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4章 文化祭
んな事したら俺が犬飼に怒られるわ!
しおりを挟む俺はそのまま伊織の隣に座ってデザートのアイスクリームを頼んでもらい、パクパク食ってた。
あー、いろんな席回っていろいろ食ったけど、こういうのも楽しいかもな~。
いろんな奴がいて、いろんな会話があって、いろんな楽しみ方がある。
こういう時でしか味わえないこの空間、悪くねぇ♪
「貴哉、楽しいか?」
「ちょー楽しい♪てか聞いたか?この後二次会でカラオケやるんだって。伊織行くか?」
「そうなんだ?貴哉が行くなら行くけど」
「じゃあ行こうぜ♪お前歌上手そうだよな」
「そういやカラオケ一緒に行った事無かったな。俺の歌声聞いたら惚れ直すぞ♡」
「へー、そりゃ楽しみなこった。俺も歌には自信があるんだ♪勝負しようぜ」
「うっそ、意外~。絶対歌わないでずっとダルそうに寝てるのかと思った」
「それいつもの俺じゃねぇか!」
伊織とそんな話をしてると、茜がひょこっと現れた。あ、今の俺の母ちゃんが迎えに来た。
「秋山、今ちょっといいか?話したい事があるんだ」
「話したい事?あ、伊織ちょっと行って来るわ」
「おう。行ってら」
茜に呼び出されて俺は後を付いて行くと、元にいた席じゃなくて、外だった。
わざわざ外に出て話すって、人に聞かれたくない事とかか?
「どうしたんだよ?大事な話か?」
「ああ。とても大事な話なんだ」
茜の表情はいつにも増して真剣なもので、軽く眉間に皺が寄っていた。
さっきまで普通に俺の母ちゃんやってたのに、いきなりどうしたんだ?
俺は茜が話し出すのを待っていた。
「実は……分からないんだ」
「ん?いや、何が?」
「その……言いにくいんだが……この後犬飼と二人で過ごす事になったんだ」
「えっ!?マジで!?てか二人共すげぇ距離近くなってるよな~。俺らが来る前に何かあったのか?」
「……あった」
こりゃすげぇ話だな!
だから犬飼の奴あんな嬉しそうにしてたのか!
「秋山を外で待っていたのは本当なんだ。そこに犬飼もいてくれたんだ」
「そういう事か。それであいつだけ茜のとこにいたのか」
「秋山、この話は誰にもしないって約束してくれるか?」
「もちろんしねぇよ。大丈夫だ」
不安そうに目を見て聞いてくる茜に、俺はニッと笑って答えると、安心したように笑顔を見せた。
「そうか。その、犬飼には前に告白をされているんだ」
「へー、あいつもやるなぁ~」
「へーって、驚かないのか?」
「驚くも何も犬飼が茜の事を好きなのは知ってるからな。てか俺だけじゃなくてみんな知ってるぜ?」
「えっ!?そうなのか!?」
茜ってば本気で驚いてやがるな。
まぁこの天然っぷりは茜らしいけどな。
「そりゃそうか……湊とあれだけ派手にやり合ってたら薄々気付いてもおかしくはないか……」
「で?その犬飼と何があったんだよ?」
「あ、そうだった。秋山を待っている時にほっぺにキスをされたんだ……それが俺は嫌じゃなかったんだ」
「あらまぁ♡」
「それで、この後二人きりで過ごそうって誘われて断れなかったんだ。いや、もっと話したいと思ったな」
「いいじゃん♪茜がしたいならそうしろよ」
「でも、俺には湊がいる。だから、本当は良くないって分かってるんだ。それと、犬飼にキスをされたり、二人きりになろうって誘われたりして断れないのは、せっかく仲良くしてくれてる犬飼に嫌われるのが怖いからなのか分からないんだ。もしそうだとしたら、犬飼に期待をさせてしまうだろ?だからやっぱり断るべきなのか分からなくて……」
あ、分かった。
茜はちょっと前まで周りから嫌われてたから、それがトラウマになってんのか。
人に好かれる事に憧れていて、本人も頑張ってるから、自分の言う事とかでまた嫌われたり、離れて行かれるのが怖いんだ。
目の前にいる本当に困ってるような茜を見てたら自然と気持ちを感じ取れた。
「茜、犬飼と二人で過ごせ」
「秋山……どうしてそう言うんだ?」
「犬飼への気持ちが分からないなら試せばいいんだ。犬飼に期待させるとか考えなくていい。あいつからは前から茜との事を相談されてたんだ。あいつはちょっとやそっとで折れるような男じゃねぇ。茜は茜の事だけ考えろ」
「え、嘘だろ……?知らなかった……」
「茜はさ、自分で思ってるよりも周りから好かれてんだよ。だってお前良い奴だもん♪俺の自慢のダチだもんよ♪だから一人で悩むな。悩む前に俺に話せ」
「うんっありがとう秋山」
茜はホッとしたような顔をして笑った。
俺は茜に幸せになってもらいたいんだ。
茜と桃山カップルは好きだけど、茜が幸せになるなら犬飼でもいいと思ってる。今は言わねぇけど七海でもいい。
だから俺は茜にもっと自信を持って欲しいんだ。
「お前が周りの目を気にしちまうのは分かるけど、そんな事してたら本当に伝えたい事も言えねぇし、本当に感じなきゃいけない相手の事も分からないままだぞ?桃山がいても、俺はお前のやりたいようにやればいいと思ってる。とにかく今日は犬飼と過ごして、茜が犬飼の事をどんな風に好きなのか確かめるんだ」
「わ、分かった。不安だから秋山も来て欲しいけど、それはダメだよな?」
「当たり前だろ!んな事したら俺が犬飼に怒られるわ!」
「そうだな……はぁ、緊張するな。でも秋山の言う通り確かめてみる!秋山に話して良かった。気持ちが少し楽になった」
「そりゃ良かった♪何かあったらすぐに電話しろよ?すっ飛んで行くからよ」
「遅刻魔が良く言うな」
「俺は面倒な事は平気で遅刻するけど、大事な事は遅刻したりしねぇよ。何よりも優先して助ける♪」
「お前……やっぱりかっこいいな」
「へへ♪いや~それにしても茜と犬飼か~!悪くねぇんじゃん?あいつ結構頼りになるとこあるし、頭良さそうだしな」
「なぁ、秋山?もしも犬飼の事が湊と同じ好きだった場合はどうしたらいい?」
「んあ?そんなのそん時考えりゃいいだろ~。まずは確かめるんだ。気付いた時に思ったようにすりゃいい。俺ならそうするね」
だから俺は伊織も空もどちらも好きで、どちらも手離せないでいるんだ。
それこそダメな事だけど、二人がいなくなるのは嫌だから……
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