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4章 文化祭
※ 空くん、貴ちゃんと付き合ってた時にさ
しおりを挟む※紘夢side
貴ちゃんの知り合いだという中学生二人組を見送った後、俺達は再び椅子に座り直して雑談タイムに入る。
「俺でも知らなかったな~。貴ちゃんにあんな知り合いがいるの」
「俺もですよ。中学生に知り合いいるなんて一度も聞いた事ありません」
「親同士が知り合いみたいだし、本人達は数えるぐらいしか会った事ないのかもよ?」
「いーくんの事かっこいいって言ってたけど、会った事があるって事だよね?」
「みたいですね」
「いーくんは本当にモテるよね~。まず第一印象が良過ぎるんだよ。誰にでも当たり障りない態度だからさ~」
「分かるー。しっかりしてて頼もしいもんね。顔も良いし」
「否定はしません。悔しいですけど、桐原さんは良い男ですよ」
「もしかしてあの類って子、いーくん狙いかな?」
ここで怜ちんが首を捻って言った。
それは俺も思ったよ。いーくんの事も探してるって言ってたし、気に入ってる感じがした。
「だとしたら貴ちゃんのライバルになるのか」
「なんなら奪ってくれないかな。そしたら俺嬉しいです♪」
満面の笑みでそう言うのは勿論空くんだ。
確かに、いーくんが類くんを選べば貴ちゃんはフリーになる。そしたら空くんからしたら万々歳だろう。
でもいーくんが貴ちゃん以外に靡くとは思えないよな。類くんがどんな子なのかまだ良く分からないけど、もし類くんがいーくんの事を好きで貴ちゃんの邪魔をしたとしたら、貴ちゃんはどうするんだろう?
「ねぇ、空くん、貴ちゃんと付き合ってた時にさ」
「はい。何ですか?」
貴ちゃんがやきもち焼いた事があるか聞こうとしたけど、あったわ。貴ちゃんが葵くんから出されたペーパーテストやった後に、俺が中庭で空くんが他の男とイチャついてるって嘘言ったら有無を言わさず二階の窓から飛び降りてたわ。
あれは面白かったなぁ~。まさか飛び降りるとは思わなくて笑ったな~。
俺が思い出して笑っていると、変な顔をされた。
「一条さん、言い掛けといてやめないで下さいって。気になるじゃないですか」
「紘夢~、何を聞こうとしたのー?」
「いや、貴ちゃんもやきもち焼くのかって聞こうとしたんだ。そしたら二階から中庭に飛び降りたのあったな~って」
「アレですか。マジビビりましたからね!後ろに何か落ちて来たような音したと思ったら貴哉だったから焦りましたよ」
「俺もそれ見たかったなぁ~!だって、詩音さんがそれを見て脚本を書き換えたんでしょ?よっぽど凄かったんだろうなぁ」
「そう言えばそうだったね。ジャンルもファンタジーに変えたんだったね」
「貴哉の影響力やば」
「本当に貴ちゃんは凄いよ~。初めてボラ部に来た時面白い子が来たなって思ってたけど、想像の何倍も上を行っててビックリしたよ~」
「そうでしょー?貴ちゃんはヒーローなんだからぁ♪」
「ヒーローねぇ、確かにそうかも♪詩音さんの事もだし、あの茜ちゃんも貴ちゃんが仮入部してから凄く話し易くなったよね~♪演劇部って体育会系かってぐらい厳しそうな部活だったけど、今ではみんな楽しそうだよね~♪」
「……貴哉が入る前ってそんな感じだったんだ」
「結構辞める子多かったよ。前の性格の茜ちゃんだけが原因じゃなくて、裏方も悪さしてたからね~。あれだけの大所帯を詩音さんや副部長だけでまとめるのは大変だから行き届かない部分もあったんだろうね」
「この後、貴ちゃんといーくんが抜けたらどうなるかだよね~。あと茜ちゃんか」
予定では臨時部員である貴ちゃんといーくんは今日までだ。あと、茜ちゃんも文化祭が終わったら退部するって言ってるから今日までの筈。
それと、進路を変えた事によって時間に余裕が出来た詩音さんの協力もあったけど、それもなくなるだろう。
今の演劇部にとって大きな存在が四人もいなくなるんだから傾かない訳ないよね。
あとは演者チームの七海ちゃん、裏方リーダーの犬飼、そして部長である卯月がどう考えてどう行動するかだ。
今の三人なら、任せても大丈夫な気もするけど、俺としては傾いてくれた方が面白くなっていいんだけどね♪
俺は再び卯月からSOSが出るまでは黙って見ているつもりだ。
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