそこに行くと、俺の癒しは温泉に負けてたまるか!になる」
やっぱりどっかずれているようです。
「蘆根さん、お疲れ様です」
「シャンプーか?」
「はい、お願いします」
現在、シャンプー&コンディショナー、真夏のルンルンルンタッタのテスト中なのだが、テストというのは日中にそれで洗髪することだ。
「エアコン効いている環境ならいいが、そうでないなら、朝起きてべたべたしているとかはあるからな」
「そこが難しいところですよね」
彼らは修行中お金がなかったので、節約術に長けているところがあった。
むしろ、そこで蘆根と傑は接点を持ったようなものだ。
「あっ、そっちのパンの方が安くて美味しいですよ」
「そうなの?」
「道産の素材はハズシないですから」
傑からすれば、蘆根は食べればなんでもいいという感じだったので、少しばかりアドバイスをいれたのだ。
「お~い」
「なんですか?先輩」
「お前の言う通り、あれうまかったわ、帰り道食べながら帰ったんだ」
そのコメントをもらうことも、傑には珍しかったのだが。
「それで修行先がさ、これで友達と飯食いに行ってこいって言われて、うまいもの食えるんだ、ただ飯だぞ!」
本当かなっては思ったが。
「あっ、ホテルから独立した人なんだよ、ここ」
チラシというか、お品書きである。
「椀刺には自信があるそうだよ」
椀刺(わんざし)という言葉が普通に出てきたが、和食において、お吸い物とお刺身は腕が出ると言うやつで…
「ここだ、ここ」
内装が学生がひょいと入っていけるところではないし、それこそ、その年代のお客さんというと裕福な家庭の子女というところで。
(この格好で入ってもいいのかな)
それは店内に入ってからも強く感じた。
庭園のように石を敷かれた通路を歩いていく。
「こんにちは!」
「おお蘆根」
「いらっしゃい」
店主と女将が歓迎する。
「その子がお友だち?」
「いえ、後輩にあたります、本日はお招きありがとうございます」
「あらあら、ご丁寧に、うちはね、毎月はじめと、中旬に新しいメニューになるんだけどもね、今年はちょっと取れるものが色々と早くてね、せっかくだし蘆根くんにご馳走しようかなって」
「いつも賄い食べさせてもらったんだ」
「賄い用意しないと、食べないでずっと勉強しているからな」
「さっさっ、奥の間にどうぞ、立ってないで、ご飯食べに来たんでしょ」
店の作りに比べたら、お店の方々は気さくだが。
(すごい場違いな感じがする)
着替えてくれば良かったと傑は思うほどである。
(言ってくれれば、こんなカジュアルな、ポロシャツとか着替えて、いや、一度家に戻ってからにしたかった)
そして先付が運ばれてくる。
そこからデザートまで長いこと修行して、今の腕はこれですよ!とこれでもか、これでもかと。
「美味しいか?」
「全部美味しいです」
100円切っている食パンの紹介のお返しにしては、おかしいものが帰ってきた。
「今日は本当にありがとうございます」
「俺も招待されたほうだしな」
(この先輩は出身校もそうだし、どっかのお坊ちゃんなんだろうな)
蘆根は出身校から、家がそういう家業ではないと、そのままストレートに、この学校に来る人はいないと断言できる。
「やっぱりさ、自分の腕一本で生きていくは難しいけども、やりがいがあると思うんだ」
話していくうちのこのワードが出たとき、ああそれでこの道を選んだのかとわかった。
「苦労はするかもしれないけどもよ!」
その時から大分時間は経過したが。
(先輩のわけわかわなさは、ますますになってきたな)
何かが呼び寄せるんだろうか?
「おい、どうしたの?遊んでほしいのか」
前の季節に生れた子猫たちがちょっと大きくなって、最近は蘆根の元にやってくる。
人もそうだが、猫たちからも好かれるようだ。
じ~
(先輩、イツモが見てますよ、嫉妬しますよ)
子猫に嫉妬するなんて大人げないことはしませんが。
「今日はなんかやけに引っ付いてくるな」
それこそ、蘆根の頭装備 イツモといっていいほどぴったり来るのである。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

処理中です...