浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
上 下
66 / 996

あなたの運命

しおりを挟む
最近昼御飯を楽しみにしている。
会社のそばは、コンビニぐらいしかなく、昼御飯のバリエーションに困っていたのだが、なんと近くにキッチンカーが来るのを発見した。
通勤中にたまたま前を通って、本日の営業時間とメニューが書かれていたので、それならばとお昼にやってきたところ。
(この値段とこの美味しさだったら毎日来てほしいな)
そう思ってしまうぐらいはまった。
「お客さん、いつもありがとうございます」
そしていつの間にか、お店の人にも顔を覚えられていて。
「あっ、浜薔薇のサイトをみてくだされば、うちの店の出店情報載ってますし、他のお店も今度からやってくるみたいなんで、楽しみにしてください」
そんな事を言われたら心踊ってしまうじゃないか!と思っていたら。
「本日は炊き出しなので、余裕がありましたら、こちらに料金お願いします」
「これって俺も食べても、買えるの??」
「大丈夫です」
なんで焼きたてピザハーフとか200円で、これめっちゃいいチーズ使ってるんだけど。
「コーヒーと紅茶はサービスです、紅茶の方は時間をいただいてます」
ものすごい賑わいになっていた、平日の昼にこれだけの人って、まあ、みたこともある人いるから近所の人がメインなんだろうが。
ピザはお金を払ってからもらう、食べるとやはり想像通りに旨いと言うか、想像より旨い。
「本当は釜まで作るつもりだって言ってたぜ」
「釜のピザなんて食べたことないや」
なんて声が聞こえてきたりした。
(ピザ持って返りたいが、冷めちゃうと味が落ちちゃうのかな)
結局こみ合って来たので、食べたらさっさと会社に戻ることなった。
たまたまニュースで国内の食料支援についての特集が流れ、それを見たら、浜薔薇でやっていることって都会みたいだなと、こちらでは目に見えない、俺が知らないだけかもしれないが、そういう支援をしなければならない部分が出てきてるのかもしれないし、あれだ、明日は我が身ということも考えられた。
「それを考えると少し怖いな」
ニュースを笑い溢れるバラエティーに変えた。

「炊き出しって、キッチンカーの出店料とかそのままスライドしている形なんですか? 
「あっ、そうなんですよ」
だいたいその金額で何十人か分の炊き出しを作り、お金払える人はきちんとKCJの職員が帳簿とか事務処理をして、災害時に救援するところに寄付していたりします。
「俺が金持ちならもっとドーンと払うんだけどもな!」
「蘆根さんがお金持ちなら、私、結婚してあげる!」
「その気持ちだけでもありがたいや」
浜薔薇に蘆根が来てから、ここには色んな人たちの笑い声が絶えない。
(俺も頑張らなきゃな)
なんて思ってしまうのだが。
「無理はしなくていいですからね」
この人はあの猫貴族の職員の人だ。
「あれ?顔に出てます?」
「わかりやすいです」
なんかこの人の目ってつぶらっていうか、めっちゃ綺麗な気がする。
「なんか蘆根さん見ていたら、自分は何やっているんだろうって気になりました」
「蘆根さんは特殊だから、真似すると失敗しますよ」
「そんなもんですかね」
「そうですよ、我々もこういう支援活動してますけども、ちゃんと計画立てる人間がいるから、安全確保しながらやれるんで、ほら、蘆根さんってとりあえずやってみようか!ってタイプじゃないですか」
「あ~それはわかるかも」
失敗したらその時直していけばいいじゃん!
「あれって真似できなくないですか、よそからみてて」
「それもわかるかも」
直していくと、元の形がわからなくなるまで変わっていき、これなんだっけ?でも動いているからいいか!ぐらいの歪な成功になるので。
「やっぱり蘆根さんって、上手くやっているように見えるじゃないですか」
「見えますね」
「普通の人が感じる幸せの量と、蘆根さんの幸せって同じぐらいなんですけども、喜び方が違うんです、だからすごく見えちゃう、すごく見えちゃうから真似しちゃうんだけども、普通の人はそれでは満足しないから、失敗するって感じですかね」
「深いと言うか、何人か見てきたんですか?」
「ええ、とりあえずやってみればいいじゃん!って悩みにたいして答えてしまい、それをそのままやったら失敗したとかいう話でした」
「なんかうちの会社にいたな、そういう人」
「今の時代といえばなんですけども、ちゃんと成功するのならば、先に調べた方がいいです。いい人を紹介されましたとかそういうのがない状態なら特に、なんでもいうでしょ、最初がなんでも難しい」
「そうですね」
そこで足がなんかもぞっとする、下をみると、猫が体をこすりつけていた。
「貴族様、どうしたんですか?」
そういって猫に話しかけると。
「イツモ様はあなたを好ましく思っている」
「そうなの?」
ゴロリ
腹を見せた。
「まさかのお腹を見せるとは、…よろしければお腹を撫でる、俗にいうモフモフをしてあげてはくれませんでしょうか?」
敬語でモフモフしてくださいを頼まれるとは思わなかったな。
モフモフ
するお貴族様は気持ち良さそうな顔をした。
「あなたはケットシーに愛される才能があるようだ、もしかしたらケットシーを託される、そんな運命を持っていたかもしれない」
えっ?何?俺は運命の出会いを逃したの?それともこれから来るの?とんでもなく気になることを言われたんだが…あれからしばらくしても今のところその出会いは訪れてはいない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...