浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
138 / 891

キラン!

しおりを挟む
タモツは蕎麦をすする。
「こいつはうめえな」
膝の上にはイツモがゴロゴロ鳴らす。
先日蘆根が食事をした蕎麦処 枇杷の葉のお持ち帰りのお蕎麦であった。


『ここは浜薔薇の耳掃除です』


本日はメーカーさんと共同企画、パックサービスデーとなっております。
固まるまでに20分ほどかかります、また3日以内にパックをした方はご遠慮ください。
店内だけではお客さんが入りきらず、椅子をもって外で待ちながら。
「おや、あなたもですか」
「やはりプロが塗りますと違いますな」
なんてお客さん同士は話をしている。
そして浜薔薇のパック愛好家の人たちには別名、愛称がある。
それをパック民という。
浜薔薇はこうしたサービスは不定期で開催される。
「理由は浜薔薇で売れるものが独自だからです」
キャンペーンやサービスというものは、売り上げを出してくれているお店に、さらに売り上げを出してもらうために行われたりする。
「浜薔薇は魔法使いというか、ここでヒットすると全国区の商品になるんで」
そう、もう前例がある。
それがもち肌伝説という商品のことだ。
もち肌伝説のメーカーさんは、浜薔薇の、蘆根に営業にいった。メーカーさんもそう期待はしてなかったのだが。
「あれ、いいね」
と蘆根が決めて、お客さんが買っていくようにもなった。
「所長がとても喜んでました」
一度もち肌マックスキャンペーンという、これ蘆根が名前つけたんだろうなというイベントを行った。
この時はシェービングしたお客さんにもち肌伝説をつけてくれて、ミニボトルをサービスしますをやったところ、想定よりは売れました。
「というか、浜薔薇はね、棚を抑えたい店になってきたから」
特に傑がいるようになってからである。
何しろ、置いておくと…
「じゃあ、ショーケースに入っているのまた全部お願いね」
「はいはい」
傑は雑に返事をするが、客はそこで嫌な顔をするタイプでもない。
「いや、この間さ、配ったら、いい顔できたんだよね」
最初はええと思っていた女性陣もネットでレビューを見たら、一度ぐらいは使ってみよう、何これ!!!!だったらしい。
そこからおねだりされるらしい。
傑は嫌な顔した。
「こういうのも必要よ」
そうショーケースでまとめて買う人はこの間やってきた酔っぱらい社長である。
最近は仕事でこっちまでやって来る、夜の〆は浜薔薇の屋台、帰りに浜薔薇のショーケース内をまるごとお買い上げコースになってる。
「さすがに毎日はこれないから」
「ダメですよ、そういうお金の使い方したら」
「うちの秘書みたいだな」
秘書の方とは傑はやりとりしており。
「そこまで買ったんだったら、サンプルとかメーカーさんにつける交渉をしますか?」
「ああ、お願いします」
そこで任せるのも傑がしっかりと話し合いをし、報告書まで出してくれるし、他の人がやるよりもおまけなどが多く渡してくれるからです。
「こんなにお金使うんだから、きちんと得してくださいよ」
そういっておしゃれ番頭は他のものも出してくれる。
「どういうのがいいですか?」
「そうですね」
時間が夜だということもあるし、また秘書さんは…
「ああ、イツモちゃん」
イツモにも相手してもらおう。
(おっ、イツモの方も任せろって顔をしてる)
任せてくださいよ、必ず落として見せますよっていう、悪党みたいにも見える。
「女性向け多目でいいですよね?」
「そうですね、お願いします。ただシェービングフォームとかは男性陣に人気でしたね」
「あれは自分で髭剃る時は便利なんですからね」
浜薔薇の取り扱いしているシェービングフォームは、塗ってちょっと一分ほどで濡らしただけでは味わえないほど、柔らかくなり、T字カミソリの種類を問わないぐらい剃れるのである。
ゴロン
「イツモちゃんって、王子って呼ばれているんですか?」
「プリンスがKCJでは呼ばれてますね」
「この間のカレンダー見ましたよ」
KCJで配布している壁紙であるが、イツモは鯉のぼりの着ぐるみをきている。
「先月は蜂さんだったよね!」
この人は相当ファン、チェックが細かい。
「ケットシーは撮影に協力してくれる子はそういないから、やれるケットシーがいればお願いしますって感じで」
そしてイツモはただ写真だけではない、こうして着ぐるみやシチュエーション下での写真もokなので、重宝されている。
「イツモ様はおとなしいだけではないんです」
「すいません、こちら衣装になります!」
というと、スタスタと歩いて移動し。
「お着替え失礼します」
衣装をつけても特に暴れないし。
「じゃあ、こっちに目線ください」
カシャッ
「いいですね、じゃあ、ちょっと上を向いて」
カシャッカシャッ
「はい、そこに鯉のぼりが風で逃げる」
スタッフが吊るした鯉のぼりをサッ!と動かす、すると本能でイツモが追いかけるためにジャンプする。
「いいね、いいね」
このようにケットシーの撮影は、ケットシーもですが、スタッフも全力で挑んでおります。
「あの後、帰ってくると、すぐに寝るからよっぽど疲れているんじゃないかな」
「準備できましたよ、こちらで出せるものは出しますから、サンプルなどは後で確認してくだされば」
そして伝票を渡して、サインしてもらい。
「イツモちゃんまた来るからね」
本当?
「じゃーね!」
「いつもの本当?って顔は、こうすれば受けるとかわかってるやつだからな」
本来はもっと野性味があるのだが、そこは浜薔薇の王子、愛想は大事と学んでいるようだ。
キラン!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

処理中です...