浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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毛の生えたゴブリン

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猫というのはご飯の時間には正確なもので。
トットットッ
玄関に近づいてくる足音。
かちゃん
鍵をあけて扉を開けると、さっそく朝食のために猫のみなさんが…
ちゅううううう
餌と交換のネズミを加えたり、その場に置いたりして待っていた。
「おはよう!」
挨拶をした。そして蘆根は粘着シートの箱をあける、新しい箱に手をつけなければ、これは足りなくなるだろう。
「おお、待たせたな、大きいの取れたみたいだな」
ネズミをシートに落としてもらい、その代わりご褒美フードを与えると、それをくわえて猫はさっさといってしまう。
そして次の猫に。
「こいつは子供だな、次も頑張ってくれよ」
ご褒美のフードを与える。
「ん?これは自分でとったものなのか?」
とったネズミが新鮮ではないので、イツモの審議。
「にゃ」
「すまねえな、これは自力でネズミをとったやつにだけ交換って形になっているんだ、そうじゃないと、示しがつかないんでな、今度また来てくれや」
ここだけ見ると本当に冒険者ギルドである。
これをはじめてから、粘着シートの購入頻度が上がった。
「そういう業者さんだって思われているからな」
ホームセンターから、割引券もらうぐらいですよ。
「だってドラッグストアのだと、一枚とか、二枚でしか売ってないから、これを見てみろってすぐに無くなっちまうからな」
毎回箱買いですが、段ボールで買ってもすぐに消えると思っているスピードで、消費される。
「うちには猫が多いんですっていったら、猫用のものももったけどもさ」
イツモの顔が、猫と間違われることはよくあるので気にしません顔になっている。
「農家さんたちと違って、通年必要とするから、蘆根さんは優良顧客でしょう」
もちろんKCJでもそれは扱っているが。
「あのメーカーはないのか」
ネズミ用の粘着シートにもこだわりがあるらしい。
「そりゃあ、はじめは意味わからないまま、ネズミと対処しなきゃならなかったからな、試したわけよ」
それこそ安いのから、高いのまで。
「業務用の箱買いが俺にとってはベストになったんだが、この価格までになると、一枚辺り200円切るわけさ、この価格帯からネズミ用の粘着シートはあるんだが」
愛用者おすすめみたいな話になっているぞ。
「ネズミが出たから、とりあえず安いものっていうのもわかる、というか、ネズミで荷物とかやられるとな、腹立つから」
イツモさんは自分のフードを食われてしまいました。
カッ!
「そっからだな、イツモが本気だしてというか」
蘆根がネズミを粘着シートでとった後に、ゆっくりとそのネズミに近づいて恐怖を与えるという戦法をとる。
「助けを求める声になるのはそれ」
ケットシーはプライドがとても高いので、ナメられたら許すことはない。
「最初は何をしているのかって思ったんだ、気になって覗いているのかなって思ったんだけども」
徐々に近づく、動けなくなったネズミからは恐怖であろう。
そしてネズミの顔の前に顔を見せて、叫びが最高潮の中、シート、粘着してないボール紙の部分を爪で揺らすという。
「あんなんやられたら、恐ろしくて眠れなくなるよな」
捕まったから、後の処理は蘆根に任せる、でなかったらというやつだ。
「シートにどういう粘着材を使っているかも大事だぞ!イツモや猫がいると、そういうのも対策しているタイプじゃないと、まあ、そういうタイプを買えるならば問題ないぞ」
なお、ここがしっかりしてないと何が起きるかというと。
「捕まっても逃げるからな」
粘着力が弱いと、馬鹿力を出して逃げる。
「業務用になると、逃げたのは何回かあったけども、残った後とか見たら、もう生きてはいないだろうなって思ったし」
シートにおおよそのサイズがわかるほどの毛だけが残ってましたが、逃げても庭に出たら猫たちがいる区域、ここを生き延びれはしないだろうというわけだ。
「蘆根さんってどうやって罠しかけているんですか?」
「ネズミっていうのは、好奇心がだんだん旺盛になっていくものだから、そこに言い方が悪いが、漬け込んでいる!」
警戒して姿や音を隠しているときはまず人間では無理なのだが。
「何日かすると、いけるなって思って、ガサガサしてくるんだよな」
イツモが入っていけないところから音がします。
「んで、俺やイツモがいないときに顔を出すじゃん?」
庭先とかですね。
「カラスが取ってくれるときもあるけども、それはあてにならないから」
「でコツは?」
「あいつらは空を飛ばないだろ?」
「??」
波里は困った。
「そうなんだよ、あいつらは空を飛ばない、それがわかってからだな、上手く取れるようになったのは」
蘆根はいう、ネズミは空を飛んでやってくるわけではない、あくまで足があって、歩いて、走って、跳び跳ねてなのである。
「だから、先にどっちか狙うことだな」
「??」
「つまりな、階段ぐらいの段差がある場合、ネズミは跳び跳ねるとか、どっかつたってくるしかないから、道は限られているから、そこをまず抑える、そしてこの道は歩けるじゃんって思ったら、そこを歩かせて、そこに罠をおくんだ」
「それで上手く行きますか?」
「見えないから、確認に来る、その時が最後よ」
フッフッフッと。
「後は、ボール紙で、偽階段作るのもいいぞ、片面だけガムテープではって」
それでどうなるか、片面だけガムテープで止めたボール紙を段差にセットする、そこをネズミが歩くと、ネズミの重さに当たり前だが耐えられないので。
ちゅううううう
「遠ざかる悲鳴が聞こえたとき、すっとしたな」
「あれ?それってネズミはとれてます?」
「いや、ただ落ちていっただけだな」
この人は恐ろしい人だと、波里は思った。
「今なら人に狙われたことがないネズミなら、ホイホイとれちゃうから、それがちょっと物足りないな」
ご褒美餌効果もあり、蘆根が自ら罠を仕掛けることはそうは無くなったのだが、かけたとしても、せいぜい近所の人に頼まれたりするぐらいか。
「でも取っても取ってもまだ出るからな、不思議なもんだな」
それは簡単である、イツモの縄張り+近所にネズミがいなくなっても、他の地域にはネズミがいるので、そっから引っ越してくるので、一ヶ月もすると、ネズミの数は取った分は回復しているのである。
(ネズミって、本当、毛の生えたゴブリンですね)
KCJの二人は本日の業務はネズミの簡単な後片付けから始まっている。
「このペースが続くと、支部から清掃が定期ではいるって」
「本当ですか、それならモリモリみなさん取ってくださいよ」
言葉は通じているのかはわからないが、波里は声をかけた。

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