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すぐに布団が恋しくなる
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サワ…
なんかつい耳を触ってしまうがなんでだろう。
そしてなんだか、触った外側の部分がちょっと痛いな。
パラっ
その時前髪が目に入った。
よし!浜薔薇行くぞ!
「ああそれは、耳が痒いからですよ」
耳を触ってしまうについて、蘆根さんは答えてくれた。
「耳の中が痒いのだけども、届かない、でもなんか不快でさわっちゃうんですよ、ちょっと失礼しますね、あ~これは痒いですね、…これかな」
パリ!
そうしておそらくこれが痒いんだろうなと思うものを探り当てた。
「どうですか?」
「あれ?」
正直びっくりした。
「痒くない」
「そういうことですよ」
そこからまずはシャンプーということになった。
「しっかり洗わせていただきます」
今日の蘆根さんは機嫌がいいな。
他のお客さんがいないため、本気出せると思ってます。
シャ~
お湯で頭皮の汚れを落としていく。
ニヤリ
お客さんには見えていないが、蘆根は笑っている。
手にはヘアクレンジング剤、これで余計な皮脂を落とし、マッサージをしながらも、髪を艶々にしてやろうと、こいつ企んでやがる。
「はい、失礼します」
これは洗浄成分が強いので、家でお使いの場合は週に一回がおすすめである。
(このお客さんの髪質にはぴったり合うんだろうな)
その悪巧みを知らずか、お客様はうとうとしている。
蘆根の腕は悪魔である、誰もが睡眠の誘惑を受けてしまう。
目を覚ましたら、あれ?まだこんな時間だなんて、そんな驚きを毎回毎回味わわせやがって、とんでもない店である。
その秘密の一つは店内に流れるヒーリングミュージックだそうだ。
店内の物はオリジナルのもので、作曲家カルボンが、あっ、カルボンってあれよ。
フェカリスの飼い主、作曲家ネームがカルボン。
「へぇ面白そうだね」
そういってカルボンが浜薔薇のために作ったのがこれである。
「動画でも聞けるよ」
「流すと、よく眠れるっていうか、早起きしちゃうぐらいリフレッシュするってことで評判だな」
そのヒーリングミュージックは何曲もあって。
「まずこのつぎはぎの奴だけ流して」
「どういうことだ?」
「それで反応見て、一番反応しているものをマッサージや耳かきの最中に流してほしい」
と言われ、そのまま導入している。
(俺には何がなんだかわからないんだがな)
それは自然の音だったり、楽器の音だったり。
ただ蘆根はお客さんがそれを聞いて…
(あっ、これか)
リラックスしているのを選んでいる。
「あの曲は僕も寝るとき聞いてますよ」
傑もそういう。
「あれは何かあるの?イツモとフェカリスが爆睡する音楽もあるんだけども」
「へっ?本当にカルボンって天才じゃないの」
「天才ね…」
蘆根はフェカリスの飼い主として知り合ったので、逆にカルボンって何?乳酸菌からとったの?なかんじである。
「浜薔薇って、あのカルボンがヒーリングミュージック作ったってことで、ざわつかれてましたからね」
「そうなんだ」
「カルボンって、おかしいぐらい格好いい曲とか作るタイプの作曲家で」
「本人はいたって普通だな」
見た目音楽の仕事をしている人に全く見えない。
「色んな人に影響を与えてて」
「前に作り方の話にはなったことはあるんだけども」
「なんていってました!」
食い付きがすごかった。
「自分が曲を作る場合は三パターンが基本になっている、音の重ね方がどうのこうの」
「そのどうのこうのを思い出してくださいよ」
「浜薔薇のは実験も兼ねていると、これ作ったおかげでわかったことがあるとかはいってた」
「ええ、それってすごいことじゃないですか、あっ、でも確かにその後にリリースしたの、今までとはちょっと違いましたね」
前より音が見えるようになった。
カルボンはインタビューでそう答えている。
「再生速度上げても、下げても、別の顔を見せる曲にしましたとは言ってたかな」
「ああ、それな、脈拍あるじゃん?」
「ありますね」
「このいつもBGMで流している曲あるじゃん」
「はい、これですね」
「これがまず人間の標準的な脈拍に合うようなリズムにしているのね」
「えっ?」
「受け売りなんだがな、言葉としては」
「続けてもらえますか?」
「ああ、それで、ストレスある人とかだと、その標準的なリズムじゃないわけ、焦っている人もいれば、深く落ち込んでいる人もいる、一応この最初のチェック曲っていうのはあるけども」
「そういえば最近流してませんね」
「それは三日坊主というわけじゃなくて、俺がそのお客さんのリズム見て、こっちかな?って曲決めれるようになったからなんだよ」
「…えっ?」
「まあ、だいたい曲は六曲ぐらいかな、それ以外になるお客さんは今のところ来てないんだよな、今だと、あっ、この曲だなが先にわかるようになるんだけどもさ」
「え~そんな」
「少なくともはずれてはいない」
みんな寝落ちしちゃうから。
「その話したらあいつ、次は負けないからとかっていってたけどもさ」
話題の作曲家がいつも熱心に作り込む理由はここにあるようだ。
「先生、これすごいですよ、なんか聞き始めてすぐに布団が恋しくなる」
(失敗か)
才能あるものは才能があるもの同士にしかわかりあえない何かがあるようだ。
なんかつい耳を触ってしまうがなんでだろう。
そしてなんだか、触った外側の部分がちょっと痛いな。
パラっ
その時前髪が目に入った。
よし!浜薔薇行くぞ!
