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真夏のルンルンルッタッタ
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「今日は気分を変えてみましょうか?」
「いいわね、それは」
洗面台のある部屋まで、車椅子を蘆根は押していく。
「ごめんなさいね、車椅子まで」
「薬が効いているときは歩かない方がいいようですから」
そしてこの状態でシャンプーとなる。
「じゃーん、うちのこれから新入荷するシャンプーを今日は初めてお客さんに使ってみたいと思います」
「あら、そういうのって嬉しいわね」
シャンプー名『真夏のルンルンルッタッタ』
「名前が…それってサロンの専売品なの?」
「そうです、今、うちはこのメーカーさんが力を入れているお店になったんで」
浜薔薇さん、頑張ってくださいよ!って営業が見ていると、傑が君も頑張ろうかと冷たい目線を送るやつが見られますよ。
「そんなに売れる理由ってなんなの?」
パンパンと腕を叩いて。
「やっぱりこれでしょ」
「それを言われちゃうと、納得はしちゃうけども」
「お客さんの話を聞くとリラックスするんだそうですよ」
「まあ、蘆根さんが髪を切ってくれたりすると、最初の頃は緊張はするけども、いい人だってわかるからね」
「ええ、最初は緊張したんですか?」
「そりゃあね、あんまり腕がよくない人の後だから、この人はどうなのかしらねと」
「そういう話とかよく聞きますけどもね」
「髪を切ってもらって、一ヶ月しないうちに、また行くことになったんだけども、違うサロンに行ったときに」
これ、自分で切りましたか?
「って聞かれたのよ、いいえ、お店よって答えたら、そうですかって話終わったからね」
「それは聞いちゃうと、意識しちゃいますからね、難しい問題ではある、ただ情熱持っているならば、そこもなんとかしたいかな、ではお姫様、椅子を倒させていただきます」
「ええ、そうしてちょうだい」
そうしてお湯でしっかり洗ったあと、新シャンプーの『真夏のルンルンルッタッタ』で洗っていく。
すぅ
洗い始めると、リラックスしたようで、呼吸が変わり始める。
すると蘆根はそのリズムに合わせるようにして、洗いかたを変えた。
だんだんゆっくりと、いい夢が見れるように。
おそらくこれがシャンパーが夢見るシャンパーと言われる所以でもあるだろう。
そしてノーマルシャンプーことノマシャンはリアリストと分けられる理由でもある。
希望に満ちた夢1つ見れるだけで、明日頑張ろうと思えるものだ。
だからどうかいい夢を…
『ここは浜薔薇の耳掃除デェース』
「というわけでみなさんにお願いしたいことは、新製品の真夏のルンルンルッタッタのモニターとなります」
浜薔薇からいきなりこのようなメッセージが届いたら、ファンとしてはヒャッホー!とテンションが上がり、とりあえず走ってくるわと全力ダッシュした後、シャワーを浴びてから、冷静にもう一度メッセージを見たりする、いや、したものがいたそうだ。
夕暮れサイダーデートを入荷して、まさかの共同購入からの全国一位の売上を出したはいいが、だからといって次のものをそのまま入れるのは。
「それはないです」
オシャレ番頭が許すはずがない。
そのために実際にお客さんであるファンがこのシャンプーを選んでくれるか、その事前のテストをすることになった。
「一応こちらのシャンプーはルールがありまして、暑い日、日中のモニターテストになります」
時間としては朝から午後二時の間に浜薔薇でシャンプーしてもらい、その感想を匿名で送れるレビューボックスというものを使い、送ってもらうことだ。
「感想に相談をしたくはなるでしょうが、あくまで個人の意見がほしいので」
それを期日まで集めて、後に集計データや意見をまとめるという。
「しかし、夢見るやノマシャン以外のファンにも意見を求めるとは思いませんでしたよ」
「だが我々も手加減はしませんよ」
「当然ですよ、それが浜薔薇のファンとして正しい対応です」
耳掃除のS席の客や角栓すっきりしたいパック民などそうそうたるメンバーが、このテストには参加するという。
「全員の意見を我々が読めないのは残念ですが、これを次の糧にしてもらえるならば、こう…浜薔薇と1つになった感じがしてたまりません」
「わかるわかる」
そうしてこのテストは始まっていった。
「おはようございます、浜薔薇の未来を決めます、モニターに本日参加させていただきますが、よろしいでしょうか?」
「はい、それではお願いします、先輩!」
「あ~こっちもいい感じに仕上がっているぜ」
シャンプーブラシをクルクルと回して蘆根は待っていた。
「さすがは蘆根先生、本日もキレが、いやいつもよりも気迫が違います」
「わかるかい?」
「オーラが、私は常人が故に、そのようなものに敏感なのです、ではよろしくお願いします」
「ああ、真夏のルンルンルッタッタ、堪能してくれよ!」
真夏のルンルンルッタッタはなんで日中テストするかというと、夕暮れサイダーデートの共同購入の際に、浜薔薇で洗ってもらうと、蒸れないという感想があった。
優れた蘆根のシャンプーテクニックだけではなく、この製品は家で朝洗うと、そのまま髪が蒸れずに、それこそ帽子をかぶってもらったときにわかるだろう、いつもと全然汗の量が違うこと、それが実感できるのだが…
シャカシャカシャカ
ここに蘆根が何をするかというと、熱で疲れた体にアプローチをするのである。
……………
………
……
そして炎天下を歩くとわかる。
(昨日より暑いはずなのに、不思議だ)
みんながへばるような暑さでも、自分だけ涼しい顔ができていることが…
「順調に感想はもらっているみたいだが、俺としてはもう1つの新製品のオオクワガタ三番勝負も入れてほしかった」
「それはダメです」
本当にこのメーカーさんはネーミングセンスが蘆根と同水準な気がする。
「いいわね、それは」
洗面台のある部屋まで、車椅子を蘆根は押していく。
「ごめんなさいね、車椅子まで」
「薬が効いているときは歩かない方がいいようですから」
そしてこの状態でシャンプーとなる。
「じゃーん、うちのこれから新入荷するシャンプーを今日は初めてお客さんに使ってみたいと思います」
「あら、そういうのって嬉しいわね」
シャンプー名『真夏のルンルンルッタッタ』
「名前が…それってサロンの専売品なの?」
「そうです、今、うちはこのメーカーさんが力を入れているお店になったんで」
浜薔薇さん、頑張ってくださいよ!って営業が見ていると、傑が君も頑張ろうかと冷たい目線を送るやつが見られますよ。
「そんなに売れる理由ってなんなの?」
パンパンと腕を叩いて。
「やっぱりこれでしょ」
「それを言われちゃうと、納得はしちゃうけども」
「お客さんの話を聞くとリラックスするんだそうですよ」
「まあ、蘆根さんが髪を切ってくれたりすると、最初の頃は緊張はするけども、いい人だってわかるからね」
「ええ、最初は緊張したんですか?」
「そりゃあね、あんまり腕がよくない人の後だから、この人はどうなのかしらねと」
「そういう話とかよく聞きますけどもね」
「髪を切ってもらって、一ヶ月しないうちに、また行くことになったんだけども、違うサロンに行ったときに」
これ、自分で切りましたか?
