空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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取り敢えず回収

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 ラウムさんがグリフォンの注意を惹き付けてくれている間に、私は大きく手を振ってステラさんに合図を送った。

 私に気付いたステラさんが急降下してくる。私は着陸したステラさんに触れて亜空間に引っ張り込んだ。

「ハァッ...ハァッ...す、すいません...た、助かりました...」

「どういたしまして。ステラさん、怪我はありませんか?」

「だ、大丈夫です...ちょ、ちょっと疲れただけで...」

 ステラさんはまさに疲労困憊って感じだ。無理もない。グリフォンと対峙するだなんてどれ程のプレッシャーだったことか。

「お疲れ様でした。取り敢えずゆっくり休んでてくださいね? それとセリカさん?」

「は、はい!」

「状況はご覧になっていたと思います。今、ラウムさんがグリフォンの注意を惹き付けてくれていますが、さすがにいつまでもって訳にはいかないと思います。ラウムさんに疲れが見えて来たら、瞬間移動で回収して来て貰えませんか?」

 さっきのステラさんの時とは違って、地上と上空とで距離が少し離れているから、回収するタイミングが図りやすくなるんじゃないかと判断したんだ。

「わ、分かりました!」

 私とセリカさんは亜空間から出た。ラウムさんを追っているグリフォンの姿が、遥か遠くの上空の方に確認できた。

「ラウムさん、どこまで行っちゃったんでしょうか...」

 そう言ってセリカさんが目を凝らす。私も釣られて見てみたが、かなり遠くまで行ったらしくラウムさんの姿は視認出来なかった。

「あ、砂煙が見えました」

「どこですか?」

「ほら、あそこ」

 セリカさんが指差す先、街道の遥か先の方に薄らと砂煙が舞っているのが確認できた。しかもその砂煙は、段々とこちらの方に近付いて来るようだ。

「あれ、ラウムさんでしょうね?」

「多分...セリカさん、瞬間移動の準備だけしといてください」

「わ、分かりました!」

 やがてその砂煙を追うようにグリフォンも近付いて来た。私達に緊張が走る。

「あ、見えました! やっぱりラウムさんです!」

 私にも視認できた。ラウムさんは相当ヘバッているようで、かなりスピードが落ちて来ているのが端から見ても明らかだった。ふと上空を見上げると、グリフォンがホバリング体勢に移行していた。

「ヤバい! 火炎放射が来ます! セリカさん! 急いで!」

「は、はいっ!」

 セリカさんが瞬間移動で飛んでステラさんを回収し戻って来た。その刹那、一瞬前までラウムさんが走っていた場所をグリフォンの火炎放射が直撃する。 

「あ、危なっ!」

 私はすぐにお二方を亜空間へと引っ張り込んだ。フゥ...間一髪だったけどなんとか間に合って良かったよ...

 ホッと胸を撫で下ろした私は、さてこれからどうしようかと思案に暮れた。
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