「ああそれは、耳が痒いからですよ」
耳を触ってしまうについて、蘆根さんは答えてくれた。
「耳の中が痒いのだけども、届かない、でもなんか不快でさわっちゃうんですよ、ちょっと失礼しますね、あ~これは痒いですね、…これかな」
パリ!
そうしておそらくこれが痒いんだろうなと思うものを探り当てた。
「どうですか?」
「あれ?」
正直びっくりした。
「痒くない」
「そういうことですよ」
そこからまずはシャンプーということになった。
「しっかり洗わせていただきます」
今日の蘆根さんは機嫌がいいな。
他のお客さんがいないため、本気出せると思ってます。
シャ~
お湯で頭皮の汚れを落としていく。
ニヤリ
お客さんには見えていないが、蘆根は笑っている。
手にはヘアクレンジング剤、これで余計な皮脂を落とし、マッサージをしながらも、髪を艶々にしてやろうと、こいつ企んでやがる。
「はい、失礼します」
これは洗浄成分が強いので、家でお使いの場合は週に一回がおすすめである。
(このお客さんの髪質にはぴったり合うんだろうな)
その悪巧みを知らずか、お客様はうとうとしている。
蘆根の腕は悪魔である、誰もが睡眠の誘惑を受けてしまう。
目を覚ましたら、あれ?まだこんな時間だなんて、そんな驚きを毎回毎回味わわせやがって、とんでもない店である。
その秘密の一つは店内に流れるヒーリングミュージックだそうだ。
店内の物はオリジナルのもので、作曲家カルボンが、あっ、カルボンってあれよ。
フェカリスの飼い主、作曲家ネームがカルボン。
「へぇ面白そうだね」
そういってカルボンが浜薔薇のために作ったのがこれである。
「動画でも聞けるよ」
「流すと、よく眠れるっていうか、早起きしちゃうぐらいリフレッシュするってことで評判だな」
そのヒーリングミュージックは何曲もあって。
「まずこのつぎはぎの奴だけ流して」
「どういうことだ?」
「それで反応見て、一番反応しているものをマッサージや耳かきの最中に流してほしい」
と言われ、そのまま導入している。
(俺には何がなんだかわからないんだがな)
それは自然の音だったり、楽器の音だったり。
ただ蘆根はお客さんがそれを聞いて…
(あっ、これか)
リラックスしているのを選んでいる。
「あの曲は僕も寝るとき聞いてますよ」
傑もそういう。
「あれは何かあるの?イツモとフェカリスが爆睡する音楽もあるんだけども」
「へっ?本当にカルボンって天才じゃないの」
「天才ね…」
蘆根はフェカリスの飼い主として知り合ったので、逆にカルボンって何?乳酸菌からとったの?なかんじである。
「浜薔薇って、あのカルボンがヒーリングミュージック作ったってことで、ざわつかれてましたからね」
「そうなんだ」
「カルボンって、おかしいぐらい格好いい曲とか作るタイプの作曲家で」
「本人はいたって普通だな」
見た目音楽の仕事をしている人に全く見えない。
「色んな人に影響を与えてて」
「前に作り方の話にはなったことはあるんだけども」
「なんていってました!」
食い付きがすごかった。
「自分が曲を作る場合は三パターンが基本になっている、音の重ね方がどうのこうの」
「そのどうのこうのを思い出してくださいよ」
「浜薔薇のは実験も兼ねていると、これ作ったおかげでわかったことがあるとかはいってた」
「ええ、それってすごいことじゃないですか、あっ、でも確かにその後にリリースしたの、今までとはちょっと違いましたね」
前より音が見えるようになった。
カルボンはインタビューでそう答えている。
「再生速度上げても、下げても、別の顔を見せる曲にしましたとは言ってたかな」
「ああ、それな、脈拍あるじゃん?」
「ありますね」
「このいつもBGMで流している曲あるじゃん」
「はい、これですね」
「これがまず人間の標準的な脈拍に合うようなリズムにしているのね」
「えっ?」
「受け売りなんだがな、言葉としては」
「続けてもらえますか?」
「ああ、それで、ストレスある人とかだと、その標準的なリズムじゃないわけ、焦っている人もいれば、深く落ち込んでいる人もいる、一応この最初のチェック曲っていうのはあるけども」
「そういえば最近流してませんね」
「それは三日坊主というわけじゃなくて、俺がそのお客さんのリズム見て、こっちかな?って曲決めれるようになったからなんだよ」
「…えっ?」
「まあ、だいたい曲は六曲ぐらいかな、それ以外になるお客さんは今のところ来てないんだよな、今だと、あっ、この曲だなが先にわかるようになるんだけどもさ」
「え~そんな」
「少なくともはずれてはいない」
みんな寝落ちしちゃうから。
「その話したらあいつ、次は負けないからとかっていってたけどもさ」
話題の作曲家がいつも熱心に作り込む理由はここにあるようだ。
「先生、これすごいですよ、なんか聞き始めてすぐに布団が恋しくなる」
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