31 / 160
王都編
冷たい視線と新しい護衛
しおりを挟む詫び家にはすでに使用人が配置されていた。使用人60名、護衛10名。……うん、ごめん。そんなにいらない。給料も馬鹿にならないし、何より知らない人間にテリトリーをウロウロされるのは性に合わない。
「給与は大公家から出すし、身元は貴族だよ?」
それでかぁ~……
並んだ使用人の目が冷てぇのなんのって…。完全に俺のことをラドの愛人だと思ってやがる。田舎の元没落貴族が自分とこの主人を誑かしたとか思ってんだろうなあ…。
んーんんー…んー……
「すみません、全員不要です」
「えっ!!??」
一番若そうな護衛が声を上げた。若そうっていうか若い。前世でいうと中坊くらいじゃねえ?
「えっ…いや……いやいやいや、待ってくれ!いや、ください!!困ります!俺、親父に言われて来たんですよ!?それなのにいらないとか…っ!?」
ほーらね?躾のなってねえ犬も紛れ込んでんじゃん。でも俺はあえてそいつと目を合わせない。無作法者とは喋らなくて良いってリサから教育されてるし。だってこいつ、発言の許可取ってないよね?俺とラドの会話に割って入って来たよね?王兄の言葉を遮るって国王陛下か王妃殿下、あとは今は亡き上王陛下くらいじゃないか?
案の定、ラドは笑みを深くした。ウワア……怖え…!!
「エルマー・ゲージ。君の父親は大公家の寄子だ。彼は何と?」
「殿下が誑かされないよう見張ってこいと言われました!」
うーん、正直者!馬鹿のほうの。
「……だ、そうだ。リオ?」
そこで俺に振るのかよおおお!?ほら見ろ!ティグレの機嫌が急降下中じゃん!
「僭越ながら申し上げますと。こんな子供に王兄殿下が誑かされるとは思えませんがね?それに殿下にも 」
「ラド、だろう、リオ?」
「えー…あー……ラドルファス殿下……ああ、はい、ラド、殿下ですね。ラド殿下にも、私にも選ぶ権利というものがありましょう」
なんでここで愛称で呼ばせるかなあ!?妥協してファーストネームで読んだら笑みをさらに深くするし!折衷案で殿下付き……ほら見ろぉおお!みなさんムッとしてらっしゃる!ティグレや、君はなんで「当然!」とばかりにドヤ顔なんだい?
あー!もう!!面倒くせえ!!
「とにかく!いりません!必要ないです!!ここに住むならプレンダーガストの領民を雇って連れて来ます!寝てる時にグサっとやられたり、大事な情報抜かれたり、そういうのを心配しなきゃいけない生活って無理です!!安地がないような極限状態に長く置かれたら、敵意のある人間が背後に立っただけで殺す自信があります!!」
「嫌な自信だ」
くつくつとラドが笑う。
「……ではリオ、彼だけを残そうか。エルマー・ゲージ。彼は『ニホン』からの『贈り人』だよ。仲良くできるんじゃないかな?」
ニホン?知らねえなあ。仲良くできる気がしねえ……。
2,398
あなたにおすすめの小説
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる
kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。
かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。
そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。
「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」
おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
優秀な婚約者が去った後の世界
月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。
パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。
このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる