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非時香菓パン
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「ん?どうしたのさ、燭」
支部の戦略担当から返事が来た。
「ああ、めっちゃ忙しい、二ヶ月ぐらいかかるんじゃないか?これは」
「そんなに?」
「こっちよりも手続きに時間がかかるから、その間に手続きが通ったときと、通らなかった場合のパターンを考えて対応しているんだ」
「なるほど」
「どんな時でも前を向くぐらいじゃないと、この仕事は務まらないし、ああ、出張所のレポート見たよ、休みがあったら、髪を切ってもらいたい、もうさ、髪が長くなったし、あれよ、耳掃除も受けてみたいもんだよ」
「頼もうか?誕生日プレゼントがわりに」
「えっ?いいの」
同期は仲がよく、それぞれに誕生日プレゼントを贈りあったりしていた。
出張所に東司が持ち込んでいる私物の、ポットや皿はその同期達からの贈り物で、見ればわかる通り、某ブランドの茶器にあたる。
(ここでヌン茶やりそうだからな、東司)
(やれるならやりたい)
「しかし、アフターヌーンティーをやるなら俺は妥協しないぞ!」
「心読まれているし、心の声もれているし」
「あっ、すまない、ただアフターヌーンティーはやりたいところがある」
ホテルで一人、なかなかのいい男が一人紅茶や菓子を楽しむ。
「あれは至極なんで」
「パイのシーズンが終わるから有給くださいっていうものな」
笑いながら上司は許可をくれました。
「あそこの店は職人だから、気温が高いと今日は生地が決まらないなってことで、パイを作らないんだよ」
こんなに食にこだわるのは、異世界生活が長かったせい。
「春が始まる前に、いや、夜が寒いうちに、肉のパイを食べたいんだよ」
肉のパイといいますが、シチューのパイのことです。四季がはっきりしている地域にある支部なので、その近所にある菓子やパンを扱うお店は、季節に応じたものを出す。
「あそこはパイは美味しいんだけども、基本的に寒い時期しか作らないので」
職人が生地だれるといって作りだからない。
「あっ、私は逆に夏のパン好きなんだよな、あそこは」
そのお店は夏になると、柑橘類のパンを出します。
「オレンジのパンとかは他のお店にもあるんだけどもさ」
波里のおすすめはそこの「非時香菓パン(ときじくのかぐのこのみパン)である。
「ほら、私の師匠ってそっちの研究者でもあるから、名前がさ、へぇ、こっちの世界でもこういうの使うんだって、ああ、もちろん本物ではなく、その言葉のもとになったヤマトタチバナをイメージしたものらしいんだけども」
「それ絶滅とかしそうなんじゃ」
「まだしてない、でもCR」
赤が点灯してる、絶滅にリーチがかかっている植物。
「販売時期になると、よく買い物にいって、あんまり買いすぎるから、お店の人とか覚えていたからな」
今日もこちらでよろしいですか?360円です。
「珈琲ついて360円は安いも思うんだよ、大きいサイズだし」
「俺はあそこの店はサンドイッチとかそういうのも好きだな」
「わかる、朝、モーニングでサンドイッチ頼むと、バナナとヨーグルトついてきますけども、どうします?っていう390円の店はありがたいよね」
「なんかこういう話をすると腹減ってきた」
「最近そういえば言ってないし、そうなんだよ、浜薔薇の近所ってお店がそうないから、特にパン屋さんとかってないよね」
「昔はあったとは聞いたが」
「昼御飯を食べるところも車を使わないとこの辺にはないっていってたから、もっと浜薔薇には繁盛してもらって、美味しい店に来てもらいたいな」
「それか逆に美味しい店に来てもらって、それで人を呼んだらどうだ」
「あっ!」
気づいてなかったらしい。
「そっか、別に浜薔薇だけじゃなくてもその辺はいいのか」
「そりゃあそうだろ、それに浜薔薇はこれからはセーブしていかなきゃいかないこともたくさんある、忙しいのはいいんだが、忙しいという状態は短期間にとどめないと」
「そうなんだよね、たまたまイツモ様の事があるから、ここに出張所として来てるけども、蘆根さんは確かにすごいが、色んなことを対応していかなければならない状態になると手が足りない、寝る暇ないし」
「それでなにもしない、諦めるの選択をしてくれたら…まだいいが」
「それで止まるわけないじゃない、だから傑さんが蘆根さんよりももっと上手くやれる人たちが来ますから、その人たちを待ってください、それでその人たちがきちんとできる人たちというのを見届けたら、やっと止まる人だからな」
「職人というのはそういうものなんじゃないか?」
「まあ、それはわかるよ、だからこそ組むときは気を付けないと、蘆根さんは異世界に行っても上手く行きそうというか、ドワーフのところにいったら、そこで混じって今日からでも仕事してそうだもんな」
「ああ、やっぱり波里もそう感じていたか、蘆根さん見ると、そうなんだよ、おじさん達を思い出してさ、給料来たら、いい酒探すか」
東司は異世界生活において、世話になったのが世話焼きドワーフ。
「それなら傑さんに聞いてみなよ、あの人はたぶん知ってる、こっちの地酒とか選んでさ、送ってさ、今はこんなところで働いてますって近況送ってみなよ」
「そうすると」
21日、樽酒がKCJ経由で異世界に配達されたというが。
