上 下
407 / 462

違法

しおりを挟む
「ん~...なになに...『白昼堂々、閑静な住宅街にて魔物騒ぎ』...えっ!? これって!?」

 そんな見出しで始まった記事の内容は以下の通りだった。

『...○月□日、13:00頃。セレブ層の住まう閑静な住宅街に魔物が彷徨いているとの通報が衛士隊に入った。衛士隊が駆け付けたところ、確かに複数の魔物に続き大型の動物までもが徘徊していることが確認された。中には非常に危険な魔物や動物も含まれており、対応に苦慮した衛士隊はすぐさま王都の親衛隊に連絡を取った。緊急出動した親衛隊の働きにより事態は一気に終息に向かったが、一時は辺り一体に非常事態が宣言されるなど緊迫の度合いは増していた。調べによるとこれらの魔物や動物達は、資産家で魔物好きとしても良く知られるジョージ氏の所有物であり、同氏の敷地内にある倉庫より脱走したものと判明した。同氏は倉庫内にて魔物の襲撃に遭い死亡しており、魔物や動物達はその際に檻を壊して脱走したものと推測される。幸いなことに他に犠牲者は出なかった...』

「うわぁ...なんて後味の悪い...」

 私は思わず顔を顰めた。

「全くだな...自己責任なんで自業自得といえばそれまでなんだが...なんとも寝覚めの悪い結果になっちまったな...」

 ラウムさんも目を伏せた。

「...記事には『今後、魔物を飼育する際の法整備が急務となってくるだろう』とありますね...」

「あぁ、私も良く知らなかったんだが、魔物をペットとして飼う場合はちゃんと法律で定められていたみたいだな? この魔物は飼っても良い。この魔物は飼ってはダメみたいな感じで。まぁ、ある意味当然っちゃ当然なんだが。飼うには危険過ぎる魔物も居る訳だしな。ただジョージ氏の場合、その法を無視して飼っちゃいけない魔物まで飼育していたから、今回のような悲劇に繋がってしまったということになるな...」

「...記事によるとジョージさん、魔物以外にも国内では飼育が禁止されている動物なんかも所有していたみたいですね? 密輸に関与していたんじゃないか? って疑われているみたいです...」

 私は昨日訪れたジョージ氏の倉庫内の様子を思い出していた。確かにやたらとデカい爬虫類やら昆虫類やらが檻に入れられていたっけな。

「やっぱり金持ちの好事家ってのにはロクなヤツがおらんよな...」

 ラウムさんがそう纏めた辺りで、

「おはよう~! お姉ちゃん達~!」

「ふわぁ...おはようごさいまふ...」

「おはようごさいます」

 ルキノちゃん、セリカさん、ステラさんが相次いで起き出して来たので、ジョージ氏の話はいったんそこまでとなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ  どこーーーー

ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど 安全が確保されてたらの話だよそれは 犬のお散歩してたはずなのに 何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。 何だか10歳になったっぽいし あらら 初めて書くので拙いですがよろしくお願いします あと、こうだったら良いなー だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転生したら転生特典が言語マスターだったので、通訳になろうと思います

真理亜
恋愛
私の名はアビー。転生者だ。私が転生した世界に魔法はなく、代わりにスキルが存在していた。神からの贈り物、ギフトとも呼ばれるその能力は様々な特殊効果を発揮するが、私のギフトは言語マスターというこの世界に存在する全ての言語を理解するという能力だった。その能力を買われて王宮勤めとなる。やがて王太子付きとなり諸外国との外交に駆り出されるようになったり、養子先の家のゴタゴタに巻き込まれたり、とにかく大変な日々を過ごすことになるが、言語マスターの能力を活かしてなんとか乗り越えていく。

処理中です...