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偽神編
閑話・やらかしおった…!
しおりを挟む(国王視点)
「アンティエーヌ!アンティエーヌ・プリッドモア!私、王太子ローレンスと、お前との婚約を破棄するッ」
和やかだった会場が凍りつく。私の脳に19年前の、弟がしでかした愚行が総天然色で蘇った。
………やらかしやがった。親子揃ってやらかしおったわ愚か者めが!!どうするか……とちらりと隣を見ると、兄上は『やると思った』と言わんばかりに唇の端を僅かに上げ、反対隣を見ると、王妃が笑顔で扇子をへし折っていた。…怖い。王妃は薔薇の鑑賞会とやらでプリッドモア嬢をことのほか可愛がっていたからな…。
「………それで?」
お……?
お……、思いの外、プリッドモア嬢が低い声を出した。『大聖女アンティエーヌ』はいつも微笑みを絶やさず、聖女に相応しくどこまでも寛容で、「王も奴隷も関係なく、人間は全て神の子供である」と敬虔な思想を持つ修道女であった。
それがどうだ。
プリッドモア嬢の目は据わり、唇はムッとしたように引き結び、ローレンスを見る目は冷え切っている。それはさながら王妃の予言した『悪役令嬢』そのものであった。
「其方の男爵令嬢と添い遂げる、と?まあ、素敵。それぞ『真実の愛』でございますね」
ほほほ…と笑うプリッドモア嬢。い…いや、待て。待て待て待て。待ってくれ。どうしてしまったのだプリッドモア嬢!?いつもと様子が違いすぎて……
そこで私は気付いてしまったのだ。プリッドモア嬢の目の前にあるテーブルの上に散乱する、ガラスのグラスの山を。
あっ……
察した。察したくないが察した。プリッドモア嬢は今、間違いなく酔っ払っている。
「ジェシカではない!私の妃に相応しいのはリオであるッ」
「「……………………あ?」」
「ヒッ?!?!」
プリッドモア嬢だけではない。ドスの効いた「あ?」が、確かに、わ…私の、隣からも………ひ…ひぇ…っ……お…恐ろしくて、王妃の顔を確認できない…っ!
「私はアンティエーヌ・プリッドモアとの婚約を破棄し、勇者リオ・プレンダーガストを娶る!!」
エエエエエエエエエエエエ……
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