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4章 文化祭
あ!誰だ!?ソーセージ泥棒!
しおりを挟む店の奥にあるカウンター席では演劇部の顧問の御影って先生と、ボラ部の顧問の佐々先が二人で語り合っていた。その横に詩音と、伊織もいた。
「ようアダルトチーム!食いもん貰いに来たぜ♪」
「貴哉くん!待っていたよ♪今日はお疲れ様♪食べ物ならアイスクリームなんてどうかな?」
俺が声を掛けると、詩音がバニラのアイスを見せて言った。俺が普通に茜にしてもらったみてぇに食べさせてもらおうとあーんって口開けると、詩音の隣にいた伊織が慌ててアイスが入った容器を奪った。
「詩音さん!俺がやります!」
「それは残念。僕がやってあげたかったな~」
伊織に軽く睨まれながら差し出されたアイスクリームを食う。
あ、こいつってば俺が他の奴に甘えてるのが嫌なんだな?
俺に気付いた中年のおっさん先生、御影マモルがガハハと笑いながら入って来た。
「貴哉~!お前のお陰で演劇部は大成功だったぞ!本当にありがとうな!」
「おー、いいって事よ~。マモル~」
「「マモル!?」」
俺が普通に御影の名前を呼ぶと、伊織と佐々先がめちゃくちゃ驚いていた。
詩音は俺が呼んでるのを聞いた事があるから知ってるのかとても楽しそうに笑っていた。
「あ、秋山くん?御影先生の事を下の名前で呼んでるのか!?」
「そうだけど?てかマモルが先に俺の事下の名前で呼んで来たんだぜ?貴哉って。だから俺も呼んでるだけだけど?な?マモル~」
「貴哉は本当に面白い奴だよな~。なぁ、正式に演劇部に来ないか?お前がいればもっと盛り上がると思うんだ」
「それこの前断ったじゃん。もうやらねぇよ~」
「貴哉、目上の人と話す時はもう少し気を使えって」
「マモルがそのままでいいって言ったんだよ。なぁ?マモル~」
「おう。気にするな桐原。貴哉は良い子だからな♪」
「貴哉の事を良い子だなんて……」
「あ、伊織それ俺に失礼だぞー?」
「貴哉くんは良い子だよ♪と言うか神だね♡」
「薗田が言うなら間違いねぇだろ。何より結果で出てるじゃねぇか。この通り文化祭は大成功♪俺も鼻が高いぜ~♪」
「はぁ、御影先生がそう仰るなら良いですけど」
佐々先は苦笑いしながらそう言った。
「てか佐々先ってボラ部の顧問なんだよな?でも部活に顔出した事ねぇよな?俺会ったの夏休みのバーベキューん時だけだぞ」
「ほえ!?ぼ、僕は君達生徒の事を信じてるからね~!己の力で人に尽くす事を学んでもらいたいのだよ!あはは!」
「何言ってんだこの人?なぁ伊織~、佐々先って俺が入る前はどうだったんだ?」
「正直俺も部活で会った事ないんだわ」
「ガハハ!佐々木先生こりゃ貴方の負けですわ!生徒を管理する者である以上、もうちっとしっかりせんとな!」
「うう……以後気を付けますぅ」
教師達の中でも若手であろう佐々先は頭を低くして項垂れていた。
でも、顧問が来ても来なくても何だかんだやれてるし問題ねぇんだけどな!
俺はそんな中、カウンターのテーブルの上にあったソーセージが目に入りそれが気になった。
「秋山くん、そしていーくん、改めてお礼を言わせておくれ。僕の無理なお願いに応えて、今日まで頑張ってくれて本当にありがとう。辛かったと思うけど、僕は心から満足の行く作品になったと感謝しているよ」
詩音が笑顔でお礼を言って来た。
それに伊織はニッコリ笑って返していた。
俺はソーセージを見ていた。
「こちらこそ詩音さんの作品に携われて良い経験をさせてもらいました。ありがとうございました」
「二人共本当にありがとうな♪是非また協力してくれ」
「御影先生、こちらこそうちの部員がお世話になりました」
大人達が挨拶を交わしてる間に俺はそーっとカウンターに近付いてソーセージに手を伸ばす。
あと少しって所で、ソーセージが乗った取り皿がヒョイっと横にズレて遠ざかった。
「あ!誰だ!?ソーセージ泥棒!」
「泥棒しようとしてんのはお前だろ?まったく」
取り皿を俺から遠ざけたのは伊織だった。
伊織は笑いながらソーセージをフォークに刺して俺に渡して来た。
「あ、サンキュー♪」
「本当にお前は可愛いな♡」
「?」
伊織は嬉しそうに俺の頭を撫でてそう言った。
人の話聞かないでソーセージ狙ってた泥棒が可愛いだって?
良く分かんねぇけど、伊織の機嫌が良いならいっか~♪
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