異世界騎手転生。馬獣人となった愛する馬とはじめるスローライフ

 米国競馬界の至宝、カストリオ=ノイジー。
 年間獲得賞金二千万ドルは二位の騎手に一千万ドルの差をつけてのぶっちぎりの最優秀騎手(リーディングジョッキー)だ。
 彼は稀代の天才騎手であった。
 カストリオはどんな馬とも折り合いがよく、馬の良いところを引き出し続けた。
 カストリオが最も愛した馬はノイジーナイス。
 小柄ながら、まるで翼が生えているかのように軽やかに、そして綺麗なフォームで走る馬だった。
 ノイジーナイスに乗ったカストリオは、「技術などいらない。またがり、抑えもせず、ムチもいれず。気分良く走ればこの馬に勝てる馬は居ない」と興奮した様子で語った。
 ノイジーナイスはゲートが開くとスルスルと先頭にたち、まず3ハロンを三十四秒台前半で走る。
 大きく差が開いてもそのまま馬なりにリードを広げていく。
 後続馬がそろそろ仕掛けるかとムチを入れ追いつこうとしても、もはや手遅れ。
 減速どころかさらにノイジーナイスは加速して差を広げゴールする。
 上がり三ハロンは三十四秒を切るほどの鋭い切れ味のある脚を見せた。
 結果、ケンタッキーダービーでの記録的な差をつけての圧勝。
「ノイジーナイス以外の馬には乗れなくなるね」とカストリオは笑って語った。
 そして、ブリーダーズカップでノイジーナイスの記録は終わる。
 勝っても負けても引退して繁殖入り。
 ノイジーナイスはブリーダーズカップのゲート入りを嫌った。
 カストリオがなだめようやくゲートに入りレース開始。ブリーダーズカップでも開始直後にノイジーナイスについてこれる馬は居なかった。
 十馬身以上開け、誰もが圧勝だと考えていたが、途中でノイジーナイスはコースをゆっくりと離れた。
 コースから外れた後、カストリオを降ろして倒れ込む。
 脚の粉砕骨折、予後不良により安楽死となった。
「ゲート入りを嫌ったあの時に気付いていれば」
 そして落ち込むカストリオは次のレースの落馬事故で命を落とす。
「次の人生についてリクエストはありますか?」
 神様にノイジーナイスともう一度会いたいと伝えた。

 全てがレースで決まる世界へ。
 愛馬と再会し、スローライフを送ることができるのか。

 本編まで長めになる予定です。
24h.ポイント 0pt
0
小説 193,829 位 / 193,829件 ファンタジー 44,507 位 / 44,507件

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

(短編)平成試供品浪漫譚

乙訓書蔵 Otokuni Kakuzoh
ファンタジー
──鄙びたトイ・ストーリー。 鄙びた温泉街に続く道路脇の馬鹿でかい駐車場を有した土産物屋。 トイレ休憩に大型観光バスや家族連れの車が停まる。 ガチャガチャや観光会社の看板がずらりと並ぶタバコ臭く、昭和の終わりと平成の初めにタイムスリップさせる入り口を通り抜けると、老店主自慢の奇抜な電池玩具が出迎える。 ラジカセ犬を偲ばす馬の玩具がひんひんぱからぱからと紐で繋がれたポールの周囲を駆け巡る。 びかびかと光る蛍光グリーンの馬体から流れるは「ウィリアムテル序曲」。彼の道化じみた珍妙な様に訪れた客は噴き出したり、小馬鹿にしたり。 ある日、店にやって来た美しい女の人形に馬は恋をした。 しかしプライドの高い彼女にも蔑まれ、馬は落ち込みつつも密かに想う。 ──果たして馬の想いは成就するのか?

異種族の夫達

らび
ファンタジー
佐久間透(さくまとおる)25歳。 ある日を境に異世界との扉が開き、運命的な出会いが待ち受ける。 これは彼女と異種族の夫達のとてつもなく遠い遠距離恋愛の物語。 ※R18設定です

放課後高速騎兵隊クラブ

LongingMoon
ファンタジー
 2016年、真悟は小卒後に急遽、家の事情で都会から栗東市へ引っ越し、厩舎でバイトや乗馬を始め、産まれたての牝馬の烏騅と出会った。  時を同じくして、日本は新たな政権で経済は急速に立ち直りだしたが、世界は2009年の鷺山首相の掲げたCO2削減目標を忘れておらず、国連で日本に約束を守れなかった場合の無理難題を押し付けた。沖田総理はちゃぶ台を返し、CO2の25%削減を実現すると宣言、逆に実現した時の条件を切り返し、帰国した。  沖田は国民に協力を求めてCO2削減閣議を開き、議論の末、2020年限定馬社会法案を目指すと決めた。  一方、真悟は栗東市乗馬クラブの創設メンバーとなり、初代キャプテンの船木とクラブを牽引していくことになる。メンバーは、委員長の仁美、美人のトモちん、隣の中学で1つ上の船木、動物好きの原田、他女子部員2人で、計7人だった。皆がんばったが、初の大会で結果を残せなかった。1年後、船木は引退し、トモちんは故郷の北海道へ帰郷した。  真悟がキャプテンに、仁美が副キャプテンになった。仁美は、船木と同じ進学高を目指していた。勉強嫌いの真悟は他の高校を考えていたが、仁美の策略で彼女と同じ高校を目指すことになった。二人の距離は急速に接近し、恋人の仲に発展した。二人は2019年同じ高校に入学し、乗馬班へ入部した。 2019年、強引にも馬社会整備は進んた。一方で日本の動きを良しとしない国々の策略で様々な事件が発生する。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

Great Factory シーズン1

まなびー
ファンタジー
舞台は2004年11月〜2005年12月までの中央競馬会。容姿・行動が常に型破りな主人公押切調教師をはじめ様々な人物が繰り出す競馬ドラマ。シリアスなレース・ギャグ・そして時には感動ありと内容盛りだくさん。ある騎手との出会いでダメ厩舎から這い上がって行く押切調教師のサクセスストーリーをお楽しみください。 ※10年位前に別のサイトで投稿してたのを再編集してこちらで投稿します

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

福の神の末裔の波乱爆笑の人生

ハリマオ65
現代文学
主人公の幸手福三は、1990年8月29日生まれ、乙女座、計算が速く、記憶力に優れ「些細なことでも覚えていてくれる」、いつも優しい言葉使いで、女性に可愛がられるタイプ。嘘が苦手で、すぐに相手の気持ちになる優しい男、適度な距離感を持ち決して干渉しない。責任感が強い「仕事を任せても信頼できる」「謙虚で控えめ」約束はしっかり守ってくれる。福三の、波瀾万丈を御覧下さい。 なお、この作品はNoveldaysに重複投稿中です。