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ミイラ取りが...

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「フゥ...皆さん、お疲れ様でした」

 閉店作業を終えたフローラさんが汗を拭う。

「フローラさんこそお疲れ様でした。今夜は千客万来だったから大変だったでしょう?」

「えぇ、ちょうど月末の給料日に当たりますからね。大体いつもこんな具合に繁盛するんですよ」

「なるほど」

「確かに繁盛するのは分かる。料理はどれも美味しかったしな」

「えぇ、お酒無しでも十分楽しめましたね」

 店の中組のラウムさんとアスカさんが満足そうにお腹を擦った。

「いいなぁ~...私も食べてみたかったですぅ~...」

 亜空間組のセリカさんだけは食べられなかったのが不満のようだ。ちなみにステラさんはぐっすり眠っている。仕事する気皆無だよね...困ったもんだ...

「さて、帰りましょうか」

 そう私が声を掛けた時だった。

「囲まれてるな」

 ラウムさんが静かに戦闘態勢を取った。

「えぇ、どうやらそのようですね」

 アスカさんもそれに続いた。

「フローラさん、亜空間の中へ」

 私はすかさずフローラさんを亜空間に放り込んだ。

「き、来ます!」

 セリカさんが緊張気味に叫ぶ。すると暗がりの中から昼間の時と同じような破落戸共が、下卑た嗤いを浮かべながらこちらに近付いて来た。

 昼間の時にも思ったが、どうやらストーカー野郎は子飼いの元冒険者達に全て逃げられたため、こんな破落戸共を雇うしかなくなったようだ。

「私に任せろ!」

 ラウムさんが破落戸共の中に突っ込んで行った。

『風よ! 吹き荒れろ!』

 私達の方に向かって来た破落戸共はアスカさんが風の魔法で蹴散らした。街中なので火じゃなく風を使ったんだろうな。

「か、カリナさん! わ、私の後ろに!」

 セリカさんが震えながら私の前に立とうとする。気持ちは嬉しいが正直邪魔だ。だから物も言わずに亜空間へと放り込んだ。

 さて私も戦闘開始って...あれ? もう片付いちゃった? 破落戸共は皆地面に這っていた。

「お見事...」

 私はそう言うしかなかった。


◇◇◇


「お疲れ様でした」

「なあに、軽いもんよ!」

「いい腹ごなしになりましたね」

 お二人がとっても頼もしい。

「あれ? セリカはどうした?」

「フローラさんも?」

「お二人とも私の亜空間の中ですからご心配なく」

「あぁ、なるほど」

「なんかこういうの懐かしいですね!」

 アスカさんが珍しくはしゃいでいる。って言うか、ちょっとお酒臭い。

「アスカさん、もしかして飲んでません?」

「ギックゥッ! あわわ...ちょっと...ちょっとだけですよ! いやホント舐める程度で...」

「結構ガッツリ飲んでたぞ?」

 しっかりラウムさんにバラされた。

 
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