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選択肢

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「ゼェッ...ハァッ...ゼェッ...ハァッ...」

 ラウムさんは疲労困憊といった体で荒い息を吐いている。

「ラウムさん、本当にお疲れ様でした。セリカさん、なにか冷たい飲み物を。あ、ステラさんにもお願いします」

「お任せください!」

「フローラさん、大丈夫ですか?」

 フローラさんの顔色が真っ青になっている。

「え、えぇ...だ、大丈夫です...た、ただちょっとビックリしただけで...」

 無理もない。魔物との戦いに多少は慣れているはずの私達だってかなりビビッたからね...さすがにダンジョンの深層に出るという魔物は伊達じゃないってことだよね...

「...これからどうしましょうか...」

 やっと少し落ち着いた様子のステラさんが誰にともなくそう呟いた。

「そうですね...」

 私は上空を飛び回っているグリフォンの姿を見ながらちょっと考えた。グリフォンは私達の姿が急に消えたので戸惑っているように見える。

 選択肢① 
  いったん鉱山都市ビエンまで戻ってギルドの冒険者達に助けを求める。

 選択肢②
  このまま王都ベナンに向かってギルドに報告し後は任せる。

 選択肢③
  ここでグリフォンをどうにかして倒す。

 選択肢④
  見なかったことにする。

「...④は論外だな...」

 こちらもやっと落ち着いたラウムさんが渋い顔でそう言った。
 
「で、ですよね~...」

 冒険者としてっていうより人としてアウトだよね...

「...①もお勧め出来ません...こう言っちゃなんですが...ビエンの町の冒険者達のレベルでは、到底グリフォンには太刀打ち出来ないかと...」

 ステラさんが続いた。確かにそうだよね...王都ならまだしも、地方都市の冒険者ギルドのレベルじゃキツイ相手だよね...

「...②も現実的じゃないと思います...グリフォンは空を飛べるんで、私達が王都に向かっている間に一体どれほどの人が犠牲になることか...」

 セリカさんも続いた。そうだよね...移動スピードが半端無いもんね...ヘタすりゃビエンの町が火の海になる可能性も...

「...つまり選択肢は実質③しかないってことですね...」

 私は悲壮な決意を込めてそう言った。全員の顔が強ばる。 

「あ、あの...す、すいません...ちょ、ちょっといいでしょうか...」

 その時、遠慮がちにフローラさんが手を上げた。

「はい? どうしました?」

「以前、本で読んだことがあるのを思い出したんです...確か...グリフォンって魔物は寒さに弱いと...氷属性の魔法攻撃が有効であると...どうでしょうか? なにか参考になりませんか?」
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