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私と元婚約者の答え合わせ 2
しおりを挟む「ヴォーツ公爵令息。貴方は平民のパン屋の娘である第三夫人の息子です。しかも能力も容姿も人並み以下。ですが平民として放逐するのは外聞が悪い。そうヴォーツ公爵が思っていた時に、私の父であるトーマ侯爵代理が囁いたのです」
ええ。それは悪魔の囁き。
「うちにも要らない子供が居る……と」
「う…う、…ぅ………嘘、だ!そんな…そんな馬鹿な!お父様が、そんなこと…!」
「さあ…?本心は私にも、誰にもわかりません。けれどヴォーツ公爵令息、貴方はヴォーツ公爵にとって要らない子供だった。だから私と婚約した。貴方が学園を卒業したら、要らない者同士の私たちは結婚して、辺境の名もない村の、名ばかりの領主夫妻としてその地に封印される筈だった。貴方が賜る予定の男爵位、過去に何をした男のものだったかお調べになりました?暴行監禁殺人強姦密輸…挙句に国家転覆を企てたヴォーツ公爵家の親戚。当時のポルトロンヌ国王から、戒めのために爵位と姓を捨てることを許されなかった曰く付きの男爵位です。私たちはそれほど親から疎まれていた。 ーーー …ご理解、頂けました?」
「そんな…そん、な……!」
「一方で、私も疎まれていました。憎まれていると言った方が良いでしょうか。ねえ、トーマ侯爵代理?」
「………っ!?」
私の視線の先には、この断罪ショーを楽しみに来たであろうその方。トーマ侯爵代理にして、本当に残念ながら私の実の父。お父様としてはここで私が辱められても婚約は続行させるつもりだったのでしょう。もちろんヴォーツ公爵も、ですが。
お父様とトーマ侯爵夫人を避けるようにして空間ができます。あらあら、居心地が悪そうですね、侯爵夫妻?
「私を廃嫡し、ご自分が『代理』ではなく『当主』になるおつもりだったのでしょう?何度もそう役所に申請して、断られた。だって貴方にはトーマ家の血は一滴も流れていない。遠い親戚ですらない。貴族というものは、このポルトロンヌ王国の貴族は、血筋を最も尊ぶのです。唯一、直系の血を引いた私が他家へ嫁げば、分家から養子を取らなくてはならない。なのに何故、今まで養子の話がなかったのか。……おそらくですが、貴方は手に入らないのなら消滅させよう……そう思ったのでは?」
「レッ…レア!!お前何を…っ!!」
「壊すおつもりだったのでしょう?唯一残った直系の私を辱め、貶めて、大悪党にもなれない小物と結婚させて。徹底的に壊すつもりだった。トーマ侯爵家を」
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