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偽神編
閑話・あなたに恋をしてよかった 2
しおりを挟む(アンティエーヌ視点)
グビリ、と飲み物をあおる。
わかっていた。わかっていたわ、そんなこと。わかっていたのに、わたくしは知らないふりをした。気付かないふりをした。必死に目を逸らした。リオ様の優しさと、ティグレ様の負い目に付け込んだ。
そして、ティグレ様を傷付けた。
深く深く、抉るように。無邪気なふりをして心に傷を付けた。
なんて惨く、醜く、浅はかだったのだろう…!
第二夫人で良いだなんて……馬鹿なのわたくしッ!!わたくしだったら嫌だわ!ずっとずっと大切に育んできた愛を、気持ちを、ぽっと出の女に踏み躙られて!大体、お二人の間に挟まろうなんて罰当たりなこと!神様がお許しになるはずがないし、たとえ神様と全世界が許しても腐女神様と薔薇を愛でる会が許さないわ!!アアアアアアアア!穴があったら入りたい!!!(ごっきゅごっきゅごっきゅ……ぷはぁ!)
………土下座をしなくては。
謝罪なんて生ぬるいわ。土下座して、リオ様と仲直りして頂かなくては!!生まれてきてごめんなさい息をしていてごめんなさい!!ああ、わたくしはこんな時にも醜く自分勝手だわ。
じわりと目頭が熱くなる。
もう一度、お二人が微笑み合う光景が見たい、だなんて……
リオ様。わたくし、あなたに恋をしてよかった。
初めてあんなに心が弾んで。あなたの一挙一動に嬉しくて。初めてこんなに胸が痛くて。こんなにもつらいのに。あなたの生きている世界はこんなにも美しい!
「アンティエーヌ!アンティエーヌ・プリッドモア!」
「………………………」
ああん?誰ですの!?神と世界とリオ様への祈りを妨げる愚か者は!!
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