【完結】リオ・プレンダーガストはラスボスである

とうや

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偽神編

勇者の帰還 1

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このぶんじゃあ卒業式には帰れねえ。

樹海型ダンジョンから溢れ出る魔物を屠りながら、流石におかしいと気付く。……これ、俺を足止めしてねぇ?

偽神戯にイレギュラーはつきものだ。それが地球ジアースじゃなく異世界ならなおのこと。なんせ今回は登場人物やくしゃが全部バグってやがる。王妃様おまごちゃんが言うには『卒業パーティーの日に婚約破棄』『王都に魔物が押し寄せて最終決戦』らしいが……俺が現場ここを俺が離れると大量の人死が出る。糞が。まさか対策も取れずに3ヶ月も猛攻ラッシュが続くなんて思わねえだろオイ!!

でもまあ脳死状態で魔物を屠り続けて良いこともあった。考える時間が山ほどあった。

ティグレとって話だ。俺としては漠然と『ずっと一緒にいれる』と思っていた。お互いになんとなく結婚して家庭を持って、ずっとこのままなんだと思っていた。でもティグレは違った。なにをどう間違えたのか、俺なんかに惚れちまったらしい。んで、なんか俺の傍に居ると辛いからと国外逃亡を企てやがった。

俺はティグレを手放す気はない。でもティグレは逃げたい。んじゃあどうするか。

ヒントはティグレが3ヶ月前にかました最後っ屁 ーーー う、うん、言葉が悪いな。破れかぶれで俺の口に噛み付いた…いわばキス、だ。

 ーーー いけるんじゃねぇ?

気持ち悪くなかったし、むしろ気持ちよかった。ティグレのベソかいた顔とかガキの頃から何度も見てたけど、キスの後の泣き顔はゾクゾクきちまった。……っていうかなんで無理矢理唇を奪った方が泣いて逃げるんだよ?

前世の悪友たちと酔っ払ってこんな話をしたことがある。

『キスができればセックスもできる』

……うんうん。いけるんじゃねえ?勃つかどうかは置いといて。いける。大丈夫。ティグレなら抱ける。朝チュン余裕だろ。


「……なら、だろ?」


目の前の『無限おかわり状態』の魔物を両断する。倒れ込む魔物の死骸から飛び出してきた無数の伏兵に魔弾で風穴を開けて蹴り飛ばす。

埒が……あかねぇ…ッ!!


GYUGYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!


目の前にどろりと肉が溶けた巨竜が立ち塞がる。お前らダンジョンの入り口以上にデケェだろッ!?どうやって地上まで出てきやがったァァァアアア!?!?


「ッ…!!総員!たいh………!!!」





「食べてよし?」




………は?


俺の周りで討ち漏らしを処理してくれている兵たちに退避を叫ぶ。……間に合わねぇ…!!ギリリと奥歯を食いしばる。

と。そこになんとも間の抜けた号令がして






GUGYAGYAGYAGYAHOOOOOOOOOOOOOO!!!


GAAAAAAAAAAAA!!










怪獣大決戦が始まった。



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