浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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浜薔薇フルコース

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「災害用食料を有料サービスみたいな」
「あ~そういうのはたぶん誰かが考えたアイディアだね」
なんて話を出張所では話しているようだが…
「前にそういうサービスがあったんですよ、地元にも」
「えっ?そうなんだ」
傑の話。
「そうですね、なんで失敗したかっていうと、美味しすぎたんですよ」
災害が起きる前に食べちゃったりする人が続出いたしました。
「それは確かに大失敗だな」
「そういうときだからこそ、美味しいものをっていうことで、あっ、そこはもつ汁が美味しかったって言ってましたね」
そう、もつの汁の話。
「あまり出てないですけども、この辺にはコニーのおすすめっていうブログがありましてね」
それってたぶん浜薔薇のあらすじ紹介以来じゃないですかね。
「コニーのおすすめで昨日紹介されていたもつ汁をつい、買ってきました!」
波里である。
「いや、やはり美味しいときいたら、試すでしょ?」
「まあ、そうだけども、これ…安いよな」
「そうなんだよ、180円なんだよ」
丼に入っているもつ汁である。
「これとご飯があれば他にいらないよな」
「漂う匂いからわかるけども、美味しいに決まっているやつなんだよ!」
二人、波里と東司の昼食になりました。
「あっ、これは旨いし、安いし」
「炊き出しで、これ鍋で頼めないかな」
「まあ、それが出来たらいいんじゃないか?あれかな、ブログに紹介されるまでもつ汁が美味しい店っていうイメージはなかったな」
「そうそう、こういうさ、売れるものとかも大事だと思うんだよね、というか、ここら辺ってもつ文化ない気がする」
「そういえばそうだな、その辺も聞いてみたらどうだ?」
そこでタモツに聞いてみると。
「そうだな、あんまり食わねえな」
とのこと。
「これってもしかして、面白いことわかったかもしれませんね」
「面白いですか?」
傑が波里に聞くと。
「食べるところって、百パーセントのうち半分しかなかったりするので、有効活用っていうのは前々からいいアイディアがあれば欲しいという感じでしたからね」
「もつってどうやって食べるんですか」
「…」
「えっ?どうしました」
「なんか、こう、解決というか、問題が見えた気がしましたね」
「?」
「そっか食べ方わからない、でも肉の産地でもあるから、もつはある…と」
「前にもつを扱おうとした飲食店がこちらにはあったんですけども、処理の方法を聞いたら面倒くさいという話になったんですよね」
「面倒くさい…やっぱりそこが問題か」
作るのは面倒くさいけども、食べるなら美味しいという感じだったらいけるかな。
「というわけで豚汁からもつ汁になりました、豚汁よりも量を出せるので試してみたいのですが」
めっちゃ食えるということで好評。

今の世の中のことを考えて、耳かきは消毒も楽々な金属製になっておりますが、その変更があったとしても、そこで浜薔薇のクオリティが落ちるかというと、そんなわけはない。
パリパリパリ
耳の中からかき出される音は竹よりもかん高く響く。
「なんかいつもよりも眠くなるのが早い気がする」
そんなお客さんにもう一度。
パリパリパリパリ
(ぬぉぉぉぉぉ)
中から聞こえるかき出す音。
「ここのお店は耳かきがドハマリさせられるお店だよね、さすが達人の店」
「いえいえ、私はまだまだ精進が必要だと感じております」
レジェンドと呼ばれても、それに奢ることはなくなおも謙虚に高みを目指す、その生き方、姿勢、素晴らしい人だ。
感動する耳かきをされるお客さんの後ろ、待ち合いの席にいる何人かが、うんうんうんと頷いている。
この頷いているお客さんが、浜薔薇の耳掃除のファン、通称S席の客である。
「お客様」
「なんでしょう?」
「左耳の後ろの引っ掻き傷が気になりますが、先に中を覗かせてもらってもよろしいでしょうか?」
「えっ?なんか関係あるの?」
「こういう場合は、やはり中にありました、奥の方が充満してますね、これが痒いのですが、手が届かないと耳の後ろを代わりにかいたりするんですよ」
「それが原因だとは…」
「早速お取りいたします」
へばりついているものにサジが隙間から入り込みはずす。
ボロ
(えっ、今、本当に音が聞こえたんだけども)
「こいつが犯人です」
そういって大事そうに紙の上に乗せられたのは、大きさは小指の爪、その半分はどの固そうな塊である。
「結構耳かきは自分でもしてたんだけどもね」
「お客様は手前側はお綺麗です、奥ともなるとやはり躊躇うと思いますが、そこが詰まりやすいわけです、それではこちらのお耳を綺麗にさせていただきます」
大物を取ると耳の音のズレがあったが、耳かきが進むごとにそのズレが、ピタッと合うのである。
「あ~」
耳かきが終わったので、椅子から立ちあかまると、肩が、背筋が伸びる。
(こんなに疲れていたのか)
「どうしたか?」
「今から家に帰るの大変、家の近所にあったら、そのまま今日は寝るぐらいだよ」
「またお待ちしております」
さっき浜薔薇に行ってから、リラックスの状態が続く、夢見心地のまま電車に乗る。
起きているはずなのに現実と夢の狭間に立ってる。
朝起きた時に。
「よく無事に帰ってきたな」
ふわふわしすぎて怖い、これが浜薔薇クオリティ、疲れ過ぎているときは店に行くのはオススメしないぞ!
「そうなんですか?」
「もしも明日スッキリ全部疲れを取りたいっていうのならば、浜薔薇でフルコースをした後は、近所のビジネスホテルにタクシー、んでもってただひたすら寝る、そのぐらいの方がいいな」
それか出張をお選びください、適当な場所で爆睡することになります。
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