【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

モブと躾

寝込んで起き上がったら、なんと歩けるようになってた。

杖が必須だけどね。

すごいねドラゴンパワー。

魔女様曰く、俺の魔力とちびすけ ーーー カムイの魔力の相性がすごく良かったんだろうとのこと。

よし、撫で回してやろう！



………と、一瞬だけ思った。庭の惨状を見るまでは。




「オズワルド様ぁ～！！」




メイドさんに泣き付かれる。




「オズ兄様ぁ～…」




ルクレツィアも半泣きだ。

それもそのはず。

庭木は齧られ、地面は掘られ、花壇はぐしゃぐしゃ…。

そして今、駄竜はルクレツィアのスカートの中に顔を突っ込んでいた。

メイドさんが必死で引き剥がそうとしているが、ちびでも竜だしなぁ？




「………………カムイ、ステイ！！」




ドカン！と雷を落とす。

比喩じゃない。物理だ。雷魔法便利すぎる。

跳び上がったカムイは、俺を見るなりその場に伏せた。

……ほう？自分がした事が悪い事だってわかってるんだな？賢いな？許さんが。

俺は杖を突きながらゆっくりと駄竜に近付く。

ルクレツィアやメイドさんが俺が歩けてるのを驚いているが、後だ、後。




「…カムイ？ん？」




膝をつき、ブルブル震えて伏せるカムイの顔を両手で包み込み、目線を合わせる。




「お前が今やったのは良い事か？それとも悪い事か？」



キュ…キューン…キューンクゥーン……クフン？




ルクレツィアに噛み付くなとは言ったが、パンツの匂いを嗅いじゃいけないって言ってない？ああ、そうかそうか。ふぅーん…。

なんで竜語がわかるとか突っ込んじゃいけない。それは俺が一番突っ込みたい。




にっこりと笑い掛け、








俺はカムイの垂れ耳に思いっきり噛み付いた。