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4章 文化祭
怖っ!ちょ、すげぇ見られてるし!
しおりを挟む今日は遅れずに演劇部に合流する事が出来て、既に衣装もバッチリだ。
この金髪でいられるのもこれで最後だからな。長さは気に入らないけど、金髪だって事だけを考えて気分良く過ごそう。
そんな事を考えて自分の出番まで裏で待っていると、バタバタしている中次の衣装に着替えている七海が声を掛けて来た。
「秋山~」
「何だ?」
七海は街娘の格好に着替えていた。
ドラゴンと出会って一緒に旅をするからそれに合った格好らしい。
長い髪も後ろに高く束ねていた。
「それ本当に可愛いーよな!」
「だろ?今なら可愛いでも受け付けるぜ」
「前に一緒に出掛けた事あったけど、その時の格好が本当の秋山なんだろ?」
前にって言うのは、球技大会の後、みんなで遊んだ時のか?七海とはそれぐらいしか心当たりが無かったからそれだと思っておく事にした。
てか俺は着れりゃ何でもいいと思ってるからいつも似たような格好だ。緩めのTシャツ、ジーンズ、寒くなって来たらパーカーがほとんどだ。
「そうだよ。てかこんな格好で出歩けるかよ。って、お前はあん時スカート履いてたな」
その時七海は何故か女装していた。カツラまで被って、パッと見マジで女だと思ったぐらい。まつ毛とか長くなってて、メイク?ってやつもしてるっぽかった。
犬飼達と罰ゲームでもやってるのかと思ってたけど、アレは何で女装してたんだ?
「俺ね、可愛い服が好きなの♪服だけじゃなくて、物とか色とか、女の子が好きそうな物が大好き♪」
「あ、そうなんだ?罰ゲームじゃなくて、自分からしてたって事?」
「うん♡休みの日はいつもあんな感じー♪でさ!今度一緒に買い物行かないか!?秋山を連れて行きたい店があるんだ♡」
「いいけど、何で俺?茜と行きゃいいじゃん」
「二之宮もいたら嬉しいけど、秋山と行きたいのー♪」
こりゃまた面倒そうなのに懐かれたな。
まぁこいつも悪い奴じゃなくなったからな。一緒に遊びに行くぐらいいいだろ。甲高い声さえなければな。
七海とそんな話をして、先に出番の七海がステージへ行った。
その後すぐに俺の出番だ。
セリフは覚えた。演技力はもちろん無い。それはみんなも分かってるから一生懸命やれば許される感じがあるのを俺は気付いている。
途中で投げ出さずに最後までやり切る。
そうすればみんなは満足してお疲れって言って笑うんだ。
元々自分の夏休みの為、進級の為にやる羽目になった事だけど、まさかここまで来れるとは思わなかった。
だっていきなり興味も無い演技をしろだなんて無茶振りにも程があるだろ。やるしか無かったからやってやったけど、何だかんだやり遂げられそうだ。
最後に憧れの金髪になれたのはちょっと嬉しかったかな。
「秋山~、そろそろスタンバイ!」
「おう」
裏方リーダーの犬飼に呼ばれて俺はステージ横に立つ。
言われた通りに動けばいい。
練習通りに振る舞えばいい。
それで終わる。
演劇部での活動が、終わる……
俺は前を向いてステージ横から既にステージ上で動いてる奴らを見る。
今はドラゴンと魔女が姫さまを取り合ってるシーン。ここで魔女の弟子、俺の出番だ。
魔女に加勢して隙を見て姫さまを奪うんだ。
「オーケー。秋山ゴー」
「あいよー」
さぁ、新生デシーノ様の登場だ。
俺は金髪ツインテールを靡かせて予定通りにステージへ向かって歩き出す。
デシーノはお転婆な設定だから、いつもみたいにダラダラ歩くのは怒られる。
なるべく姿勢を良くして細かく動くのを心掛ける。
そしてデシーノである俺がステージへ出ると、そこには予想もしていなかった人数の客が見えて俺は言葉を失った。
は?何これ?体育館にビッシリ人いるじゃん!
怖っ!ちょ、すげぇ見られてるし!
っと危ねぇ!役を忘れる所だったぜ!
俺は人前では緊張とかしねぇタイプだ。それは救われたな。気を取り直してデシーノになり切る。
ドラゴンの伊織、魔女の茜、そして姫さまの七海。俺はこの三人と練習でやったように演技を始めた。
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