377 / 462
取り敢えず回収
しおりを挟む
ラウムさんがグリフォンの注意を惹き付けてくれている間に、私は大きく手を振ってステラさんに合図を送った。
私に気付いたステラさんが急降下してくる。私は着陸したステラさんに触れて亜空間に引っ張り込んだ。
「ハァッ...ハァッ...す、すいません...た、助かりました...」
「どういたしまして。ステラさん、怪我はありませんか?」
「だ、大丈夫です...ちょ、ちょっと疲れただけで...」
ステラさんはまさに疲労困憊って感じだ。無理もない。グリフォンと対峙するだなんてどれ程のプレッシャーだったことか。
「お疲れ様でした。取り敢えずゆっくり休んでてくださいね? それとセリカさん?」
「は、はい!」
「状況はご覧になっていたと思います。今、ラウムさんがグリフォンの注意を惹き付けてくれていますが、さすがにいつまでもって訳にはいかないと思います。ラウムさんに疲れが見えて来たら、瞬間移動で回収して来て貰えませんか?」
さっきのステラさんの時とは違って、地上と上空とで距離が少し離れているから、回収するタイミングが図りやすくなるんじゃないかと判断したんだ。
「わ、分かりました!」
私とセリカさんは亜空間から出た。ラウムさんを追っているグリフォンの姿が、遥か遠くの上空の方に確認できた。
「ラウムさん、どこまで行っちゃったんでしょうか...」
そう言ってセリカさんが目を凝らす。私も釣られて見てみたが、かなり遠くまで行ったらしくラウムさんの姿は視認出来なかった。
「あ、砂煙が見えました」
「どこですか?」
「ほら、あそこ」
セリカさんが指差す先、街道の遥か先の方に薄らと砂煙が舞っているのが確認できた。しかもその砂煙は、段々とこちらの方に近付いて来るようだ。
「あれ、ラウムさんでしょうね?」
「多分...セリカさん、瞬間移動の準備だけしといてください」
「わ、分かりました!」
やがてその砂煙を追うようにグリフォンも近付いて来た。私達に緊張が走る。
「あ、見えました! やっぱりラウムさんです!」
私にも視認できた。ラウムさんは相当ヘバッているようで、かなりスピードが落ちて来ているのが端から見ても明らかだった。ふと上空を見上げると、グリフォンがホバリング体勢に移行していた。
「ヤバい! 火炎放射が来ます! セリカさん! 急いで!」
「は、はいっ!」
セリカさんが瞬間移動で飛んでステラさんを回収し戻って来た。その刹那、一瞬前までラウムさんが走っていた場所をグリフォンの火炎放射が直撃する。
「あ、危なっ!」
私はすぐにお二方を亜空間へと引っ張り込んだ。フゥ...間一髪だったけどなんとか間に合って良かったよ...
ホッと胸を撫で下ろした私は、さてこれからどうしようかと思案に暮れた。
私に気付いたステラさんが急降下してくる。私は着陸したステラさんに触れて亜空間に引っ張り込んだ。
「ハァッ...ハァッ...す、すいません...た、助かりました...」
「どういたしまして。ステラさん、怪我はありませんか?」
「だ、大丈夫です...ちょ、ちょっと疲れただけで...」
ステラさんはまさに疲労困憊って感じだ。無理もない。グリフォンと対峙するだなんてどれ程のプレッシャーだったことか。
「お疲れ様でした。取り敢えずゆっくり休んでてくださいね? それとセリカさん?」
「は、はい!」
「状況はご覧になっていたと思います。今、ラウムさんがグリフォンの注意を惹き付けてくれていますが、さすがにいつまでもって訳にはいかないと思います。ラウムさんに疲れが見えて来たら、瞬間移動で回収して来て貰えませんか?」
さっきのステラさんの時とは違って、地上と上空とで距離が少し離れているから、回収するタイミングが図りやすくなるんじゃないかと判断したんだ。
「わ、分かりました!」
私とセリカさんは亜空間から出た。ラウムさんを追っているグリフォンの姿が、遥か遠くの上空の方に確認できた。
「ラウムさん、どこまで行っちゃったんでしょうか...」
そう言ってセリカさんが目を凝らす。私も釣られて見てみたが、かなり遠くまで行ったらしくラウムさんの姿は視認出来なかった。
「あ、砂煙が見えました」
「どこですか?」
「ほら、あそこ」
セリカさんが指差す先、街道の遥か先の方に薄らと砂煙が舞っているのが確認できた。しかもその砂煙は、段々とこちらの方に近付いて来るようだ。
「あれ、ラウムさんでしょうね?」
「多分...セリカさん、瞬間移動の準備だけしといてください」
「わ、分かりました!」
やがてその砂煙を追うようにグリフォンも近付いて来た。私達に緊張が走る。
「あ、見えました! やっぱりラウムさんです!」
私にも視認できた。ラウムさんは相当ヘバッているようで、かなりスピードが落ちて来ているのが端から見ても明らかだった。ふと上空を見上げると、グリフォンがホバリング体勢に移行していた。
「ヤバい! 火炎放射が来ます! セリカさん! 急いで!」
「は、はいっ!」
セリカさんが瞬間移動で飛んでステラさんを回収し戻って来た。その刹那、一瞬前までラウムさんが走っていた場所をグリフォンの火炎放射が直撃する。
「あ、危なっ!」
私はすぐにお二方を亜空間へと引っ張り込んだ。フゥ...間一髪だったけどなんとか間に合って良かったよ...
ホッと胸を撫で下ろした私は、さてこれからどうしようかと思案に暮れた。
23
お気に入りに追加
3,971
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる