83 / 160
学園編
領地の発展と炭酸水魔道具
しおりを挟むケレス開発、プレンダーガストのさらなる発展。たまに王都に行って襲ってきた反社会組織やら災害級の魔獣やらをぶった斬って。
リオ・プレンダーガスト、いつのまにか15歳になりました。
いやー、早い。光陰矢の如しっつーのはまさにこのこと。やることが多すぎて多すぎて、いつのまにか2年が過ぎてたって感じだ。……まあ、俺が領地改革を始めた時から時間は駆け足どころか全力疾走だったんだけどな?食糧事情も良くなり、馬に乗ってても食べれる 糧食を開発し、背も伸びた……気がする。や、多分デカくなったんだよ?成長期だもんな。でもさあ!ティグレの方がめちゃ伸びたんだよ!待ってくれよ……5年前はそんなに変わらなかっただろ?もう大人身長だよティグレ青年!対して俺の身長はティグレの頭ひとつ分低いくらい。とりあえずリサやメアリーばあちゃんは抜いた!ガラス職人の姐さんより低いけど…。良いんだ。男は二十歳まで伸びると前世では聞いた。だから!俺の戦いはここからだ!!
未完打ち切り漫画のラストシーンみたいだな…とか思ったが、俺の人生はまだまだ続く。
ケレスは農業都市として発展した。元々がプレンダーガスト領よりずっと王都に近い立地だ。都会に近い田舎。トカイナカとして観光地にもなった。清潔で整然とした豊かな農地や牧草地。野菜も肉も果物も、全てが美味いという別荘地のような扱いになった。ま、当然俺が目を光らせているから領民以外の住居は建てさせない。他領の者は土地を購入できない。別荘は個人所有ではなく高級宿屋だし、商館も賃貸だ。ケチくさいようだが、他領の支配は徹底排除した。前世のヒノモトも、隣国にそれで何度も煮湯を飲まされたしな。
ケレス領中央の役所には聖女ヘスティアの巨大像。……うん、何故か曾祖母様は中央神殿から『聖女』として認められた。王家の非道な行いにも折れず、プレンダーガストの疫病に立ち向かい、多くの領民を救って命を落としたこと。そして勇者の曾祖母ということで検討されたらしい。死んで聖人になるっつーのは前世でも良くあったことだが、俺と同じ顔の巨像をドーンと建てたり、土産物屋に絵姿やらミニ聖女像が並ぶのは居た堪れない。ついでに『プレンダーガストの勇者シリーズ』の絵本とか並んでるのは愧死しそうになる。ホントもうマジでやめてくださいお願いします。売れ筋商品らしいから禁止はしないけどさぁ!
プレンダーガストはすでに王都並みの発展を遂げた。衛生面とか福祉面とかならプレンダーガストの圧勝だ。食事所とか酒場のお洒落感はまだまだなんだが……良いんだよ。田舎料理でも美味けりゃ。
ガラス産業の方は、前世のイベントなんかも参考にして、好きなプレンダーガストグラスを選んでもらい、そのグラスでアルコール飲料や果実水が飲める酒場も直営で作った。一番人気は炭酸割り。俺としてはマルガリータとかギムレットあたりかと思ったんだが、アガベシロップ100%で作る異世界テキーラはまったりとコクがあり、果実のような花のようななんとも言えない香りがする。15歳になって個人的に酒を解禁したので味見したんだが、中々に美味い。炭酸は錬金術師に言って作ってもらった炭酸水魔道具で作る。材料は空気と俺の魔力。なので料金設定は強気のお値段。グラス買取で5杯まで飲める。
グラスが選べるバーもどきのプレオープンに招待した四公爵が「この値段で炭酸を飲ませるのか!?」とか言いながらテキーラ入りのソーダをガブガブ飲んでた。高いんだか安いんだか…。王都で飲まれている王妃様考案の炭酸水は、重曹の塩っぽさと柑橘酢の酸っぱさの独特の味がする。プレンダーガストの炭酸水は単純に水と二酸化炭素のクリアな味だ。
作り方は魔法陣を何重にも重ねた魔道具を使い、まず空気中の酸素と水素で水を生成、さらに空気中から二酸化炭素だけを抽出、水と二酸化炭素をボトルに高圧で閉じ込める。手動でよーく振る。これでもか!って振る。以上!水は普通の水で良いんじゃねえ?って思ったが、不純物が入ると故障すると言われた。クッソ、繊細かよ!?
錬金術師に「これ、多分、リオにしか動かせないよ?最適化とかしてないからね」と言われた、非常に魔力を食う魔道具だ。……良いんだ。俺が飲みたかっただけだし。あとポチタマシルキーが喜んで飲むし。
1,930
お気に入りに追加
2,537
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる