上 下
84 / 125
学園編

閑話・天才と天災は混ぜるな危険

しおりを挟む


(シャーロック公爵視点)


弟とがまたとんでもないものを作り出した。


魔力水。


それは大聖女しか作りえない『聖水』に等しいもの。大聖女の聖水は魔を祓い、傷を癒やし、結界を張るものである。だが『魔力水』は……


「オズウェル!!」

「ぅひゃぁ!?」


弟が根城にしている醸造所兼研究室に押し入ると、良い感じにデキ上がっていた弟が飛び上がった。まったく……この子はまた昼間から飲んでいるのか…。


「に…兄様!?いきなり来ないでください!びっくりしたぁ、もう……」

「びっくりした、じゃない!なんだあの装置は!?お前とリオは何を作り出したかわかっているのか!」

「ああ~…?」


ふー……と弟は酒精の混ざった息を吐き、ヘラリと笑った。……く!なんだかこの子はリオに似てきたな!?悪い友達ができると流される性質タチだったのか!


「理論的には実家にいる時に完成してたんだけど、公爵家あそこで研究したらほら、先代公爵とうさまに横取りされちゃうでしょ?だからプレンダーガストここで作ったんだぁ。リオっていう規格外の魔力供給源もあるしぃ?」


まさかの屑男ちちうえが原因か…っ!


「すごいよねぇ、あれ。飲めば魔力が回復するし、疲労も取れる。自然治癒能力も大幅に向上するから聖水と同程度の治癒も見込まれる。リオの魔力がたっぷりだから、その辺に撒けばリオより弱い魔物は襲ってこないし。あと精神汚染を除去する効果もあるよ?長期的な治験はほら、なんていったかなぁ?2年くらい前に王族を傷付けて奴隷落ちしたっていう高位貴族の少年?の勾留施設に卸してくれって宰相サマに言われてさぁ。良いお小遣い稼ぎになってるんだぁ~」


それ、は……『聖水』の上位互換じゃあないのか!?


「しかも飲むと美味しい!兄様も飲んだ?竜舌蘭酒テキーラの魔力水割り!シュワシュワしてて爽やかで、これで割るとすごく気持ちよく酔っ払えるのに次の日響かないんだぁ」


こいつ…!リオに炭酸水と偽って魔力水を作らせたのか…!?


ご機嫌で「さ、さ?」と私にも酒を勧めてくる弟。いつのまにこんなに図太くなってしまったのか…。


「………美味い……」

「でしょ!これね!リオの発案で、樫の木の樽を焼いて熟成させてみたんだぁ!まだリオのお店でも取り扱ってないんだよ!兄様が一番乗りだねっ」


くっ……こ、こんなことで、誤魔化されてやるとでも…!?


「はい♡おかわりどーぞ!」


ご…誤魔化されて………






誤魔化されてやるか!!弟が可愛い!天使か!?










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】狼獣人が俺を離してくれません。

福の島
BL
異世界転移ってほんとにあるんだなぁとしみじみ。 俺が異世界に来てから早2年、高校一年だった俺はもう3年に近い歳になってるし、ここに来てから魔法も使えるし、背も伸びた。 今はBランク冒険者としてがむしゃらに働いてたんだけど、 貯金が人生何周か全力で遊んで暮らせるレベルになったから東の獣の国に行くことにした。 …どうしよう…助けた元奴隷狼獣人が俺に懐いちまった… 訳あり執着狼獣人✖️異世界転移冒険者 NLカプ含む脇カプもあります。 人に近い獣人と獣に近い獣人が共存する世界です。 このお話の獣人は人に近い方の獣人です。 全体的にフワッとしています。

侯爵令息は婚約者の王太子を弟に奪われました。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

僕はただの平民なのに、やたら敵視されています

カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。 平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。 真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

婚約者の恋

うりぼう
BL
親が決めた婚約者に突然婚約を破棄したいと言われた。 そんな時、俺は「前世」の記憶を取り戻した! 婚約破棄? どうぞどうぞ それよりも魔法と剣の世界を楽しみたい! ……のになんで王子はしつこく追いかけてくるんですかね? そんな主人公のお話。 ※異世界転生 ※エセファンタジー ※なんちゃって王室 ※なんちゃって魔法 ※婚約破棄 ※婚約解消を解消 ※みんなちょろい ※普通に日本食出てきます ※とんでも展開 ※細かいツッコミはなしでお願いします ※勇者の料理番とほんの少しだけリンクしてます

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

処理中です...