女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

文字の大きさ
31 / 120
一章

やっとタバコ

しおりを挟む
 宿に戻るとエンマさんが「おかえり」と言ってくれて、良い時間なので食事を先に貰った。
 ドットたちは別の仕事が入って兄さん、三日戻ってこないそう。

 俺はカウンター席から、ボルクさんに次に行こうと思ってる町ポドムスについて聞いてみた。
「ポドムスか。良くも悪くも賑やかだな。海の男は気前がいいが喧嘩も派手だ」
 うぉ。俺に向いてない町かも。

「運がいいとクラーケンやシーサーペントなどの大きな緊急依頼が入って儲かるし、うまい」
 クラーケンってめっちゃ大っきいイカだろう?運悪くないか?
 うまいって食うのかよ!
 大味なイカはうまいのか。

「カナンから出てポドムスまでは寄り合い馬車で一週間だ。ほとんど何もない食料と水分、野営の準備は怠るなよ」
 あー、全部お取り寄せしちゃうのでそこは大丈夫なんだけど一週間か。バイクだと道次第だけど一日かからないよな。ずっと飛ばす気は無いから二日くらい?

「護衛依頼でも受けたらどうとね?」
 エンマさんが下げてきたお皿をボルクさんに渡して、俺の横で小休憩。
「基本は食事と水分は自分持ちだけどたまに全部出してくれる人もおるとよ。馬車代はタダになると」
 知らない人と一週間は嫌だなぁ。タバコ吸えんでしょ。

「んー?護衛はやっったことないし、気軽に行きたいからやめとくよ」
「そうかね。坊やはお金に余裕があるとやし、その方がいいかもとね」

 テーブルから「エール」って声がしてエンマさんが「はいよ」って持っていく。

「お前は世間知らずだからお前が護衛をつけて歩く方だがな」
 ボルクさんが辛辣だった。
「料理に酒を使うのをレシピ登録してきたぞ」
 ぶっは。酒を入れるだけのレシピが?

 ボルクさんは俺の代理で商業ギルドに行って、俺の名義で登録してきたらしい。
 最初だけ、俺って言う存在の保証がないから顔を出したけど、口座を作ったし、ギルマスに俺が認知されてるから代理が通るんだと。
 ギルマスがしきりに本人に来て欲しいと言っていたそうだ。
 めんどくさいから嫌だよ。

「酒入れただけで権利が発生するなんて」
「あとからお前の言った様に残ったエールやワインを使って料理したら美味かった。今後も俺が正当に使うために登録は必要だ」
 自分の手柄とかになるのは料理人としても冒険者の先輩としても、矜持が許さないそうだ。それなら俺は地球で初めて酒を料理に使った人に土下座をしなくちゃいけないぞ。
 周辺の町の情報なら冒険者ギルドの資料室にもあるからそれも見てこいって教えてくれた。

 「ごちそうさま」してから、エンマさんにお湯をもらって部屋に戻った。

 鍵閉めてから〈ルーム〉にシュバッと入ったよ。

 靴を脱ぎ蹴りして、上着脱ぎながらタバコを出して吸う。ベルト外してソファに投げてから、風呂に湯を張る。
 湯が貯まるまでビールを飲みつつ、タバコ。
 クレイバーのおかげで少し吸えたけどさ。マジ解禁したあとの我慢は辛いぞ。

 じっくりねっちり三本吹かしてから、寝巻きを用意して、スマホを持って風呂に向かう。
 スマホを耐水ケースに入れて音楽を選択して、まずはスカ○プDー!!スカッとスッキリして薄毛対策って神じゃね?あ、本物の神見た後じゃなんか違うけど。

 ボディもバッチリごっしごっし。魔法で〈洗浄〉もシャワーでザッとも洗っていても、この全力で洗った後みたいな達成感がないとな。
 ふいー。

 湯船には温泉の素。日本の名湯。
 海外のバスソルトとかおしゃれにしたいとこだが、日本の温泉に安心感があるのは俺がオッさんだからだろうか。
 そのうちジェイルの外見に精神が追いついて、おしゃれに目覚めるかな。
 
 音楽かけたまま、メールを仕方なくチェック。なぜか溜まっている。何をそんなに送ってくるのか。

 チョコへの熱い愛と焼き菓子の催促と酒がすごく美味しいことへの賛美、美容品の効果を自撮り(!?)で自慢。
 バストケアへの喜びが凄いけど、このだっちゅうの(古)写メを俺が保存していたら、巨乳好きのレッテルが貼られそうでなんかヤダ。消去。
 なぜフォルティナとメルティアに逆セクハラを受けているんだ?

 その中で、旅の神アムジスから。

||||||||||||||||||||||||||||

 成 
 いつも美味しいお酒とお菓子をありがとう。
 そろそろ旅に出ることを考えているようなので注意を少し。
 それぞれの町の出入りでは、記録が残る。
 いつ入っていつ出て行ったか。
 ようするに、町を出発して何日で次の町に着いたかが残るってこと。
 冒険者は〈瞬足〉〈俊足〉〈身体強化〉などで時間を短縮できるけれど有事の際でも無ければ魔力の無駄遣いは避けるよね。
 成は、バイクを使うみたいだけど、時間短縮は気を付けて、予測日数に半分以下になるのは避けようね?
 〈転移〉や〈神の加護〉がバレても平気って開き直るのもあるだと思うよ!

 良い旅を!  
            アムジス

|||||||||||||||||||||||||||||||||||
        
 Auchiー!
 時間調整して旅するのか。
 身分証はパスポートみたいだなぁ。
 神の加護がバレると神殿の神父やシスターみたいなのに号泣されるんだろう?却下だよ。

 もう一通。

|||||||||||||||||||||||||||||||||||

 やっほー!成!

 僕とシャルマとだいぶ対応が違うくない?ひどいよー。

 海の町に行くみたいだから、町に着いたらオーズの神殿に顔出してあげてね?
 もう光らないように設定したからね。
 オーズは奥さんいっぱいで子沢山だよー。

            ドリアス

|||||||||||||||||||||||||||||||||||

 
 一夫多妻だと!!凄いなオーズ!!
 羨ましくなんかないぞ。

 のぼせそうだから風呂から出て、ロックアイスとブランデー。町で買った葡萄と桃を皿に。
 半分エンマさんに渡せばよかった。明日渡そう!

 葡萄は葡萄だったけど、桃はなぜかメロンの味だった。見た目と違う味はビックリするから。

 ギルマスの箱入り葉巻から一本吸ってみた。
 それぞれの薬屋の個性、結構違うの面白い。ミント系の葉っぱ混ぜたのかメントール風味だよ。
 メントールも好きだけど、酒の味が全部メントールに持っていかれる気がして、別で楽しみたいなって思う。
 
 明日は資料室にも行ってみよう。
 そのままソファで寝ちゃうわ。



________________
        
 出揃っていませんが今ジェイルと繋がりのある神々


 調整と約束の女神 ティアランシア
   
 創造神 ドリアス
  
 火と鍛治の神 ヴェール

 戦と戦略の神 グラディウス 
   
 大地と多産の女神 フォルティナ
   
 魔法と医学の神 アルタート
    
 愛と激情の女神 メルティア
     
 時空神 シャルマ
      
 旅と商売の神 アムジス
    
 最高神 ディヤウス
  
 海神 オーズ
  



しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...