「って聞かれたのよ、いいえ、お店よって答えたら、そうですかって話終わったからね」
「それは聞いちゃうと、意識しちゃいますからね、難しい問題ではある、ただ情熱持っているならば、そこもなんとかしたいかな、ではお姫様、椅子を倒させていただきます」
「ええ、そうしてちょうだい」
そうしてお湯でしっかり洗ったあと、新シャンプーの『真夏のルンルンルッタッタ』で洗っていく。
すぅ
洗い始めると、リラックスしたようで、呼吸が変わり始める。
すると蘆根はそのリズムに合わせるようにして、洗いかたを変えた。
だんだんゆっくりと、いい夢が見れるように。
おそらくこれがシャンパーが夢見るシャンパーと言われる所以でもあるだろう。
そしてノーマルシャンプーことノマシャンはリアリストと分けられる理由でもある。
希望に満ちた夢1つ見れるだけで、明日頑張ろうと思えるものだ。
だからどうかいい夢を…
『ここは浜薔薇の耳掃除デェース』
「というわけでみなさんにお願いしたいことは、新製品の真夏のルンルンルッタッタのモニターとなります」
浜薔薇からいきなりこのようなメッセージが届いたら、ファンとしてはヒャッホー!とテンションが上がり、とりあえず走ってくるわと全力ダッシュした後、シャワーを浴びてから、冷静にもう一度メッセージを見たりする、いや、したものがいたそうだ。
夕暮れサイダーデートを入荷して、まさかの共同購入からの全国一位の売上を出したはいいが、だからといって次のものをそのまま入れるのは。
「それはないです」
オシャレ番頭が許すはずがない。
そのために実際にお客さんであるファンがこのシャンプーを選んでくれるか、その事前のテストをすることになった。
「一応こちらのシャンプーはルールがありまして、暑い日、日中のモニターテストになります」
時間としては朝から午後二時の間に浜薔薇でシャンプーしてもらい、その感想を匿名で送れるレビューボックスというものを使い、送ってもらうことだ。
「感想に相談をしたくはなるでしょうが、あくまで個人の意見がほしいので」
それを期日まで集めて、後に集計データや意見をまとめるという。
「しかし、夢見るやノマシャン以外のファンにも意見を求めるとは思いませんでしたよ」
「だが我々も手加減はしませんよ」
「当然ですよ、それが浜薔薇のファンとして正しい対応です」
耳掃除のS席の客や角栓すっきりしたいパック民などそうそうたるメンバーが、このテストには参加するという。
「全員の意見を我々が読めないのは残念ですが、これを次の糧にしてもらえるならば、こう…浜薔薇と1つになった感じがしてたまりません」
「わかるわかる」
そうしてこのテストは始まっていった。
「おはようございます、浜薔薇の未来を決めます、モニターに本日参加させていただきますが、よろしいでしょうか?」
「はい、それではお願いします、先輩!」
「あ~こっちもいい感じに仕上がっているぜ」
シャンプーブラシをクルクルと回して蘆根は待っていた。
「さすがは蘆根先生、本日もキレが、いやいつもよりも気迫が違います」
「わかるかい?」
「オーラが、私は常人が故に、そのようなものに敏感なのです、ではよろしくお願いします」
「ああ、真夏のルンルンルッタッタ、堪能してくれよ!」
真夏のルンルンルッタッタはなんで日中テストするかというと、夕暮れサイダーデートの共同購入の際に、浜薔薇で洗ってもらうと、蒸れないという感想があった。
優れた蘆根のシャンプーテクニックだけではなく、この製品は家で朝洗うと、そのまま髪が蒸れずに、それこそ帽子をかぶってもらったときにわかるだろう、いつもと全然汗の量が違うこと、それが実感できるのだが…
シャカシャカシャカ
ここに蘆根が何をするかというと、熱で疲れた体にアプローチをするのである。
……………
………
……
そして炎天下を歩くとわかる。
(昨日より暑いはずなのに、不思議だ)
みんながへばるような暑さでも、自分だけ涼しい顔ができていることが…
「順調に感想はもらっているみたいだが、俺としてはもう1つの新製品のオオクワガタ三番勝負も入れてほしかった」
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本当にこのメーカーさんはネーミングセンスが蘆根と同水準な気がする。
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