浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ギルドマスターも忘れちゃいけないぜ

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KCJの廊下をぞろそろと歩いている。
先頭から…

ケットシー(メス)

子猫をくわえた親猫

子猫
子猫
子猫
子猫

前の季節に生まれた兄猫

子猫
子猫
子猫

そして最後尾に、ロングヘアーシャーク!

こちらはロングヘアーシャークを引き取ったKCJの支部でよく見られる風景です。


『ここは浜薔薇の耳掃除です』


「ロングヘアーシャークのロングヘアーは人毛に大変近いというか、まあ、最初の用途が人毛の再生でしたからね」
サメの髪の長さは約50センチ。
「そしたらハサミを入れるんですけども」
50センチまではすぐに伸びるといった形。
「でもあまりサイクルが短いと疲れるので、月に一回整備部門でカットしてくれます」
カットされた髪は医療用のウィッグとして、KCJの提携している病院に寄贈されます(その時寄付金もKCJから出す)
「なんで空中を浮かんでいるかというと、浮き袋を持っている種類に…」
水中だと毛髪が痛むからという理由で、認識のタグ+大気に沈まないような合金を装着してます。
「種類的に元々海水苦手だったのがわかったそうです」
なんでそれなのに海を生活の場にしたのかといわれる品種のサメです。
「体が大きいことで襲われないようにしたぐらいで、食べ物も今はフードですが、狩りが苦手なんです」
なので、こうして陸上ではないが、管理した方が長生きするという。
「再生能力は並みですかね、ただ自分というものの認識が甘くて、こうして最初は生えてない、移植された毛髪なんかが問題なく育つので」
異なる細胞だから、抑制しなきゃいけないものがあるかというとない。
「元々の種類から+毛髪したので、ロングヘアーシャークっていう別の存在になったって認識で」
移動は大気をスイスイかき分けますが、休むときは地上に降りているので、そこに子猫たちが群がる。
ロングヘアーシャークの方も猫に関してはもう気にしないし、むしろ猫たちの方は毛繕いをしているぐらいです。

『ここは浜薔薇の耳掃除です』


「はい、元気かな?」
「入金は確認しましたか?理事長」
「うん、したよ、しかし、まあ…」
「おっしゃいたいこともわかります」
「とりあえずお金が来ればいいさ」
ロングヘアーシャーク確保に当たって、先に情報をつかんでいたのはカイムだったが、その情報をうってほしいのと確保に協力の依頼を某チームにされた。
「しょうがないよ、そろそろ手柄がないと空中分解しそうだっていう感じのところだし、でもああいうのも必要だよ、実力はないけども、立場をキープするためにお金使ってくれるところっていうのかな」
「ですね」
「ほら、こういう世界はさ、実力者ばかりではないから、でも実力がある人には優しいってわけよ」
「向こうは打ち上げでばか騒ぎですか」
「そうだよ、八割ぐらい君たちが、まあ、口止め料としても悪くはないけども」
「でもあちらの地元っていうのは、景気が悪いんじゃありませんか?」
「実力ないと今やっていることが、まともかどうかもわからないんだよね、残念なことに」
「笑い事ではありませんよ」
「けどもさ、選んじゃったのは向こうだしね、他の地域と上手くやっていくことを選ばなかった、まずこれが一番ダメなんだけども、あそこは有能なのが生まれると排除しちゃうところだから救えないよ」
「そうなのですか?」
「そう、だからこそ、近所のよしみっていうのかな、世話を焼いたりているけどもね、何もないなら人生いいよ、でも人生っていうのはそうじゃないじゃん?その時に誰かの命を左右していることを感じ取れなきゃダメだよ」
「命運握っているっていう感じではないですね、あそこは」
「でしょ?言って聞くわけないじゃん、聞く耳を失ってしまったら、自分一人で乗りきるのかな?知らないけども」
「大分ストレス溜まっているでしょ?」
「溜まっている、具体的にはカラオケ行くとか、買い物したいけども、そういう自分のやりたいことをやっちゃうようじゃ理事長失格だしね」
こういうところは上に立つものらしい振る舞いをする。
「今回の電話は、今後、こんな感じで手柄譲ってほしいって交渉来ても、事前にこちらに確認とらなくても、今回のお金ぐらいの割合でもらえるんだったら、話通していいから」
「わかりました」
「そういうの好きでしょ?」
「そうですね、最後までやらなくてもいいのに、お金が入るっていいですね」


『ここは浜薔薇の耳掃除です』

イツモの縄張りや近所に住む猫からすると、蘆根はきっとギルドマスターみたいなもんで。
「おおっと今日もネズミを取ってきたか、これが約束のフードだ」
なんてやりとりをしているから、あながち間違ってもいないだろう。
「これやらないとそこら辺に残骸を残されるので」
実際に残されたこともあるので、なんとかしようと代わりにフードを、それを見ていたKCJの波里は、でしたらとキャットフード支給の書類を提出してほしいと蘆根に言い、蘆根もそれを書いた。
そのフードは味が良いものだったため、ネズミを取ると、フードをもらえることを覚えた猫たちは頑張るようになる。
「ネズミはゴブリンみたいなもんなんで」
本当に増えます。
ちゅううううう
出張所にも聞こえるネズミの鳴き声。
「これ捕まったんですかね?」
波里はちょっと苦手。
「俺が行こう」
東司が外に出ると、すぐに中に戻ってきた。
「イツモ様が蘆根さんを案内していた」
「ああ、それなら大丈夫ですね」
昨日ネズミの粘着シートの仕掛け方、by ギルドマスターのレクチャーがあったらしい。
「一匹捕まえたら、どうせなら何匹かまとめてってことでな」
蘆根の表情は少年のようである。
イツモが言うには、さっきの鳴き声はシートを見に行ったら一匹小さいのが捕まっていた、ネズミはイツモの気配、近づいてくるので思いっきり鳴いたらしい。
「おっ」
粘着シートをワンルームに例えるならば。
「ファミリーに対応はしてないんだがな」
子ネズミの鳴き声に、家族が集まり一網打尽に捕まっていたが、はみ出ている。
「はい、イツモ、ちょっとよけてくれ」
シートは折り畳めない、ネズミがぎっしりいるから、だからもう一つのシートを上から被せて、ネズミを固定したあとに粘着テープ掃除用でぐるぐるまきにして、専用の捨て場に。
最近はイツモの縄張りに、他からやってきた若い猫がネズミを取りにやって来る。
「俺はネズミをとって一旗あげてやるんだ」
と言わんばかりに、ボスのイツモとギルドマスターの蘆根に挨拶をしたあと、ネズミ取りに精を出していた。
ただ問題があるならば…
「受付時間だな」
四六時中持ってこられても困る。
そこを理解したイツモが、日中はKCJ、早朝と夜間が蘆根という割り振りをした。
「しかし思ったのだが」
「何がです?東司」
「蘆根さんって、ネズミ取るの上手くないか?」
ネズミに関わるのはイツモと暮らしてからである、しかし、コツがあるのか、粘着シートを駆使して、本当にたくさん捕まえる。
「まるでネズミの動きが見えているようだ」
「見えているでしょ、あれ」
人を馬鹿にし始めた大きなネズミが、まるでテニスボール並に跳び跳ねたときに。
バシ
落下点に粘着シートで待ち構えた蘆根、見事に一発で捕獲。
「猫たちの見る目が変わりましたもんね」
いいか、この縄張りの王はイツモ様だが、ギルドマスターも忘れちゃいけないぜ。
讃えよ!


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