「旨いが、足りなかったって」
「さすがドワーフ」
あっという間に無くなったそうだ。
支部の戦略担当から返事が来た。
「ああ、めっちゃ忙しい、二ヶ月ぐらいかかるんじゃないか?これは」
「そんなに?」
「こっちよりも手続きに時間がかかるから、その間に手続きが通ったときと、通らなかった場合のパターンを考えて対応しているんだ」
「なるほど」
「どんな時でも前を向くぐらいじゃないと、この仕事は務まらないし、ああ、出張所のレポート見たよ、休みがあったら、髪を切ってもらいたい、もうさ、髪が長くなったし、あれよ、耳掃除も受けてみたいもんだよ」
「頼もうか?誕生日プレゼントがわりに」
「えっ?いいの」
同期は仲がよく、それぞれに誕生日プレゼントを贈りあったりしていた。
出張所に東司が持ち込んでいる私物の、ポットや皿はその同期達からの贈り物で、見ればわかる通り、某ブランドの茶器にあたる。
(ここでヌン茶やりそうだからな、東司)
(やれるならやりたい)
「しかし、アフターヌーンティーをやるなら俺は妥協しないぞ!」
「心読まれているし、心の声もれているし」
「あっ、すまない、ただアフターヌーンティーはやりたいところがある」
ホテルで一人、なかなかのいい男が一人紅茶や菓子を楽しむ。
「あれは至極なんで」
「パイのシーズンが終わるから有給くださいっていうものな」
笑いながら上司は許可をくれました。
「あそこの店は職人だから、気温が高いと今日は生地が決まらないなってことで、パイを作らないんだよ」
こんなに食にこだわるのは、異世界生活が長かったせい。
「春が始まる前に、いや、夜が寒いうちに、肉のパイを食べたいんだよ」
肉のパイといいますが、シチューのパイのことです。四季がはっきりしている地域にある支部なので、その近所にある菓子やパンを扱うお店は、季節に応じたものを出す。
「あそこはパイは美味しいんだけども、基本的に寒い時期しか作らないので」
職人が生地だれるといって作りだからない。
「あっ、私は逆に夏のパン好きなんだよな、あそこは」
そのお店は夏になると、柑橘類のパンを出します。
「オレンジのパンとかは他のお店にもあるんだけどもさ」
波里のおすすめはそこの「非時香菓パン(ときじくのかぐのこのみパン)である。
「ほら、私の師匠ってそっちの研究者でもあるから、名前がさ、へぇ、こっちの世界でもこういうの使うんだって、ああ、もちろん本物ではなく、その言葉のもとになったヤマトタチバナをイメージしたものらしいんだけども」
「それ絶滅とかしそうなんじゃ」
「まだしてない、でもCR」
赤が点灯してる、絶滅にリーチがかかっている植物。
「販売時期になると、よく買い物にいって、あんまり買いすぎるから、お店の人とか覚えていたからな」
今日もこちらでよろしいですか?360円です。
「珈琲ついて360円は安いも思うんだよ、大きいサイズだし」
「俺はあそこの店はサンドイッチとかそういうのも好きだな」
「わかる、朝、モーニングでサンドイッチ頼むと、バナナとヨーグルトついてきますけども、どうします?っていう390円の店はありがたいよね」
「なんかこういう話をすると腹減ってきた」
「最近そういえば言ってないし、そうなんだよ、浜薔薇の近所ってお店がそうないから、特にパン屋さんとかってないよね」
「昔はあったとは聞いたが」
「昼御飯を食べるところも車を使わないとこの辺にはないっていってたから、もっと浜薔薇には繁盛してもらって、美味しい店に来てもらいたいな」
「それか逆に美味しい店に来てもらって、それで人を呼んだらどうだ」
「あっ!」
気づいてなかったらしい。
「そっか、別に浜薔薇だけじゃなくてもその辺はいいのか」
「そりゃあそうだろ、それに浜薔薇はこれからはセーブしていかなきゃいかないこともたくさんある、忙しいのはいいんだが、忙しいという状態は短期間にとどめないと」
「そうなんだよね、たまたまイツモ様の事があるから、ここに出張所として来てるけども、蘆根さんは確かにすごいが、色んなことを対応していかなければならない状態になると手が足りない、寝る暇ないし」
「それでなにもしない、諦めるの選択をしてくれたら…まだいいが」
「それで止まるわけないじゃない、だから傑さんが蘆根さんよりももっと上手くやれる人たちが来ますから、その人たちを待ってください、それでその人たちがきちんとできる人たちというのを見届けたら、やっと止まる人だからな」
「職人というのはそういうものなんじゃないか?」
「まあ、それはわかるよ、だからこそ組むときは気を付けないと、蘆根さんは異世界に行っても上手く行きそうというか、ドワーフのところにいったら、そこで混じって今日からでも仕事してそうだもんな」
「ああ、やっぱり波里もそう感じていたか、蘆根さん見ると、そうなんだよ、おじさん達を思い出してさ、給料来たら、いい酒探すか」
東司は異世界生活において、世話になったのが世話焼きドワーフ。
「それなら傑さんに聞いてみなよ、あの人はたぶん知ってる、こっちの地酒とか選んでさ、送ってさ、今はこんなところで働いてますって近況送ってみなよ」
「そうすると」
21日、樽酒がKCJ経由で異世界に配達されたというが。
「旨いが、足りなかったって」
「さすがドワーフ」
あっという間に無くなったそうだ。
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