悪役令嬢の末路

ラプラス

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探し人《夢》【5】

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 少女は屋敷を後にして、また夜の街を彷徨っていた。
 正直なところ、帰り方がわからないのだ。

 これって、夢が覚めるまでこのままなの?

 こんなに不思議な夢を見たことがない少女は、迷子と変わりなかった。
 歩いて、歩いて、歩いて…。
 少女は広場に出た。真ん中には噴水がある。
 そばのベンチに座り、少女は考える。

 これは夢。
 だって、施設のみんなと布団に潜って、そのあとすぐに意識を手放したと思うから。
 ハッ。ということは、もう一回眠りにつけば元に戻れるかも!
 現時点でそれぐらいしか帰り方思いつかないし、やってみよ。


 おやすみ~。

 少女はベンチに寝転んで、そのまま目を閉じた。


****************

 「………ぉぃ。そこのおまえ」

 んー?何?なんか聞こえるよ。でもやだ、起きたくない。もっと寝る~。

 「おいっ!起きぬか!」

 途端に、グワングワン揺さぶられる。

 な、何なの?もしかしてこの揺れがもとに戻る合図とか?やったー!元の世界に帰れる~。いえーい。

 「何がいえーいじゃ!目を開けてみぃ!」
 「ぅ、んん…」

 そんな声に従って、重い瞼を持ち上げた。
 そこはーー。

 「どこ?」

 噴水は?ベンチはどこ行った…。
 よく見れば、自分の横をいろんな人のーー記憶?みたいな映像が流れて行っている。
 けれど、その流れは決して止まることも、逆流することもない。

 「はぁー?お前ここがどこかも知らずに彷徨っていたのかい」


 見渡せば、記憶の流れの中に、私とおばあさんはいた。

 「えと、まぁ、はい」

 すると、おばあさんは何かに気が付いたのか、私に尋ねる。

 「お前、実体からだはどうした」
 「え?」
 「身体はどうしたと聞いている」

 急いで自分の身体を見てみたけれど、特にこれといって変わったことはない。少しホッとする。

 「ここにあるじゃないですか」
 「ない。そこにあるのは魂だけだ」
 「えぇっ」

 ど、どういうこと?私死んじゃったの?!ここ、夢なんだよね?

 「もしかしてお前、ただの迷子か?」
 「そうですっ」

 帰りたいけど帰れない迷子です!

 「ふむ。そうか、わかった。儂について来い。家まで送ろう」
 「い、いいんですか?!ありがとうございます」

 わーい!と私はおばあさんの後を追った。


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